テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ポアロさん、ヘラクレスに化ける? ~

2023-08-24 22:07:05 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あれれッ? あさのォくうきィがァ~…?」

「がるる!ぐぅっるがっるる?」(←訳:虎です!ちょっと秋っぽい?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 早朝の空気がちょっぴり秋めいていて、

 ラジオからフジファブリックさんの『若者のすべて』が流れてきたら、

 いやホントに夏が終わりつつあるのかも?

 ということで、ウキウキしながらの読書タイムは、

 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― ヘラクレスの冒険 ――

 

 

 著者はアガサ・クリスティーさん、

 原著は1947年に、日本語版は1976年に発行されました。

 英語原題は『THE LABOURS OF HERCULES』、

 クリスティーさんの著作ではお馴染みの

 名探偵ポアロさんが活躍する短篇集です。

 

「おひげのォ、たんていィさんッ!」

「ぐるるがるる……?」(←訳:何やら思案中……?)

 

 ええ、探偵ポアロさんは思案の真っ最中です。

 

   そろそろ引退しよう。

   いつにしようかな~?

 

「ほへッ??」

「がるぅ??」(←訳:引退ぃ??)

 

 ポアロさんは本気……たぶん本気、のようですが、

 友人は首を振って、

 

   引退できるわけがないよ、

   きみは自分の仕事にあまりにも興味を持ってるんだから、

   あと一つ二つだけ、もう一つ、

   なんてやってるうちに、ずるずる長引いてしまう。

   きみの仕事はヘラクレスの難業ではない、

   愛の難業なのだ。

 

 と笑うのでした。

 

 そして、友人が帰った後、

 ポアロさんの灰色の脳細胞にピカリと閃きが。

 

「へらくれすゥ!」

「ぐるる!」(←訳:そこだ!)

 

 ギリシャ神話の英雄ヘラクレスに課せられた12の難業。

 

 ヘラクレスをフランス語読みにすると、

 ポアロさんの名前『エルキュール』になります。

 それなら私エルキュールも、

 引退前にかっきり12の難事件を引き受けて

 解決してみせようじゃないか!

 

「あううゥ? だいじょうぶゥかなァ??」

「がるるるぐる?」(←訳:怪物退治だよ?)

 

 英雄ヘラクレスさんの難業は、

 ネメアの谷のライオン退治や、

 王さまの汚れきった牛舎の大掃除や、

 魔犬ケルベロスの捕獲……なんですけど、

 はたしてポアロさんにライオンが退治できるのか、

 そもそもロンドンの街角を

 ライオンがうろうろしているのか。

 

 いえ、心配は無用です。

 依頼人さんがやって来ましたよ、

 ライオンならぬ

 狆(ちん)誘拐事件の謎を抱えて。

 

「ちッちゃいィ!」

「ぐるるるがるる~」(←訳:モフモフだねえ~)

 

 ポアロさんが挑む、

 20世紀版《ヘラクレスの難業》は、

 意外や、ユーモラスな笑いに満ちています。

 長編作品で描かれているような、

 深刻で、悲観的な面持ちのポアロさんではなく、

 ここにいるのは、楽しそうに謎を分解してゆく

 理知型のヘラクレスさん。

 

 短篇集ですから、

 長編は苦手なんだよう~という方々に、

 また、クリスティーさんの作品の入門編としても、

 おすすめの一冊です。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

 (付記:画像はネーさ所蔵の旧版です。

  現在は新訳新装版が刊行されていますので、

  読みやすい新版をどうぞ~)

  

 

コメント
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