「こんにちわッ、テディちゃでス!
はッぴィ~しゅくじつゥ!」
「がるる!ぐるるがるぅ~!」(←訳:虎です!山の日だよぅ~!)
こんにちは、ネーさです。
の~んびりゆったりゴロゴロしたい夏の祝日も、
さあ、読書タイムですよ。
遠くかすむ山々の稜線を見仰ぎながら、
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 十八の夏 ――
著者は光原百合(みつはら・ゆり)さん、
単行本は2002年に、文庫版は2004年6月に発行されました。
平成14年(2002年)度の日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞し、
現在も版を重ね続けているロングセラー作品です。
「だいめいィがァ~なつゥ!」
「ぐるるる!」(←訳:内容も夏!)
この御本には、
『十八の夏』
『ささやかな奇跡』
『兄貴の純情』
『イノセント・デイズ』
と、4つの短編作品が収録されていますが、
やはり、読み手のこころにグイッと食い込むのは、
表題作品である“夏の物語”――
『十八の夏』
でしょうか。
主人公……というよりも、
“視点“の役を担うのは、
三浦信也(みうら・しんや)くん、18歳。
「かよッてェ~るんでスゥ!」
「がるぐるるる!」(←訳:毎日予備校へ!)
大学受験が上手く行かず、
今夏は予備校生になった信也くん、
勉強する場所を確保するために、
とあるボロアパートの一室を借りることにしました。
なぜって、
信也くんの家はいま、大混乱の最中なんです。
姉が、お産で実家……つまり、
信也くん宅に帰省してきて、
おふくろもおやじも、あれこれ心配したり、緊張したり。
ベビー用品など荷物も増えて、
受験勉強には不向きな慌ただしさです。
とてもじゃないけど、
集中できる環境ではありません。
とは言え……。
「ここでもォ~むりィ?」
「ぐるがるるる~??」(←訳:集中できない~??)
すぐにも壊れそうなボロアパートで、
信也くんの集中を妨げるのは、
上の階の住人の、
蘇芳紅美子(すおう・くみこ)さん。
彼女と知り合ったおかげで
このボロアパートを借りる気になった信也くん、
ついつい耳を澄ませてしまいます。
……上の階は、静かだ……
……紅美子さんは何をしているのかな……
どうやら、信也くんは、
そして紅美子さんもまた、
何かを目論んで
このボロアパートで暮らしている模様ですが……?
「もくろみィ~…??」
「がっるるぐる……?」(←訳:いったい何を……?)
登場人物たちそれぞれがひた隠す、こころの波動。
信也くんの十八の夏は、
どのような想いを残すことになるのか――
ミステリのジャンルには括り切れない、
夏のため息のような物語を、
皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね~♪