あいよっこの旅ログ:::Part2:::

「女性のひとり旅は冒険の始まり!」

「こころの障害も脳にちょっと手を加えて・・・」

2007-12-20 00:17:31 | 「脳」「こころ」「身体」

Brain Map(ブレインマップ・脳地図)というのは、脳のどの部位でどんな経験や反応を起こしているのか、その場所を示すもので、mapping(マッピング)はその作業のことです。現在世界中で最先端の科学者が参加して、多数の論文が発表されている分野です。<o:p></o:p>

精神的疾患と脳の組み立てや機能の関係がある程度わかってくると、製薬会社はさまざまな神経伝達物質(現在50種類あまりが確認されている)に働きかけて、たとえば衝動的な行動を抑制する薬や、反対に気分を高揚させる薬などが盛んに研究されています。<o:p></o:p>

だけど薬といっても、効果と副作用はつきもの。最近では200710月に依存性の高い向精神薬「リタリン」が乱用されていることをうけて、厚生労働省は「うつ病」を適応症からはずし、処方を取りやめるよう決定しました。医師の診断・処方で薬物依存症になってしまうなんて、医療の根本的な信頼を失墜するようなできごとです。これも結局早急に症状をなくしたい、てっとりばやく苦しみから逃れたいという期待と、即効性の薬にたよる医者・患者双方の気持ちから問題が拡大したといえるでしょう。

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写真:西表島に隣接する由布島のちょうちょう園で。オオゴマダラ(まただらちょう科)

 

 

リタ・カーターは「薬の次に期待できるのは。遺伝子工学である。かつて私たちの役に立っていたシステムは、暗号化されて遺伝子に記憶されている。その遺伝子にちょっと手を加え。現代人向けの脳を作り出す日は、そう遠くないかもしれない」と言っています。ぎょえー!脳細胞の遺伝子に直接なにかして、作り変えるのか?そんなこと許されるのか? 彼は「でもそんなの問題じゃーねえ」といっているようです(?)。<o:p></o:p>

すでにプラムとカミングスは遺伝子操作の対象候補を発見し、D2R2と名づけたそうです。アルコール依存症、薬物依存症、強迫性の摂食障害、ギャンブル依存症の人の50-80%がそれを持っており、報酬経路の神経細胞にドーパミンが結びつく邪魔をする、というのです。だからこの遺伝子D2R2を持つ人は、より多くのドーパミンを分泌して満足感を得たいがために、ますます依存対象にのめりこんでしまうことになります。プラムとカミングスは「ヒトゲノムをほんのちょっと(!)操作するだけで、筆舌に尽くしがたい苦しみや病気、早すぎる死を救うことができるかもしれない(!)」と言っています。<o:p></o:p>

そしてリタ・カーター自身も「たしかに危険はあるが、時代遅れの道具(!)をいつまでも使っているとそれはそれで危険だ。・・・(中略)長い年月をかけた自然淘汰で私たちは優れた能力を身に付けた。それを活用して、自分たちの作り出した環境により適合できるよう、自らを変えていく時代がやってきた」と結んでいるのです。<o:p></o:p>

みなさまは自らがこころの症状を持ったとき、どうしますか?脳細胞にほんのちょっと手を加えてみますか?でも現実にはいろんな怖いことが密かに進行しているのかもしれないですね。注:( )内と(!)はすべて筆者

 

★☆★☆心理学の話はしばらくお休みして、次回からは「あいよっこの島々模様 西表島と沖縄本島」が始まります★☆★☆

 

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「ムチを避けて、アメばかり求める現代人の脳」

2007-12-17 13:04:08 | 「脳」「こころ」「身体」

脳のシステムが摂食障害を起こす仕組みは次のように考えられています。引用文献はリタ・カーター『脳と心の地形図』より。<o:p></o:p>

これまで紹介したように「私たちの脳は生存に必要なものを追い求め、獲得するために『アメとムチ』システムを使って」います。たとえば摂食障害に一番関係する食欲について考えてみると、まず美味しそうな食べ物を見る、また良い匂いに反応する感覚、あるいは身体からの血糖値低下といった刺激を、大脳辺縁系(皮質の内部にあります)が認知すると、「食べたい、手に入れたい」という欲求を感じます。<o:p></o:p>

次に欲求や衝動を満たすために、新皮質(意識的な脳)は、食べ物を口に入れる、追いかけて獲得するといった身体的な行動や行為を起こす命令を出します。そうして行動・行為の後、身体は大脳辺縁系に再び信号を送り返し、その結果ドーパミン・セロトニンに代表される神経伝達物質(脳内ホルモン)を分泌し、満足感・快感を得るというシステムです。<o:p></o:p>

アメとムチが具体的にどんなものかについては触れていませんが、アメは当然脳内ホルモンのドーパミンなどで、それによりあま~~いごほうびが与えられます。一方ムチというのは行動に伴う危険性、はらはらどきどきの試練、身体的なしんどさ、厳しさなどにあたるでしょう。<o:p></o:p>

ところがなんらかの不具合で、この最後のごほうびが与えられない、感じられない状況、つまり満足感が得られない状態が生まれます。「アメリカの遺伝学者ケネス・プラムとデビッド・カミングスは、この種の不満状態を報酬不全症候群と名づけ、多くの障害はすべてここに含まれると考えた」。臨床心理学的にはたくさんの症状がありますが、多くがこのシステムの障害で説明され、脳のどの部位の働きが悪くなるかで、症状や程度が決まるというのです。前述したようにたとえば摂食障害の場合は大脳辺縁系の視床下部が関係しているし、脅迫神経症は尾状核というところの活動過剰と考えられているのです。<o:p></o:p>

報酬不全症候群は名前のとおり、報酬がないために満足できない、安心したり確信したりすることもできず、常に欲求から気をそらすことができなくなるのです。こうした症状は程度の差はあるものの、およそ4人に1人の割合で存在する、というのですから誰でもそんな状態になる確率は高いといえます。<o:p></o:p>

「何百万年もかけて発達してきたこの複雑なシステムは、最近までとてもうまく機能していた。資源の乏しい世界では、快楽を求めたり、目標に向かって行動するときの報酬がはっきりしていたから、食べ物や獲物を得るのに、長い時間と労力をかけるのをいとわなかった」のですが、近年人間はすさまじい勢いで環境を変化させ、たいした手間も、時間もかけず食べ物を入手することが可能になったのはご存知の通りです。そのぶん得られる報酬が少ないのも当然なのかもしれません。でも脳は物足りなさを感じていて、ますますごほうびを求め続けているようなのです。

 

写真:沖縄おもろまちにあるDFS店の豪華なツリー。クリスマスソングが聞こえてくるようです。

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さて実は言いたいことはこれからの部分なのですが、長くなったので次回です。脳科学が目指しているのはいったいどんなところなのでしょう?                 

                               

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「かつて青年は荒野をめざした。今めざすのはスリムなモデル?」

2007-12-09 22:34:31 | 「脳」「こころ」「身体」

摂食障害1020代の女性に多いことから、女性問題の視点から議論されることも多いのです。その代表的なものが「母が叶えられなかった夢を娘に託す」、というもので、そのぶん期待やこだわりも大きくなってプレッシャーがきつくなるということでしょう。さらに母自身が「仕事を持って自立した女性に」と言う思いと「普通の結婚をして女としての幸せを」というはざまにいて、無意識にダブルメッセージを与えるから、といったものです。<o:p></o:p>

 

        写真:(2007/12/14)ゆいレールから見た空港に沈む夕日。

            でっかい太陽。

           

私はこういったケースは限定的ではないかと感じています。なぜなら母の時代には制約が多かったけれど、娘の時代ではかなり自由になったという時代はせいぜい団塊世代をはさんで1020年程度のスパンだと思えるからです。さらに「やせ願望」についても「男性社会が痩せて美しい女性や身体を求めているから、そうなるのだ」というのですが、いまや若い男性にとっても「スリムでイケメン」はもてる男の条件になっている時代なのですから。現実に男性の摂食障害も増えているという報告もあるようです。<o:p></o:p>

また一昔前の話をしてしまいますが、ファッション誌を飾るモデルというのは、特別なプロポーションを持つ遠い存在でした。それがタレントとして身近なものになり、さらに一般の人も誌上で紹介されたり、スカウトされたりすることで、みんながめざすものになったと感じます。いずれにしても「やせ願望」にはマス・メディアの影響がとても大きいですね。<o:p></o:p>

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臨床的にはいわゆる拒食症(AN)は意図的なダイエットを行い、極度に体重低下(期待される体重の85%以下)をきたします。いくらやせてもまだまだ太っていると感じるところがあり、ボディ・イメージ(脳が想像するわけですが)が実際の身体と統合されていない面もあるのでしょうか?<o:p></o:p>

一方過食症BN)はANのあと移行することも多く、飢餓感に耐え切れなくなって無茶食いをし、その後「吐く、下剤を使う、過剰な運動をする」などの代償行為(浄化ということもある)を繰り返します。吐き出す行為は体重増加を防ぐことでもあり、またストレスを吐き出すことにも繋がるのか、すっきりしたある意味の快感があるのでしょう。一般にBNANよりはるかに多いといわれます。<o:p></o:p>

さて社会学や心理学ではこのようにストーリーを作って理解しようとしますが、脳の働きから見ると摂食障害もかなり単純なことになるようです。まあ、まだわかっていないことも多いからかもしれないですが・・。次回はそのあたりを。<o:p></o:p>

☆★☆あいよっこのブログは1週間程度お休みです。「おばさんのひとり旅第2弾」<o:p></o:p>

近日大公開!!!☆★☆

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「♪ぼくをこどもにかえして~よ♪」は母に言ってるんじゃない

2007-12-08 15:25:58 | 「脳」「こころ」「身体」

 人に依存する代表的なものは「共依存(きょういぞん)」と呼ばれるものです。そのまんま「共に依存しあう関係」の意味ですが、学術用語ではないようです。たとえばアルコール依存の夫と妻の関係において、夫から妻への「暴力で発散する」などといった依存の形はわかりやすいですが、一方妻のほうも夫に頼られることでそれを支えている(依存する)面もある、という考え方から始まりました。ドメスティック・バイオレンスでもこの相互依存がよく言われています。

摂食障害では「母と娘の共依存」が問題になることが多いです。実は私としてはこの表現に違和感があります。子どもが母に依存するのは、以前に「赤ちゃんの依存はママのおっぱいから」と書いたように、あたりまえのことだからです。赤ちゃんにとって生きる糧であるおっぱいが「ある時、ない時」で天国と地獄、あるいは晴れの日と大嵐の日(!)、ほどの違いがあることは、多くの研究者が指摘しています。(そういえば551の肉まんはおっぱいに似てますね?)その持ち主である母は、その後も衣食住の面倒を見てくれるのが一般的ですし、こどもが(ここでは特に母だけを問題にします)お母さんに依存するのは当然のことです。いずれ反抗期などの丁々発止を経て互いにある意味のサヨナラを言い、こどもは自立していくのが普通ですが・・・。<o:p></o:p>

すると問題なのは母が娘に依存する状態、ということになります。両者の間にはもちろん母性愛や親子愛などもあるのですが、もう少し本音に近いところには支配欲、所有欲、などといった自己愛はどうでしょうか? 押し付けていませんか? 

                

 写真:沖縄那覇空港。ランやポインセチアのツリーが華やか。2007/12/13

 

斉藤和義は(また~、出た!)「無意識と意識の間(はざま)」で「♪ぼくをこどもにかえして~よ♪」と唄いますが、母のほうは「いいよいいよ、いつまでもこどもでいてね~~」という気持ちが確かにあるのです。「母親じゃないよ、恋人に言ってるんだ」と斉藤さんは怒るでしょうが・・。<o:p></o:p>

そもそも絶対的な立場や力が優位な母は、「お勉強や習い事をしっかりするのは、あなたのためだよ」「あなたが希望するから塾やピアノに行かせているんだから、がんばってね」というせりふを抵抗なく言い、子どもは暗黙のうちに「期待に応えてくれる良い子のあなたが好きだよ」というメッセージを受け取ります。条件付きの愛のやりとりでは、「あるがままの自分でいいんだ」と思えず自尊感情も育ちにくいでしょう。そして期待に応えられなくなった時、ストレスが限度以上になったとき、やっかいな症状はたいてい弱いほうに出てくることになります。<o:p></o:p>

摂食障害者が母との関係性において「食べ物にこだわる」ことは、母の愛がおっぱい=ミルクに象徴されることから見ると自然な流れとも思えます。食べることを拒否することは、ある意味母の愛を受け入れられない状態とも感じます。本音とたてまえがずれているメッセージを受け取る側は、混乱して身動きできない状態になるでしょう。<o:p></o:p>

このような二律背反的(相互に矛盾し対立する)メッセージを幼少時から繰り返しうけている状態では、受け手は統合失調症になる危険性が高い、としてこれを「ダブル・バインド(二重拘束)」と名づけたのはG.ベイトソンです。「二重拘束から逃れるためには、メッセージの捏造を図るか(つまり違うものに変える、妄想する)、そのまま受け入れるか(違う人格が必要となる)、引きこもる(どう考え、どう行動すれば良いかがわからなくなる。そのために引きこもっている人もいるでしょう)という方法しかない」と言っています。これは母と娘、親と子に限ったことではありません。<o:p></o:p>

なにやら怖い話になってしまいました。古来子どもが独立するために、さまざまな通過儀礼が用意されていました。それほどもともと難しいことなのでしょう。だけど現代にあってはこどもの独立・自立、母子分離が本当に難しい環境となっています。特に母はそれを意識することが必要だと、自戒を込めて思うのです。<o:p></o:p>

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「痩せるのも太るのも、難しいさじ加減」

2007-12-06 22:41:47 | 「脳」「こころ」「身体」

 肥満も拒食も食に対する強いこだわりからといいました。最近「拒食症」で話題になったのは「痩せすぎたフランス人モデルを起用したヌード写真」の広告で、TV報道などで目にして少なからずショックを受けた人も多いでしょう。製作したイタリアのファッションブランド「Flash&Partners」は、大きく「No Anorexia(拒食症)」と書いていることに対して、「拒食症の実情を示すため」と言っているようです。この広告が多数の関心をひいたと思えるのは、検索エンジン「Yahoo!JAPAN2007/924 - 30日のワードランキングで第1位だったことを見てもわかります。

 

  広告は数年前に、拒食症で死亡したブラジル人モデル事件をふまえて製作されたものであることはご存知でしょう。今年もスペインでは、07/08年秋冬マドリード・ファッションウィークで、5人の「やせ過ぎモデル」が出場禁止になるとの発表がありました。少女や若い女性にとってファッションモデルは今やあこがれの対象であり、そうしたやせすぎの体型を理想として追い求めています。そんな美の観念に対して各国政府やファッション界は対処する必要が出ているのです。<o:p></o:p>

前回もふれた「厚生労働省の平成16年国民健康・栄養調査」によると「20歳代と30歳代では予備軍を含めてもメタボリック症候群の該当者は男性で20%と低い。女性はゼロに近い。これはダイエットの影響と見られる」としています。参考のためにこの後も続けます。「だが40歳を境に急増し、4074歳の男性では、有病者と予備軍の合計は50%を超えた。女性の合計も20%近くに達した」となっています。特に若い女性がやせすぎでNO、といわれる一方で、多くの男性や中高年はメタボ(内臓肥満)でNO、なんとかしないと早死にだよ、と不安をあおられているのです。<o:p></o:p>

今は平均年齢が世界中で最も高い日本人だけど、そのうち一位の座を明け渡すことになるのでしょうか?人類にとって有機体の維持は大問題だし、食欲を満たすことは大きな喜びでもあります。適正といわれる体重の保持や食行動のコントロールがどんなに難しいことか、まるで高い山の尾根を歩いているようなものだなあ、とつくづく感じるのです。

 

写真:沖縄中城(なかぐすく)城跡で、つわぶきが花盛り。2007/12/13

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<o:p> </o:p>前置きが長くなってしまいました。ここからが本題だよ。さて拒食症と一口に言いますが、食にこだわって症状がでる障害は摂食障害(Eating Disorder=略してED。ん?男性の EDErectile Dysfunction、勃起不全)と混同することはないのか?心配!)と称し、神経性無食欲症(AnoreXia NervosaAN、いわゆる拒食症)と神経性大食症(Bulimia NervosaBN、いわゆる過食症)、そして特定不能の摂食障害(Eating Disorder Not Otherwise Specified)に分類されます。区別する指標として、正常最低限体重を維持してない場合は拒食症となります。それからもわかるように症状の違いがあっても、基本的には同じ要因から発症するということでしょう。<o:p></o:p>

女性に多く見られることから、「女性問題」「ジェンダー(社会的・文化的な性差)」の視点から議論されることが多く、母と娘の「共依存」に関係しているという説があります。そしてもうひとつは、特に恋愛関係などで「やせているほうが好ましい」というイメージが存在していることです。いわゆる「やせ願望」といわれるものです。<o:p></o:p>

これらの説明は次回に。<o:p></o:p>

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