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扉をたたく人

2014年04月24日 00時34分41秒 | 洋画2008年

 ☆扉をたたく人(The Visitor 2008年 アメリカ)

 リチャード・ジェンキンスが、実に好い。

 というより、役者は誰もが好演してる。

 ジェンキンスにジャンベの演奏法を教えるハーズ・スレイマン、

 その彼女のダナイ・グリラ、

 スレイマンの母親ヒアム・アッバスも、みんな、そうだ。

 けど、

 この映画のみごとなところは、脚本だよね。

 同時多発テロ以来、アメリカは移民に対して厳しくあたるようになった。

 それはそれで仕方のないことかもしれないけど、

 移民にだって、さまざまな人達がいる。

 ここに登場してくるシリア系の青年と母親やセネガル系の女性も、そうだ。

 もちろん、不法滞在は悪いことだし、

 それによって強制退去させられてしまうのもわかるけど、

 物事は杓子定規には行かない。

 アメリカは温情のある国だとおもってたけど、

 やっぱり、国家というものを背負ってしまうと、どうしても四角四面になる。

 悲劇は、たとえ、善人ばかりであっても、生まれる。

 それも、地下鉄の構内でストリートセッションをしようとしたとき、

 切符をもって乗り込もうとしながらも、

 誰もが少なからず経験しているように、改札が締まってしまったとき、

 むりやりに乗り越えようとした際、現行犯で連行されてしまうという、

 ほんとにささいなことから、悲劇が始まる。

 このあたりの展開は、上手だ。

 さらに、脚本は移民のありようだけでなく、

 妻に先立たれた大学教授の、

 孤独からの再生もまた見つめるんだけど、

 これが、ヒアム・アッバスとの恋愛に発展しそうでせず、

 結局は、再生するかもしれない魂のゆらぎだけを描いて終わる。

 そのあとの物語は、観客に想像してもらおうという構えだ。

 実に、うまい。

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