◇街の灯(1931年 アメリカ 37分)
原題/City Lights
製作・監督・脚本・編集・作曲・主演/チャールズ・チャップリン
音楽/アルフレッド・ニューマン チャールズ・チャップリン
出演/ヴァージニア・チェリル フローレンス・リー
◇「you?」
花売り娘ヴァージニア・チェリルの最後の台詞は、ぼくたちは「貴方でしたの?」っていう字幕で出合った。
たぶん、小学校のときに観たのがいちばん最初だろう。それから何遍も観る機会はあったけど、活弁つきで観たのは、これが初めてだ。無声映画が活弁にかぎるかどうかはよくわからないけど、観て損はない。
で、初めて知った話。ヴァージニア・チェリルのその後のことだ。
他界したのは1996年なんだって。それも88歳だったそうで、この映画を撮影したときは、21~22歳の頃だったらしい。そもそもヴァージニアは19歳のときにチャップリンと契約したようで、20歳のときに『街の灯』の主役に正式に決まったものの、ヴァージニアの品行が良くなかったのか、それともお互いに虫が好かなかったのか、21歳のときに撮り始められたものの途中で中断し、紆余曲折あって22歳のときに撮影が再開され、ようやく完成した。
封切はその翌年だから、この映画は足掛け4年で陽の目を見たことになる。いや、まあ、当時としてはどえらい大作じゃんか。なんで、たった37分の無声映画の撮影にそんなに懸かったのかといえば、ヴァージニアとチャップリンとの仲がぎくしゃくしていたせいみたいだ。この製作秘話を、なんでハリウッドは映画化しないんだろう?
すればいいのにね。