◎フライト・ゲーム(2014年 アメリカ 107分)
原題 Non-Stop
staff 監督/ハウメ・コジェ=セラ
脚本/クリス・ローチ、ジョン・リチャードソン、ライアン・エングル
撮影/フラヴィオ・マルティネス・ラヴィアーノ 美術/アレック・ハモンド
衣裳デザイン/キャサリン・マリー・トーマス 音楽/ジョン・オットマン
cast リーアム・ニーソン ジュリアン・ムーア ミシェル・ドッカリー コリー・ストール
◎結局、ジュリアン・ムーアは何者?
質のいい密室劇ってのは、否が応でも緊張するものだ。
ことに超高速かつ超高度で移動している旅客機ってのは、最高の空間だ。
ところが、
飛行機を主軸にして、ちゃんと見せてくれる映画ってのは意外に少ないんだよね。
デンゼル・ワシントンの『フライト』は飛行機の部分は少なかったし、
ジョディ・フォスターの『フライトプラン』くらいしかおもいうかばない。
たいがい、パニック物か派手なアクション物になっちゃってる。
それが、この作品はかなり濃密なサスペンスに仕上がってた。
娘に死に別れ、妻にも去られた有能な警察官だった男が、
離陸恐怖症ながらもなんとか航空保安官の職にぶらさがってるものの、
アルコール中毒で、ヘビースモーカーという社会的にはどうしようもないまま、
同僚や上司たちから目をつけられ、評判は地に落ちている。
そんなリーアム・ニーソンが、
心臓の手術をしたことでいつ死ぬかわからないから窓際で外を観ていたいっていう、
人生をもうやめちゃいたいくらいにおもってるジュリアン・ムーアと、
たったひとりで父親のもとへ旅立っていかなければならない不安を抱えたクイン・マッコルガンを、
危機的な状況から守り抜くことで、人生の土壇場でなんとか復活していくわけだけど、
こうした自己の再生を主題にしているのはやっぱりハリウッドで、
それがハイジャックによるサスペンスとうまく絡み合ってる。
そりゃまあ、重箱の隅を楊枝でほじくるように文句をつければ、いろいろある。
でも、一気にフライトしちゃえば、あんまり気にならない。
いや、人間、還暦すぎても頑張れるし、それなりの出会いもあるってことを、
リーアム・ニーソンは体をはって証明してくれてるんだよね。