◇動脈列島(1975年 日本 121分)
監督/増村保造 音楽/林光
出演/田宮二郎 近藤正臣 関根恵子 梶芽衣子 芹明香 小沢栄太郎 近藤洋介
◇1974(昭和49)年3月、名古屋新幹線訴訟
当時、奇しくも新幹線を扱った映画が2本、撮られた。
旧大映のスタッフが集められた東京映画の本作、もう一本が東映による『新幹線大爆破』だ。
ただし『新幹線大爆破』が犯人の要求を聞き入れないかぎり新幹線を爆破させるというのに対し、この映画は要求を聞き入れさせるために新幹線を停めてみせるというもので、同じように新幹線を扱いながらも、東映は「なんとかして停めなければならない」と焦り、大映は「なんとしても停めるわけにはいかない」と拳を握るわけで、まるで正反対の内容になってる。
これ、どこかの映画祭とかで、2本立て上映してくれないかな?
そんな作品の違いについてはともかく、最初のトイレの場面はおもわず顔をそむけたくなるくらい嫌だけど、これって、増村保造は平気なんだろか?
この監督はこうした人間の生理について拘る人で、関根恵子(高橋惠子)の一連の大映作品なんか観てると、ほんとに生々しい。
今回もそうで、
「この濡れ場、必要なんだろか?」
と、おもわず首をひねってしまった。
ま、濡れ場を作るかどうかは製作側の趣味だから、あれこれいっても仕方ない。
そんなことより、実をいうと、増村保造と派手なアクションはなんだかそぐわない気がしてた。でも、新幹線を電波で停めようと、東名を車で並列疾走してゆくところは中々圧巻だった。
田宮次郎は恰好つけすぎな感じもあるけど、増村保造、アクションも大丈夫なんだね。
失礼しました。