写真:「なんじゃこりゃあ~!」松田優作のジーパン刑事でなくても
見た人は叫ぶはず!
海岸線に沿ってさらに進みましょう。
久部良の村を抜け15分くらい歩くと、独特の岩石が連なる「クブラフルシ」と呼ばれる海岸線に出ます。かつて妊婦を飛び越えさせて「ひとべらし」を行ったという「久部良バリ」(地名は地図の表記どおり)もここにあります。(写真左)
バリというのは「割れ目」の意味で、大きな岩石の間に深い裂け目があり、その幅は3~5mもあります。現在は堆積物で埋まっていますが、かつて深さは7mもあったそう。
こんなところを普通の人が飛び越えることはできないです。まして妊婦さんには。たいていの人が大怪我を負うか転落死をし、胎児は流産したことでしょう。年に一度行われたという具体的な場所を見ると、悲しい歴史を思わずにいられません。こんな方法しかなかったのかな?
写真:哀しい歴史を知ってか
知らずか、島じゅうに咲く白百合
「人減らし」や「まびき」という行為は、本土やそのほかの地域でもあったと歴史が告げています。ほんの100年前くらいでは普通のことだったのでしょう。とはいえこのさいはての地まで「人頭税」などの重税感や食料難などが及んでいたことがわかり、どこまで行っても桃源郷などは存在しないことを痛感させられるのです。
周囲の岩石と海岸に打ち寄せる荒い波に引かれ、下りながら写真を撮っていた時です。ふいに岩石の上にひとりの男性の姿が現れました。ギョッ! まだ明るいですが夕方の時刻、もし降りてきたら逃げ場もまったくないし、叫んでも誰にも届きそうにありません。良い人なのか悪い人なのかを知る由もなく、恐怖感が募ってきます。
写真:岩石の形状は多種多様。
めったにないのですが、「ひとり旅」であることに危険が伴うことを実感します。そんな場所では時刻を考慮し、周囲に注意することが必要ですが、行って見ないとどんな所なのかわからないのも事実。
くだんの男性はしばらく興味深く見ていましたが、「警戒されている」と感じたようで、立ち去って行きました。やれやれ。残念ですが「男性のひとり旅」は警戒されることが多いでしょう。
気持ちが動揺しているときに目に入ってきたのがこの情景(トップの写真)。いっそう不気味に、おどろおどろしく見えてしまったのでしょう。「なんじゃこりゃあ!」思わず声が出てしまいました。今見ると「すばらしい芸術性」さえ存在していますよね。
写真右:ばしょうの花を初めて見ました。小さいバナナのような実もあります。久部良岳で。
特異な岩石、といってもその種類は多種多様です。岩石の種類によるのか、浸食のしかたによるのか、あるいは隆起・沈下の時代などによるのか、また違う理由なのか、まったくわかりません。誰かに説明して欲しいです。