第4603回で取り上げたレドックス フロー電池と並んで、もう一つ期待していた第4249回で取り上げたナトリウム 硫黄(NAS)電池の記事が突然沢山出てきました。去年火災事故をおこして製造が止まっていたのが解禁されるよ うです。
日刊 工業新聞より 2012年05月23日
大 阪府大、ナトリウムイオン電池の室温作動に成功-新しい固体電解質発見
大阪府立大学大学院工学研究科の林晃 敏助教らの研究グループは、室温で作動する「全固体ナトリウムイオン二次電池」の試作に成功した。
容量は正極材料の重さ1 グラムあたり約90ミリアンぺア時で、10回充放電しても容量が劣化しなかった。ナトリウムイオンが高速で移動 できる固体電解質を発見し、それを利用した。成果は電子版の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに23日 発表される。
全固体ナトリウムイオン 二次電池を室温で作動させることに成功したのは初めてという。発見したのはナトリウムとリンと硫黄からなる材 料。同材料は以前から知られているが、270度Cで加熱すると従来と違う結晶構造になり、室温で高いナトリウム イオン伝導度を示すことを発見した。
長 岡技科大、ナトリウム電池向け活物質を開発-レアメタル不要に
掲載日 2012年05月23日
【新潟】長岡技術科学大学の本間剛助 教らは、価格上昇が懸念されるリチウムなどレアメタル(希少金属)を使わないナトリウムイオン二次電池正極の活 物質を開発した。
リン酸鉄系の結晶で、従 来のリチウムイオン二次電池とレート特性(充電に係る時間に対する放電エネルギー密度)を比べると、1時間の充 電ではほぼ同じ。さらに1時間以下では、ナトリウム電池の正極の方が放電エネルギー密度が高いという結果が得ら れた。
ガラス結晶化法という独 自技術を使ってレアメタル不要のリン酸鉄系結晶を合成した。原料を溶融し、急冷することでより均質にガラス化し たものを粉砕、炭素と混合して焼成する。これを電池正極に使うと充放電サイクル特性が良くなる上、リン酸鉄の強 固な網目で結晶構造が壊れにくくなり、50サイクル後の容量維持率は96%を示した。
参照: NAS 電池
日刊 工業新聞より 2012年06月04日
【名古屋】日本ガイシは納入先での火 災事故を受け、顧客に使用停止を求めているナトリウム硫黄(NAS)電池について、商業施設や病院、学校など、 一部顧客に製品の撤去を申し入れる方針を固めた。不特定多数の人が出入りする場所は火災事故が起きた際、被害が 甚大になる可能性があるため。
同社は消防当局と協力 し、事故原因の特定と安全性の向上に取り組んできた。今回、安全を最優先して、一段と厳しい措置に踏み切る。
撤去を求めるのは、国内 外の174カ所に納入した計30万5000キロワットのうち、容量ベースで20―30%程度という。火災発生時 に大きな被害が想定される場所は「現時点で設置場所として不適切だ」(同社幹部)と判断した。火災事故は 2011年に三菱マテリアル筑波製作所(茨城県常総市)で発生した。同社は社内に事故調査委員会を立ち上げて再 発防止策の策定を進めており、6月中にも消防当局から認定を受ける見込み。
時事ドットコ ム 2012/06/06
昨年9月に三菱マテリア ル筑波製作所(茨城県常総市)で電力貯蔵用のナトリウム硫黄(NAS)電池が火災事故を起こした問題で、原因は 不良品の電池の混入だったことが6日明らかになった。製造元の日本ガイシが設置した「第三者事故調査委員会」の 調査で判明した。日本ガイシは総務省消防庁に調査結果を報告し、了承された。
製造も開始されるようです。上記の 室温での作動やレアメタルを使わないものなど新しい技術を取り入れてより安全で能力のある電池になってくれれば 企業やメガソーラーなどの大容量蓄電池採用への大きな動きになりそうです。
蓄電池の問題が解決されれば電気の世界は大きく変わります。全てを太陽光発電で賄うことも夢じゃなくな るでしょう。その時には原発も自然消滅になるかもしれません。
日本が世界のエネルギーを抑えることも可能でしょう。日本の素晴らしい技術者たちに期待したいもので す。
意外と近いの かも!