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☆=☆☆☆☆☆
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黒い画集 あるサラリーマンの証言

2007年01月08日 12時51分31秒 | 邦画1951~1960年

 ◎黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960年 日本 95分)

 監督/堀川弘道 音楽/池野成

 出演/小林桂樹 中北千枝子 原知佐子 織田政雄 西村晃 平田昭彦 中丸忠雄

 

 ◎さすが橋本忍

 回想が始まった時、おもわず、お得意の展開だな~とおもったけど、ほんと、物語作りの上手さは流石だ。

 若き日の西村晃がいかにも刑事臭くて、ぎらぎらしてて好い感じだし。とはいえ、なんとも内臓をえぐられるような話の中身。ほんとに松本清張という人は、人間の裏側をとらえることに卓越してる。

 高度成長期、中堅企業に勤め、ようやく課長になったサラリーマンにとって、ようやく買い求めた一戸建てと糟糠の妻、そして可愛い愛人は、なにものにも替え難いものだ、というのが映画の前提になる。1960年代の日本は、まさしくそうだろう。

 愛人のアパートがある新大久保に通い詰め、たまさか、近所に住んでいる保険外交員とすれちがい、会釈してしまったことで、外交員がとある殺人事件の容疑者になったとき、アリバイの証人に立たされるんだけど、新大久保で出くわしてしまったため、証言すれば身の破滅だとおもいこみ、会っていないと嘘をついたことから、雪崩が起きるような転落が始まる。

 誰もが自己防衛に走り、おのれの利益だけをわがままに追い求める。それが重なり合うように衝突して、なにもかも失くしてゆくという構成は、胃が痛くなるほど現実味を帯びてる。松本清張は短編が映像化されたこの作品を絶賛したそうだけど、それはなんといっても橋本忍の手腕だよね、きっと。

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