テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ あの夏の、面影。 ~

2023-08-11 22:05:25 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はッぴィ~しゅくじつゥ!」

「がるる!ぐるるがるぅ~!」(←訳:虎です!山の日だよぅ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 の~んびりゆったりゴロゴロしたい夏の祝日も、

 さあ、読書タイムですよ。

 遠くかすむ山々の稜線を見仰ぎながら、

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 十八の夏 ――

 

 

 著者は光原百合(みつはら・ゆり)さん、

 単行本は2002年に、文庫版は2004年6月に発行されました。

 平成14年(2002年)度の日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞し、

 現在も版を重ね続けているロングセラー作品です。

 

「だいめいィがァ~なつゥ!」

「ぐるるる!」(←訳:内容も夏!)

 

 この御本には、

 

 『十八の夏』

 『ささやかな奇跡』

 『兄貴の純情』

 『イノセント・デイズ』

 

 と、4つの短編作品が収録されていますが、

 やはり、読み手のこころにグイッと食い込むのは、

 表題作品である“夏の物語”――

 『十八の夏』

 でしょうか。

 

 主人公……というよりも、

 “視点“の役を担うのは、

 三浦信也(みうら・しんや)くん、18歳。

 

「かよッてェ~るんでスゥ!」

「がるぐるるる!」(←訳:毎日予備校へ!)

 

 大学受験が上手く行かず、

 今夏は予備校生になった信也くん、

 勉強する場所を確保するために、

 とあるボロアパートの一室を借りることにしました。

 

 なぜって、

 信也くんの家はいま、大混乱の最中なんです。

 

 姉が、お産で実家……つまり、

 信也くん宅に帰省してきて、

 おふくろもおやじも、あれこれ心配したり、緊張したり。

 ベビー用品など荷物も増えて、

 受験勉強には不向きな慌ただしさです。

 

 とてもじゃないけど、

 集中できる環境ではありません。

 

 とは言え……。

 

「ここでもォ~むりィ?」

「ぐるがるるる~??」(←訳:集中できない~??)

 

 すぐにも壊れそうなボロアパートで、

 信也くんの集中を妨げるのは、

 上の階の住人の、

 蘇芳紅美子(すおう・くみこ)さん。

 

 彼女と知り合ったおかげで

 このボロアパートを借りる気になった信也くん、

 ついつい耳を澄ませてしまいます。

 

   ……上の階は、静かだ……

   ……紅美子さんは何をしているのかな……

 

 どうやら、信也くんは、

 そして紅美子さんもまた、

 何かを目論んで

 このボロアパートで暮らしている模様ですが……?

 

「もくろみィ~…??」

「がっるるぐる……?」(←訳:いったい何を……?)

 

 登場人物たちそれぞれがひた隠す、こころの波動。

 信也くんの十八の夏は、

 どのような想いを残すことになるのか――

 

 ミステリのジャンルには括り切れない、

 夏のため息のような物語を、

 皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ 脇役なのか、主役なのか? ~

2023-08-10 22:08:39 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ぴかちゅうゥ~ぞろぞろッ??」

「がるる!ぐるる??」(←訳:虎です!コミケも??)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今週末は、横浜で『ポケモンワールドチャンピオンシップス』が、

 東京ビックサイトで『コミケ2023夏』が開催されますね。

 楽しいお祭りの参加者さんたちにエールを送りながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 我、過てり ――

 

 

 著者は仁木英之(にき・ひでゆき)さん、

 単行本は202年に、画像の文庫版は2023年5月に発行されました。

 《僕僕先生》シリーズや《黄泉坂》シリーズで人気の

 著者・仁木さんが、この短篇集で描くのは……

 

 日本の。

 戦国時代の。

 “ちょっと脇役寄り“な、

 4人の武将さんです。

 

「わきやくゥよりィ~?」

「ぐるるぅがるる?」(←訳:主役じゃないの?)

 

 現在放送中の大河ドラマ『どうする家康』では、

 信長さんに家康さん、

 秀吉さん、光秀さん、徳川四天王などなど、

 大河の主役を張れちゃう武将さんたちが

 ゾロゾロ出てきていますよね。

 

 一方、この御本に登場するのは、

 主役……と言えたらいいのに、

 “何か“が足りなくて、

 脇役的な扱いをされてしまう武将さんです。

 

 第一話『独眼竜点睛(てんせい)を欠く』

 第二話『天敵』

 第三話『土竜(もぐら)の剣』

 第四話『撓(たわ)まず屈せず』

 

 の各話で、つかの間、

 天下取りの夢を見るのは、

 

 伊達政宗さん、

 村上義清(むらかみ・よしきよ)さん、

 狒々(ひひ)退治で名を馳せた岩見重太郎(いわみ・じゅうたろう)さん、

 そして、立花宗茂(たちばな・むねしげ)さん。

 

「だてまさむねさんはァ、ゆうめいィでスよゥ!」

「がるるぐるるるるぅ?」(←訳:主役になれるでしょ?)

 

 主役級の気概を持ち、野心を隠せぬ政宗さん、

 しかし、天下人の面前では、分(ぶ)が悪い……。

 

 小田原攻めが始まる前のこと、

 政宗さんは侮っておりました。

 秀吉なんぞ、まだまだ、であると。

 私の方がよほど――

 

「しィ~ッ!」

「ぐるがるるぐるがる!」(←訳:それ以上は危険だよ!)

 

 村上義清さんも、思っていました。

 あの武田信玄めを三度も退けたのは、

 世に武人多しといえども、

 自分だけだ。

 

 その慢心ゆえ、

 やがて困難に見舞われるに到って、

 政宗さんに、義清さんに、

 岩見重太郎さんに、立花宗茂さんも

 慄然として呟くのです。

 

 《我、過(あやま)てり》と。

 

「くやしいィけれどォ~…」

「がるるるっる……!」(←訳:届かなかった……!)

 

 天下に、王座に、

 その手が届くことは無かった武人たちの、

 我が身を切るような、

 諦観と、嘆き。

 

 渋~い時代小説好きな方々に、

 大河の次の次の次の主役は誰だ?とお探しの方々に、

 おすすめの一冊です。

 もしかしたら、いつか(政宗さんのように)

 主役の座が転がり込んでくる……かもしれない

 脇役さんの物語を、皆さま、ぜひ~♪

 

 

 

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~ 小さな小さな、《モザイク》の大海へ ~

2023-08-09 22:07:35 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ききょうもォ~いのりのひィなのでス!」

「がるる!ぐるがるる……!」(←訳:虎です!遠く長崎へ……!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日は8月9日……

 平和がずっと続きますように、

 どうかもう災害もありませんようにと祈る一日でした。

 ここからはちょっと気持ちを入れ替えて、さあ、読書タイムにいたしましょう。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― マイクロモザイクの世界 ――

 

 

 著者は岩田依子(いわた・よりこ)さん、

 2023年7月に発行されました。

 『MICROMOSAICO』とイタリア語題名が付されています。

 

 《マイクロモザイク》とは、

 18世紀後半のイタリアに誕生し、

 そして20世紀前半には衰退してしまった

 モザイクアートの一種で、

 この御本では最盛期の《マイクロモザイク》名品が

 紹介されているのですけれど……

 

 いやもう、見事です!

 

「ちいさいィ~!」

「ぐるるがるる!」(←訳:細密画だよね!)

 

 モザイク画の傑作として有名なのは、

 アレクサンドロス大王の雄姿を現代に伝える唯一の作品

 『イッソスの戦い』(紀元前100年頃)、

 或いは、

 ポンペイの遺跡や、

 3~4世紀のシチリアの建築、

 ビザンチン美術に散見される、

 床面や壁面を飾る作品でしょうか。

 

 それらの“大掛かり“なモザイクに比べて、

 ミクロ単位のモザイク片を使って描かれたものが、

 《マイクロモザイク》です。

 

 直径3~5㎝程度の円や楕円形の台の中に、

 極小粒なモザイク片を並べて、

 造り上げられた図像は、

 鳥、花瓶や花束、

 遺跡などの風景画、

 人物画に、天使も。

 

「なんというゥ、かんせいどォ!」

「がるるるる……」(←訳:神々しいよ……)

 

 日本の職人さんの超絶技巧にも比すべき

 高難易度の細密絵画を制作したのは、

 イタリアのモザイク職人さんたち。

 

 そして、

 職人さんが作り上げるモザイク画だけでも素晴らしいのに、

 モザイク画を収める額、ブローチ風の枠が

 金細工や銀細工で作られていたりすると、

 ただただ息を飲むばかり……。

 

「どれもォ、かわいいけどォ~」

「ぐるるがる!」(←訳:これがいい!)

 

 本文83ページには、

 グィド・レーニさん作(異説あり)の

 『ベアトリーチェ・チェンチ』肖像画が。

 

 その下には、

 ラファエッロ・サンテさんの『翼のある2人の天使』が。

 

「ふううゥ~…」(←溜め息)

「がる~…」(←こちらも溜め息)

 

 この御本には、往時の貴族や富裕層を夢中にさせた

 《マイクロモザイク》の名品200点以上が掲載されています。

 誕生の背景、技法、制作年代の鑑定等についても、

 著者・岩田さんは詳しく解説していますよ。

 

 豆本や七宝など、

 ミニチュアなアートが好きな方々には特におすすめの、

 必見の一冊です。

 《マイクロモザイク》の知識の海へ、

 ぜひ、飛び込んでみてくださいね~♪

 

 

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~ 《世界》は彼女の手の中に ~

2023-08-08 22:05:50 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 りッしゅうゥゥゥ~ッ!」

「がるる!ぐるうるぅ……!」(←訳:虎です!立秋だぁ……!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ああ、なんて魅了的な響きでしょう………立秋!

 早く秋風よ吹いておくれ、いや台風は来なくていいから!

 と、お腹の底から祈りつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 成瀬は天下を取りにいく ――

 

 

 著者は宮島未奈(みやじま・みな)さん、

 2023年3月に発行されました。

 本屋さんの店頭に並ぶや、いえ、並ぶ前から大評判を呼んだ

 大“青春小説”……と言えばいいんでしょうか。

 

「しゅじんこうはァ、もッちろんッ!」

「ぐるがぅる!」(←訳:成瀬ちゃん!)

 

 成瀬あかり(なるせ・あかり)さん、14歳。

 

 学校からの帰路、

 あかりさんの横を歩く

 島崎みゆき(しまざき・みゆき)さんは、

 あかりさんの奇妙な宣言を聞く羽目になりました。

 

 《島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う》

 

「ふァいッ! ほんきィでス!」

「がるぐる!」(←訳:本心です!)

 

 同じマンションに生まれて

 同じ幼稚園に通って、小学校中学校も同じで……

 という生活を送ってきたみゆきさんには、

 ええ、あかりさんの言いたいことが

 なんとなく分かります。

 

   わたしたちが住む大津市唯一のデパート、

   西武大津店は、

   一か月後の8月31日に営業終了をする――

   44年間の歴史も、この8月いっぱいで終わり。

 

   そして、滋賀県の県域ローカル局、

   びわテレの番組『ぐるりんワイド』では、

   西武大津店から毎日生中継をする予定で。

   ……そうか、もしかして、その中継に。

 

「まいにちィ、うつるゥのでスゥ!」

「ぐぅっるがるぐるる~!」(←訳:チェックしてほしい~!)

 

 成瀬がまた変なことを言い出した、と思いつつも、

 みゆきさん、中継初日の番組開始5分前には

 きちんとTV前で待機しておりました。

 

 時間になって、BGMが流れて、

 画面が西武大津店からの中継に転じると。

 

「わうッ! いたッ!」

「がるるぐる!」(←訳:本当にいた!)

 

 肩まで垂らした黒髪に、不織布マスクに、

 ……なぜか、西武ライオンズのユニフォーム。

 目立っている、目立っています。

 あかりさん、不審者っぽさ120%で目立ちまくってます。

 

 あまりの不審者感に、インタビュアーさんには

 無視されちゃいましたが。

 

「むふふッ、いいのだッ」

「ぐるるがるるる!」(←訳:映ればいいのだ!)

 

 西武大津店が閉店するまで毎日通う、

 と気合満々のあかりさん。

 

 あかりさんとの付き合いが長いみゆきさんも、

 内心ではちょっぴり怪しみます。

 

 どうしてまた、あかりさんは――成瀬は、

 《この夏を西武に捧げる》ことにしたんだろう?

 

「むふふゥ、それはァ~」

「がるるるぐるるる!」(←訳:読んでのお楽しみ!)

 

 読み手をグイッと引き込む

 『ありがとう西部大津店』で開幕し、

 『膳所(ぜぜ)から来ました』

 『階段は走らない』

 『線がつながる』

 『レッツゴーミシガン』

 『ときめき江州音頭(ごうしゅうおんど)』

 と計6編から成る成瀬あかりさんの《天下取り》物語、

 夏休みの読書タイムに激おすすめですよ。

 

 あかりさんの、

 それに”相棒“みゆきさんの、その後は……?

 続編熱望の快作を、

 皆さま、ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ 怪獣たちは、海の底から? ~

2023-08-07 22:09:33 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うゥ~むッ? はくあきィ?」

「がるる!ぐぅるるがる!」(←訳:虎です!ジュラ紀だよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 『確かにジュラ紀の生物だ…!』とは、

 『ゴジラ』の山根博士(志村喬さん)の名台詞ですね。

 さあ、本日の読書タイムでは、

 山根博士も気に入って下さること間違いなしの、

 こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 怪獣生物学入門 ――

 

 

 著者は倉谷滋(くらたに・しげる)さん、

 2019年10月に発行されました。

 《日本の怪獣映画を中心にした

  SF諸作品に観るモンスター》を考察する新書作品です。

 

「みんなァ、だいすきィ~!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:ボクらのゴジラ!)

 

 1954年、フィルムの中から、いえ、海の底から、

 ゴジラは日本列島に上陸しました。

 

 とはいっても、それが最初の上陸だとは思われません。

 一説には、ゴジラという名は民間伝承に拠るもので、

 ならば、過去にもゴジラが現われたことがあったのか、

 とイマジネーションが膨らみますね。

 

 この御本では(割と真面目に)、

 ゴジラたち《怪獣》はどこから来たのか、

 どのような生物なのか、

 ゴジラと他の怪獣たちの違いは等々、

 生物としての《怪獣》が論じられていますよ。

 

「きそからァ、まなぼうゥ!」

「がるるぐる!」(←訳:生態や形態!)

 

 ゴジラが世に出たのは1954年ですが、

 著者・倉谷さんは、それよりももっと昔の、

 或る学説に注目します。

 

 それは、『地球空洞説』。

 

 21世紀の今となっては、

 トンデモ扱いされるファンタジーさながらの『地球空洞説』……

 しかし、かつては多くの学者さんが真剣に検討し、

 研究していた学説は、

 ジュール・ヴェルヌさん著『地底旅行』、

 エドガー・ライス・バロウズさん著『地底世界ペルシダー』

 といった名作を生み出しました。

 

 そして、我らがゴジラも――

 

「たぶんッ、すんでいるのはァ~…」

「ぐるるがるる?」(←訳:海底の底の底?)

 

 そこは、

 現代に残された太古の地球の名残り、でしょうか。

 ヴェルヌさんが夢見た地下の大空洞世界、でしょうか。

 

 彼らは今もそこにいる。

 核実験で目を覚まさせられるようなことがなければ、

 穏やかに、そこで暮らしている……。

 

「しィ~ッ、しずかにッ!」

「がるるるぅぐるるる!」(←訳:起こしちゃだめだよ!)

 

 ゴジラ、ビオランテ、キングギドラ、ガメラや、

 キングコング、マタンゴ、寄生獣、

 『ウルトラQ』のセミ人間(チルソニア星人)まで。

 

 SFと科学をつなぐ雄大な『怪獣生物学』は、

 ゴジラマニアさんはもちろん、

 特撮好きな映画ファンさんにも、おすすめですよ。

 

 『あのゴジラが最後の一匹とは思えない……』

 と、ふたたび山根博士の名言を想い浮かべながら、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪ 

 

 

 

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~ ホットケーキ……じゃなくて? ~

2023-08-06 21:58:35 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ななじゅうゥ~はちねんッ?」

「がるる!ぐるるる……」(←訳:虎です!七十八年……)

 

 こんにちは、ネーさです。

 78回目の《原爆の日》に、

 あらためて誓うのは、NO WAR!

 平和の尊さ有難さを痛感しながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― お探し物は図書室まで ――

 

 

 著者は青山美智子(あおやま・みちこ)さん、

 単行本は2020年11月に、画像の文庫版は2023年3月に発行されました。

 2021年度の本屋大賞第2位になって、話題となりましたね。

 

「そこはァ~ちいさいィけどォ~…」

「ぐるるがるぐるる!」(←訳:最強で最高なのだ!)

 

 区が運営する、コミュニティハウス。

 小学校に隣接するその建物には、

 ちょっと小ぶりではありますが、

 図書室もあります。

 

 藤木朋香(ふじき・ともか)さんは、

 そっと中を覗いてみました。

 

 総合スーパーで接客業をしている朋香さんが

 このコミュニティハウスにやって来た目的は、

 パソコン教室。

 

 転職を考えている彼女は、

 PCのスキルを高めたくて、

 教室でエクセルの基礎をひと通り教わった後、

 何か参考書はないかなぁ、と

 図書室を訪れたわけで。

 

「どれにィ~しようゥ~??」

「がるるぅ~?」(←訳:悩むねぇ~?)

 

 どんな本をお求めか、

 迷ったときや、レファレンスサービスが必要な時は、

 司書さんに相談を。

 

 とアドヴァイスされて、

 司書さんのいるカウンターに行ってみたら。

 

「あうううゥ?」

「ぐるる~…がるるる??」(←訳:これは~…ほんとに??)

 

 司書の小町さゆりさんが

 朋香さんの話を聞いて

 選出してくれた書籍リストに載っていたのは、

 パソコン関連の書籍数冊と……

 『ぐりとぐら』。

 

 いえ、見間違い読み間違いじゃありません。

 『ぐりとぐら』、

 確かにあの、名作絵本の『ぐりとぐら』です。

 

「あはァ! たまごッ!」

「がるるるるぐるがるる!」(←訳:ぐりとぐらならタマゴ!)

 

 戸惑いつつも、

 絵本のコーナーで『ぐりとぐら』を手に取ってみれば、

 朋香さんの頬もなつかしさに緩みます。

 

 大きなフライパンに、ふかふかホットケーキ……

 え? あれっ?

 カステラ?

 ホットケーキじゃなくてカステラ?

 

「うむゥ! かすてらァでス!」

「ぐる!がるるる!」(←訳:うん!カステラ!)

 

 ホットケーキではなく、カステラ。

 

 驚きは小さな気付きとなって、

 朋香さんを大きく変えてゆきます。

 予想していなかった《明日》の方角へ――

 

 5つの章から成る物語は、

 “紙の本”が大好きな活字マニアさんに、

 図書館/図書室好きな方々にもおすすめですよ。

 司書・さゆりさんのスゴ腕っぷりに唸らされながら、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ 夏の《海》展 ~

2023-08-05 22:03:23 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まさにィ~でんげきィ!」

「がるる!ぐるるぅっるる~!」(←訳:虎です!驚いちゃったよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 羽生結弦さんが結婚を発表……!

 うわあ、おめでとうございます!

 と全力でお祝いの拍手を送ったあとは、

 さあ、週末の本日は読書をサボり、こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 特別展 海 ――

 

 

 東京・上野の国立科学博物館にて、

 会期は2023年7月15日~10月9日(休館日は9/4、9/11、9/19、9/25)、

 8月11日~20日は夜間開館により19時閉館(入場は18時30分まで)、

 『Special Exhibition The OCEAN - The Origin of Life』と英語題名が、

 『生命のみなもと』と日本語副題が付されています。

 

「あおいィ~!」

「ぐるーるがる!」(←訳:ブルーの世界!)

  

 2013年と2017年の『深海』に続いての、

 国立科学博物館と海洋研究開発機構がタッグを組んでの

 特別展第3弾のテーマは、『海』。

 

 生命と海の始まり、

 海と生き物のつながりや、海からの恵み、

 海との共存を模索する各展示室には、

 小惑星リュウグウの砂、

 シーラカンスの剥製標本、

 高さ4.7mのナガスクジラ上半身標本をはじめ、

 多数の貴重な剥製や標本が勢揃いしていますよ。

  

 また、公式ナビゲーターを務めるのは、

 同志社大学助教の、桝太一さんです。

 

「うみのォ、ぷろふぇッしょなるゥ!」

「がるるぐるるる~!」(←訳:一緒に海中探検~!)

 

 夏にふさわしい、

 《海を知り、未来を考える》特別展へ、

 学生さんも大人諸氏も、

 お出掛けしてみてくださいね~♪

 

 

 

   では、ここで美味しいオマケ画像も、じゃ~ん!

   

   ↑こちらは、『森永』さんの

   《森永の焼きプリン味 サンドクッキー》と、

   

   ↑《DARS 森永の焼きプリン味》です。

   「ちょッぴりィ~れとろッ?」

   「ぐるるるがるるぐる!」(←訳:ほんのり昭和の香り!)

   かために焼いたプリンの風味を再現した、

   どことなくレトロなお菓子ですね。

   冷蔵庫で冷やしてから、

   パクリ!といってみましょう。

 

   今週末、ここ八王子では《八王子まつり》が開催されています。

   あいにくの猛暑なんですけど、

   熱中症に充分気を付けつつ、

   近隣にお住まいの方々は、ぜひ、遊びに来てくださいね~♪

   

   

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~ 語るは、我にあり。 ~

2023-08-04 22:03:34 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あらたにィ~さんにゅうゥでスよゥ!」

「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!英国発です!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日8月4日、『コスタコーヒー』日本第1号店が

 渋谷にオープンします。

 ロンドンで誕生したコーヒーチェーンって、どんな感じかしら?

 好奇心をMAXにしながら、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  

 

 

     ―― 神作家 紫式部のありえない日々 3 ――

 

 

 著者はD・キッサンさん、2023年6月に発行されました。

 

 日本が誇る平安時代最高のアーティスト・紫式部さんは、

 実は、同人作家さん……

 そして、式部さんの作品『源氏物語』は、

 宮中で流行中の、同人誌……!

 

 という、驚愕の設定で私たちをノックアウトしてくれた

 《神作家 紫式部のありえない日々》第3巻ですよ。

 

「しきぶゥさァ~んッ!」

「ぐるるがるるるるる~?」(←訳:原稿は進んでますか~?)

 

 いえ、それが……

 この御本の中では、

 『藤式部(とうしきぶ)』の名で呼ばれている紫式部さん、

 トラブルに巻き込まれてしまって、

 『源氏物語』新作刊行どころではなくなりました。

 

   式部さんのひとり娘・賢子(けんし)さんこと

   ケンちゃんが誘拐された!

 

 と、弟の惟規(のぶのり)くんが

 式部さんの局(つぼね)に急を報せに来て、

 もう完全にパニックです。

 

「ゆッ、ゆうかいィ~…!」

「がるるっ……!」(←訳:マジでっ……!)

 

 幼い女の子を連れ去るなんて、何を考えてるんだと、

 怒りに身を震わせる藤式部さんでしたが、

 ふと思ったのは。

 

 この設定、どこかで……?

 

「おおゥ! そういえばァ~?」

「ぐるるるる?」(←訳:もしかして?)

 

 式部さん、惟規くん、それに

 ケンちゃんの乳母・百草さんが揃って連想したのは、

 『源氏物語』の若紫のストーリーでした。

 

 つまり、誘拐犯は式部さんの同人誌『源氏物語』の

 読者なのだろうか――

 

「だいひょうばんッ、でスもんねッ!」

「がるるぐるる!」(←訳:御所で大人気!)

 

 式部さん、言葉を失くさざるを得ません。

 

 私の作品を好いてくれるひとがいる、のはいいけれど、

 それが“悪“を呼ぶ?

 犯罪を招いてしまう?

 そんなことが……

 

 いや、いやいやいや!

 ここはウジウジ悩むよりも、行動です!

 我が子を救う方が先!

 

 幸いにも、乳母の百草さんには心当たりがありました。

 ケンちゃんをさらっていったのは、アイツだ。

 アイツの屋敷へ、いざ突撃!!

 

「ゆけゆけェ、しきぶさんッ!」

「ぐるるがるるるーる!」(←訳:喰らえ右ストレート!)

 

 いきなりのアクションパート?から始める

 式部さんの『ありえない日々3』の読みどころは、

 もちろんアクションだけではありません。

 

 創ること。

 何があろうと、

 細々とでも、のろのろであろうと、創ってゆくこと。

 その気概を、しっかりと胸に抱く式部さんの潔さ。

 

 また、式部さんの理解者として、

 ケンちゃんが良い味を出しています。

 誰よりも可愛い我が子に応援されて、

 式部さんが宮中に送り出す新作とは……?

 

「あれでスかッ!」

「がるぐる!」(←訳:アレだよ!)

 

 本家《源氏物語》ファンの方々にも

 激おすすめのコミック作品です。

 読めばたちまち藤式部さんに惚れこんでしまう快作を、

 皆さま、ぜひ~♪

 

 

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~ ゆったり《名画》巡礼行 ~

2023-08-03 22:03:49 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あさからァ~はらはらッでスよゥ~!」

「がるる!ぐるがるる……!」(←訳:虎です!劇的だなあ……!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 朝ドラ『らんまん』の過酷すぎるストーリー展開に、

 今日はもう啞然愕然とさせられました。

 医薬品がない時代のつらさ、悲しさ……

 せめて現代の子どもたち皆が救われることを願いつつ、

 さあ、気合を込めて読書タイムですよ。

 本日は、こちらのアート新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 名画を見る眼 Ⅰ ――

 

 

 著者は高階秀爾(たかかい・しゅうじ)さん、

 2023年5月に発行されました。

 『――油彩画誕生からマネまで』と副題が付されています。

 

 アート評論の第一人者・高階さんの代表作『名画を見る眼』が、

 図版がモノクロであった旧版から、

 高解像度画像データを用いたカラー図版収録の

 新版に生まれ変わりました!

 

 この『Ⅰ』では、副題にありますように、

 油彩画の技術がほぼ確定した15世紀前半に始まり、

 19世紀後半のパリで活躍した

 エドゥアール・マネさんまでの

 《名画》を読み解いてゆきます。

 

「みィ~んなァ、しッてるゥ!」

「ぐるるる!」(←訳:超有名作!)

 

 誰もが知っている、

 どこかで目にしたことがある、

 とても有名な絵画作品。

 

 しかし、有名であるということは、

 ときに、マイナスの方向に働いちゃったりもするのです。

 

「まいなすゥ~??」

「がるるぐるるるぅ??」(←訳:どこがマイナスぅ??)

 

 《名画》の“居場所“は、美術館の常設展示室。

 ええ、常設展って、割と軽く見られるんですよね。

 期間限定なものや新奇なものが出展されている

 企画展示室の方へ、

 私たちの足はついつい進んでしまいがちです。

 

 けれど、高階さんはまっすぐに向き合います。

 

 あまりに有名で、もはや目新しさは無さそうな、

 《名画》たちに。

 

 ボッティチェルリさんの『春』。

 レオナルドさんの『聖アンナと聖母子』。

 ベラスケスさんの『宮廷の侍女たち』。

 ゴヤさんの『裸のマハ』。

 マネさんの『オランピア』……。

 

「ううゥむゥ! めいさくゥ、ずらァ~りィ!」

「ぐるがるるる!」(←訳:名画尽くしだ!)

 

 私ネーさが何度も読み返したのも、

 世界的に知られている或る傑作についての章です。

 

 ラファエルロさんの『小椅子の聖母』――

 

 1514年頃に制作された油彩画は、

 直径およそ71㎝の円い板に、

 聖母さまと幼いイエスさま、

 聖ヨハネさまが描かれたもの。

 

 親しみやすい、優しげな聖母子像は、

 即興的と言ってよいほど自然である、

 と評しながら、

 高階さんは厳格に指摘します。

 

   ラファエルロの全作品のなかでも、

   最も深く考えぬかれた構成的な作品と

   言ってもよいかもしれないほどである。

 

「むむッ? こうせいてきィ?」

「がるぐるる??」(←訳:その根拠は??)

 

 画面のどこに、

 高階さんは画家ラファエルロさんの“真意”を

 読み取ったのか。

 『小椅子の聖母』は

 ラファエルロさんの他の作品とどう違うのか――

 

 画家さんへの敬意がにじむ

 あざやかな一篇です。

 

「はくしゅゥ~!」

「ぐるるるるがるるるるぐる~!」(←訳:画家さんと高階さんに拍手~!)

 

 15の章から成る《名画》評論は、

 アート好きさんなら

 夢中になって読みふけること必至!な快作ですよ。

 夏休みの読書タイムに、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ インクが、紙が、物語るのは。 ~

2023-08-02 22:08:35 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふわァ~…ふたたびィ~しゃくねつゥ~…」

「がるる!ぐるがるぐる~…」(←訳:虎です!酷暑バテだね~…)

 

 こんにちは、ネーさです。

 昨日の雷雨の後でかすかに聴こえた

 秋の虫さんたちの歌声は幻だったのでしょうか……

 今日も猛暑にため息しては、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 銀座《四宝堂》文房具店 ――

 

 

 著者は上田健次(うえだ・けんじ)さん、

 2022年10月に発行されました。

 『四宝堂』は、『しほうどう』とお読みくださいね。

 

「むむゥ? ぶんぼうぐのォ~おみせッ?」

「ぐるるがるる?」(←訳:しかも銀座の?)

 

 はいはい、慌てないで。

 銀座にある文具のお店、というと、

 まず思い浮かぶのは『銀座 伊東屋』さん、でしょうか。

 

 一方、こちら――

 『四宝堂』文房具店さんは、

 銀座のとある路地の先、

 クラシカルな円筒形のポストがすぐ前にあって、

 店主さんが一人でお店を回している、

 という、小さな個人商店さんです。

 

 ただ、『四宝堂』さんの歴史は長くて、

 創業は天保5年(1834年)のこと。

 

「ふるかぶゥ、でスねッ!」

「がるるぐる!」(←訳:長寿のお店!)

 

 その『四宝堂』さんへ、

 メモを手にようやく辿り着いたのは、

 新社会人の、新田(にった)さん。

 

 東京に出てきたばかり、

 銀座にはまったく詳しくなくて、

 キョロキョロし通しの新田さんですが、

 どうしようもない思いに駆られて

 ここまでやって来ました。

 

 その思いとは……

 『初任給の使いみち』。

 

「あはァ!」

「ぐるるる~!」(←訳:なるほど~!)

 

 働いて、初めて得た大切なお金を、

 どう使うか、何に使うか。

 

 新田さんにとって答えはひとつしかありません。

 

   田舎の祖母に何か贈ろう。

 

「おおッ、にッたさんッ!」

「がるぐるる~!」(←訳:いいヒトだ~!)

 

 親切な百貨店員さんのおかげで、

 何を贈るかは無事に決まりました。

 

 でも……出来るなら、

 贈り物に一筆添えたい。

 御礼の言葉を、万年筆で書いて、送りたい……。

 

「ふむふむゥ、まんねんひつゥ~でスかァ~…」

「ぐるるがるるる?」(←訳:それで文具店へ?)

 

 万年筆に続いて、

 システム手帳、

 大学ノート、

 絵葉書、

 メモパッド、

 と”主役“を替えつつ綴られてゆくのは、

 文房具とヒトの物語。

 

 『四宝堂』店主・宝田硯(たからだ・けん)さんの

 楽しい文房具案内に聞き惚れながら、

 文具好きな方々、

 銀座が好きな方々も、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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