写真は2019/6/18「尾瀬国立公園・尾瀬ヶ原」
写真上:それにしても「はるかな尾瀬~♪遠い空♪」だったよ~。
奈良地域からのアクセスは、ちょっと遠いけどやはり車になりました。
自然を守るために努力・工夫されていると実感しましたが、近年はシカ・
イノシシなどがミズバショウはじめ植物を食べて少なくなっているそうです。
難しい問題。
「博士の愛した数式」(小川洋子、新潮文庫、2005)の博士は、交通事故による記憶喪失症状があり、事故以前の記憶は残っているのに、新しい記憶はきっちり80分間しか保持できません。(家政婦の)私と(息子の)ルートはさまざまな工夫や気遣いをしますが、博士の数学的な考え方は母子に影響を与え、博士自身も生まれて初めて「野球の試合観戦」に行くなど、お互いに変化していくようすが描かれています。
博士は今でも数学雑誌の懸賞問題に挑戦し、一等賞を獲得したこともあります。なぜ問題が解けるのかと問われ「・・・数学のひらめきも、最初から頭に数式が浮かぶ訳ではない。まず飛び込んで来るのは数学的なイメージだ。輪郭は抽象的でも手触りは明確に感じ取れるイメージなんだ・・・」と説明します。
また博士は数学だけでなく、野球が大好きで阪神の江夏投手(※1)の熱烈なファンですが、「・・・正直に言うと、野球の試合というものを、一度も見たことがない」のです。「信じられないよ。応援したこともなく、どうしてタイガースのファンになれるの?」というルートのもっともな問いには「図書館に行って新聞のスポーツ欄を読むんだ。・・・野球ほど多彩な数字で表現できるスポーツは他にないからね。阪神選手の打率や防御率のデータを分析するんだ。0.001の変化を読み取って、試合の流れを頭の中でイメージするのさ」と答えます。
江夏の背番号「28」は完全数(※2)、それを背負って剛速球を投げる姿も博士のイメージを書き立てたようです。つまり博士は普通の人以上に、数字や変化そのものから感じることやイメージすることがあったのでしょう。
※1「江夏豊:1948年奈良県生れ。不世出の天才左腕投手と言われ。1968年401奪三振の世界新記録樹立。71年のオールスター戦での9者連続三振は今でも語り伝えられている。
※2「完全数」も珍しい数字で、「友愛数」と同じ計算をすると自分自身と同じ数字になる。28:1×28,2×14,4×7 1+2+4+7+14=28
さらに博士の得意技が紹介されます。ひとつは「相手が言った文章を即、逆さまにして返すことができる」という不思議な能力です。自分でもなぜそんな芸当ができるのかわからないようですが、「ひとつはっきりしているのは、文章を頭の中で映像にし、それを逆に読んでいるのではない、ということだった。大事なのはリズムで、絶対音感を発揮するようにして、文章のリズムを耳でつかんでしまえば、その後逆回転させるのはお安い御用らしい」と「私」は考えます。
「私なんかたった3文字の言葉をひっくり返すのだって間違えます。それはギネス級の得意技です。世界びっくり人間ショーにだって出演できます」と「私」は返答するのです。
そしてもうひとつは「一番星をだれより早く見つけられる才能」で「恐らくこれから夜を迎えようとする世界の中で、彼ほど敏感に一番星を見つけられる人間は他にいないだろうと思われた」のです。博士の人間性は次第に具体的・魅力的となり、まるで現実のモデルがいるように思えてきます。
最後になるとなぜだか唐突な感じで博士の名前が「本屋敷錦吾」と明かされ、なぜここで必要なのかな?と思いました。それまでの博士のイメージからはぎょうぎょうしい、というかそぐわない感じがしたからでしょう。
「本屋敷」は本が積まれている屋敷(部屋)で読書や勉強するイメージかな?また「錦吾」の「錦」からは「故郷に錦を飾る」ということわざを想起しますが、実際にはそうできなかったという意味なのでしょうか?
*** 続く ***
ミズバショウとリュウキンカは相棒のように一緒に咲く
タテヤマリンドウ 淡青紫色の美しい花は存在感がある。日照時だけ咲く。
イワツバメ 鳩待峠の売店上に巣をつくっていて、巣に使う泥を集めている
ようです。
朝早い時間にいろいろなポッカさんに出会えるみたい。