◇ラルジャン(1983年 フランス、スイス 85分)
原題 L'Argent
staff 原作/レオ・N・トルストイ『にせ利札』
脚色・監督/ロベール・ブレッソン 美術/ピエール・ギュフロワ
撮影/エマニュエル・マシュエル、パスカリーノ・デ・サンティス
音楽/J・S・バッハ『半音階的幻想曲とフーガ、ニ短調BWV903』
cast クリスチャン・パティ カロリーヌ・ラング バンサン・リステルッチ マリアンヌ・キュオー
◇パリの偽札
ささいないたずらが、どんどんとおおごとになり、
それに関係していた人間の人生も大きく変え、
やがてはとんでもない悲劇に突入してしまうという、あまりにも皮肉な物語だ。
ただ、淡々と撮っているものだから、
メリハリのない調子をじっと耐えないといけないのはやや辛い。
結局のところ、偽札が問題になるのは導入部だけで、
青二才ふたりが小遣いの少なさに不満を持ち、
偽札で写真の額縁を買い求め、そのときの釣銭を儲けるというケチな犯罪をするんだけど、
これがもとでまるでわらしべ長者の運の悪い犯罪版みたいなことになり、
嫌疑、解雇、逮捕、投獄、出所、無職、強盗、彷徨、殺人、一家惨殺と、
雪玉が坂を転げ落ちるように大変なことになっちゃう。
でもさ、これって、出所の時点で別な方向にもベクトルを変えられるわけだよね。
ぼくだったら、
出所したときに最初の間違いはどこにあったんだろうって考えるけどな~。
そんなことはないんだろうか?
まあ、そんな感想も抱いたりしてるボクには、
カンヌの審査員たちのようにこの映画の凄さがいまひとつ伝わらなかったらしい。
ただ、
バッハ『半音階的幻想曲とフーガ、ニ短調BWV903』は好いです。