◇ロスト・ボディ(EL CUERPO 2012 スペイン)
一般に復讐劇というと、
どうしても女が身体を張ってうんぬんってことになりがちで、
これもオチからすればその部類に入る。
ただし、父子による復讐で、
「今夜起こったことで関係ないことは何ひとつとしてない」
みたいなおもわせぶりな惹句が出てたりすると、
ちょっとばかり毛色の変わったサスペンスって印象にもなる。
そういうことからいえば、話の展開は実はうまい。
死体安置所に置かれていた高慢で見栄っぱりで意地悪な妻の死体が消え、
そこにやってきた若い夫が8時間後に利く毒薬を呑ませていたことがわかる。
夫は小娘と不倫中で、邪魔な妻を殺したんだけど、
その妻が蘇生しちゃって、
自分を殺そうとしてるんじゃないか?と夫はおもうわけだよね。
でも、警察に話したくても、
自分の殺人未遂が知れたらまずいってことで話もできず、
どうすりゃいいんだとおもってる内に、妻は実際は死んでて、
それじゃ誰が犯人なのよ~とかおもってる内に、
冒頭、死体安置所から飛び出してきた警備員が車に撥ねられて死ぬ場面が、
にわかになにかの暗示だったんじゃないかっていう想像が働き始める。
いや~、
ホラーまがいの出だしから、
ショッキングサスペンスとかおもわせ、
最後にはミステリーになってるっていう、
風変わりかつスリリングな映画だったわ。