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真夜中のサバナ

2007年01月24日 12時37分57秒 | 洋画1997年

 ◎真夜中のサバナ(1997年 アメリカ 155分)

 原題/Midnight in the Garden of Good and Evil

 監督/クリント・イーストウッド 音楽/レニー・ニーハウス

 出演/ケヴィン・スペイシー ジョン・キューザック ジュード・ロウ ジャック・トンプソン

 

 ◎サバナ?サヴァナ?

 町の呼び方で正しいのがどれかはわかんないけど、映像で観るかぎり、とっても美しい米南部の古都って感じだ。歴史と伝統がありながらもそれなりに現在もなお発展している町は、観ていて気持ちがいい。

 日本の町でもそうだけど、歴史があっても現在は過疎化してしまったり、人口は増えてても町の中心は空洞化してしまったり、伝統的な建物の価値を認めず単なる田舎に堕してしまったり、なんでもかんでも新しいものだけに価値を感じるような所が少なくない。

 そういうのってすげー嫌だけど、サバナは違うんだよな~。イーストウッドの演出によるものってことは百も承知だけど、でも、町そのものが不思議な雰囲気を持って、息づいてる。

 もちろん、不思議を通り越して、ブードゥー教とか、ゲイ・クイーン(レディ・シャブリを演じたのは本物)とか、まあ、いつ殺人が起こってもおかしくないような異常さもあるんだけどね。

 けど、そういう不可思議な町を舞台にしながら、外連味の無い映像で描かれてる。保守的なのか斬新的なのかわからないこの町で、淡々と語られる地味な話も、メローな音楽もなんとも好い。結局、本筋になってるのは、原作者のジョン・ベレントが現在の奥さんに出会う話なんだけど、そのきっかけになった町の名士の殺人事件がメインだ。

 屋敷に出入りしていた美青年を殺害した際、美青年が最初に発砲したのかどうか、名士の殺人は正当防衛なのかどうか、最後に名士の告白によって、真実めいたことはわかる仕組みにはなってるけど、皿を両手にして、

「どちら?」

 と聞いているような少女の像が全て語ってる。

 それはさておき、愛娘アリソン・イーストウッドのキスの場面を撮っちゃうとか、いや、イーストウッド、監督に徹してるわ。

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