「こんにちわッ、テディちゃでス!
あれれッ? あさのォくうきィがァ~…?」
「がるる!ぐぅっるがっるる?」(←訳:虎です!ちょっと秋っぽい?)
こんにちは、ネーさです。
早朝の空気がちょっぴり秋めいていて、
ラジオからフジファブリックさんの『若者のすべて』が流れてきたら、
いやホントに夏が終わりつつあるのかも?
ということで、ウキウキしながらの読書タイムは、
さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― ヘラクレスの冒険 ――
著者はアガサ・クリスティーさん、
原著は1947年に、日本語版は1976年に発行されました。
英語原題は『THE LABOURS OF HERCULES』、
クリスティーさんの著作ではお馴染みの
名探偵ポアロさんが活躍する短篇集です。
「おひげのォ、たんていィさんッ!」
「ぐるるがるる……?」(←訳:何やら思案中……?)
ええ、探偵ポアロさんは思案の真っ最中です。
そろそろ引退しよう。
いつにしようかな~?
「ほへッ??」
「がるぅ??」(←訳:引退ぃ??)
ポアロさんは本気……たぶん本気、のようですが、
友人は首を振って、
引退できるわけがないよ、
きみは自分の仕事にあまりにも興味を持ってるんだから、
あと一つ二つだけ、もう一つ、
なんてやってるうちに、ずるずる長引いてしまう。
きみの仕事はヘラクレスの難業ではない、
愛の難業なのだ。
と笑うのでした。
そして、友人が帰った後、
ポアロさんの灰色の脳細胞にピカリと閃きが。
「へらくれすゥ!」
「ぐるる!」(←訳:そこだ!)
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスに課せられた12の難業。
ヘラクレスをフランス語読みにすると、
ポアロさんの名前『エルキュール』になります。
それなら私エルキュールも、
引退前にかっきり12の難事件を引き受けて
解決してみせようじゃないか!
「あううゥ? だいじょうぶゥかなァ??」
「がるるるぐる?」(←訳:怪物退治だよ?)
英雄ヘラクレスさんの難業は、
ネメアの谷のライオン退治や、
王さまの汚れきった牛舎の大掃除や、
魔犬ケルベロスの捕獲……なんですけど、
はたしてポアロさんにライオンが退治できるのか、
そもそもロンドンの街角を
ライオンがうろうろしているのか。
いえ、心配は無用です。
依頼人さんがやって来ましたよ、
ライオンならぬ
狆(ちん)誘拐事件の謎を抱えて。
「ちッちゃいィ!」
「ぐるるるがるる~」(←訳:モフモフだねえ~)
ポアロさんが挑む、
20世紀版《ヘラクレスの難業》は、
意外や、ユーモラスな笑いに満ちています。
長編作品で描かれているような、
深刻で、悲観的な面持ちのポアロさんではなく、
ここにいるのは、楽しそうに謎を分解してゆく
理知型のヘラクレスさん。
短篇集ですから、
長編は苦手なんだよう~という方々に、
また、クリスティーさんの作品の入門編としても、
おすすめの一冊です。
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
(付記:画像はネーさ所蔵の旧版です。
現在は新訳新装版が刊行されていますので、
読みやすい新版をどうぞ~)