◇ブンガワンソロ(1951年 日本 92分)
監督/市川崑 音楽/飯田信夫
出演/池部良 森繁久彌 藤田進 久慈あさみ 若山セツ子 東野英治郎 伊藤雄之助
◇Bengawan Solo
インドネシアの音楽にクロンチョン(Kroncong)っていうジャンルがある。
昔からある大衆音楽なんだけど、その有名な作曲者にグサン・マルトハルトノって人がいて、この人が『ブンガワンソロ』を作詞作曲した。戦前のことだったみたいで、ジャワ戦線ではよく知られてたみたいだ。戦後、日本に輸入されて歌手で声楽家の松田トシが訳詞して大ヒットした。
で、それを映画化したのがこの作品なんだけど、原曲の『ブンガワンソロ』に出遭っていく日本兵の話かとおもってたら、そうじゃなくて、脱走兵の話だった。ちょっと肩透かしを食らった感じではあったけど、役者は好い。なんつっても、現地人のような若山セツ子が愛らしいしね。
ただ、まあ、勝手にこちらが想像してたのがいけなかったかもしれないけど、やっぱり、ブンガワンソロについて語ってほしかった。
それと、脱走兵物語にしてはリアルさにちょい欠けな感じがするのは、なんでだろ?
戦後たったの6年しか経ってないのに、これは不思議だ。
とはいえ、美術は相当に好い。
ただ、市川崑のこの時期は、まだ職人技のようなカッティングがないんだね。
いったい、いつから崑さんは自分の画を見つけたんだろう?