◇プラチナデータ(2013年 日本)
なんだか『マイノリティ・リポート』みたいだった。
たいがい、
近未来における新たな技術に絡んだ犯罪あるいは事件物は、
その技術を開発した責任者あるいはそれを使用する集団の長が、
支障をきたした技術の被害者とか、
生起した事件の犯人とかいう事態に陥り、
濡れ衣をかぶせられたことから逃亡し、
その疑惑を晴らしていく過程で、
とんでもない真実を見つけ出していき、
やがてその新技術が、
人類や社会に悪影響を及ぼしかねないことを悟り、
そのシステムをみずから破壊することで未来を救うんだけど、
それによって自分が犠牲になっていくことが多い。
ま、この場合、
解離性同一性障害も絡んでくるものだから、
その分ちょいとひねってあるわけなんだけど、
二宮くんのその後についてはどうなってしまうのかといえば、
明るい将来が待っているとはちょいとおもえない。
それが好いのか悪いのかは観客の趣味なんだろう。
ちまたのそこらじゅうにある監視カメラを駆使して、
生瀬らが二宮くんを追い掛けていくのは、
それなりにスリリングな画面と展開だったんで、
うん、愉しめたよ。
ただまあ、
設定と筋立てがそうなだけに、
リアリティは求めていないものの、
母親のはずの鈴木保奈美の動機というか、
プラチナデータの真実というか、
そうしたあたりに新鮮味が感じられないのがちょいとね。
まあ、とどのつまり、
こうした物語の主題はアイデンティティの肯定ってやつなんだろうけど、
人種差別とかいった社会的な構造に問題があったりする話でないかぎり、
どうしても新たな範囲を社会の構図の中に採り入れなくちゃならないわけで、
そうした設定の説明に時間を要するために、
設定のおもしろさを愉しめるかわりに、
物語そのものに割く時間が少なくなるもんだから、
いろんな人間を描きつくす時間に限界が来ちゃう。
こういうあたり、難しいね。