テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ドニさん、イタリアをゆく。 ~

2023-08-22 22:09:22 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きゃゥほうゥ! めぐみのォ、あめェ~ッ♪」

「がるる!ぐっるがっる~!」(←訳:虎です!もっと降って~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日はちょっと雨模様な東京エリア……

 いや、いやいや、水不足解消には足りないぞ?

 もっと降っておくれ、と祈りながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♫

  

 

 

          ―― イタリア絵画巡礼 ――

 

 

 著者はモーリス・ドニさん、

 原著は1933年に、日本語版は2023年7月に発行されました。

 仏語原題は『Charmes et leçons de l'Italie』、

 『芸術の主題をもとめて』と日本語副題が付されています。

 

 著者・ドニさん(1870~1943)は、

 19世紀末に結成されたナビ派の

 中心的な人物として知られる画家さんです。

 

 『ナビ』とは、ヘブライ語で『予言者』という意味があり、

 “印象派とピカソの間で、静かな革命を試みた”

 などとも評される画家グループでした。

 ナビ派の色調、画面構成からは、

 日本美術の影響も感じられますね。

 

「にんきィ、なのでス!」

「ぐるるがる!」(←訳:展覧会多し!)

 

 近代絵画を初めて理論的に定義した画家、

 ともいわれるモーリス・ドニさんは、

 画家さんであると同時に”筆記者“でもあったのでしょう、

 紀行文や、

 亡くなった後にはドニさんの『日記』が

 全3巻で刊行されています。

 

 この御本『イタリア絵画巡礼』の原題は、

 『イタリアの魅力と教訓』といった意味合いで、

 ドニさん、まさにイタリアの魅力を求めて

 都市から都市へと馬車を走らせます。

 

 1921年。まずはシチリアを目指して、

 北アフリカのチュニスを発って海を渡り。

 

 ナポリでは……あまり良いことがなかったらしく、

 さっさと北上して、永遠の都ローマへ。

 

 もっともっと、とシエナとフィレンツェへ向かい、

 騒々しいヴェネツィアや、パドヴァ。

 

 1928~1931年には、またもローマへ。

 フィレンツェへも。

 

「くりかえしィ~だいりょこうゥ!」

「がるぐるるるがるるる!」(←訳:好きなんだねイタリア!)

 

 ラファエロさん、ティントレットさん、

 ティツィアーノさん、アンジェリコさん――

 巨匠さんたちの作品に時を忘れ、

 19世紀のイタリア人はアカデミズムの犠牲者となった、

 なんて嘆いたりしながら、

 ドニさんが手にするのは、絵筆。

 

 御本の表紙になっているのは、

 ドニさんの『フィエーゾレの受胎告知』(1928年)。

 まぎれもなく、

 ドニさんがイタリア旅行で得た主題から

 誕生した作品ですね。

 

「たびのォ、おもいでッ?」

「ぐるるるるがるる!」(←訳:イタリアの丘の光!)

 

 ドニさんが旅した、

 100年前のイタリア。

 

 100年前の画家さんの息遣いが

 文章の中から聴こえてきそうな、

 色彩ゆたかな旅を記録した一冊は、

 アート好きな活字マニアさんにおすすめですよ。

 また、巻末の、

 福島勲さんによる訳者あとがきも必読ですので、

 ぜひ~!

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする