Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ノア 約束の舟

2014年10月17日 00時22分21秒 | 洋画2014年

 ◇ノア 約束の舟(2014年 アメリカ 138分)

 原題 Noah

 staff 監督/ダーレン・アロノフスキー 脚本/ダーレン・アロノフスキー、アリ・ハンデル

     製作/ダーレン・アロノフスキー、スコット・フランクリン、マリー・パレント

     撮影/マシュー・リバティック 美術/マーク・フリードバーグ

     衣裳デザイン/マイケル・ウィルキンソン 音楽/クリント・マンセル

 cast ラッセル・クロウ ジェニファー・コネリー エマ・ワトソン アンソニー・ホプキンス

 

 ◇未来の物語だったのか

 観始めるその一瞬まで、旧約聖書そのままの世界だとおもってた。

 ところが、あにはからんや、人類の繁栄が終わった後の殺伐とした世界の箱舟物語だった。

 ま、いっか。

 てなわけにはいかない。

 なんでわざわざ未来に話を置き換えないといけないのかが、まずわからない。

 衣装についても大差ないだろうし、舞台の設定や内容について大幅の変更があるわけでもない。

 まあ、箱舟に乗り込むノアの息子たち3人がそれぞれ妻帯しているかどうかってくらいで、

 ノアについての解釈をダーレン・アロノフスキーなりにしたいっていうのなら、

 旧約聖書の世界をそのまま描いた方がよほどすんなり納得できる。

 地球上のすべての種について、

 海に棲むものの他は箱舟に乗せて洪水を生き延びよと神から命ぜられたノアだったんだけど、

 神との契約によれば、地球を滅亡の淵に追い込んだ人間は必要なく、

 人間さえいなければ、地球はこの先、理想郷になるのだという。

 ノアはそれをかたくなに信じ、傲慢にふるまい、意固地に生きようとする。

 そんなノアが、助けて家族の一員にした娘が息子の嫁になり、

 双子の女の子を産んで、それをみずからの手で抹殺しかけたときになって、

 ようやく神が人間にあたえた愛を知りながらも、

 しかし、

 おのれの傲慢さを許すことができずに家族との絆を断ち切ろうとするわけだけど、

 まあ、ノアを通じてわざわざそんなひねくれた人間を描こうとしても、

 実は観客はそんなことはまるで期待していないんだよね。

 すくなくとも、

 ノアの箱舟の物語を観ようとしていたぼくは、

 まったくとはいいきれないものの、

 ある種の肩透かしを食らってしまったわけで、

 これはちょっとばかり辛いかもしれない。

 たしかにCGはものすごくて、

 地球の創生と生き物の歴史について、

 たった2分間で凄まじい勢いで見せちゃうところなんかはそりゃもう脱帽だけど、

 そうしたCG場面を延々と続けて、

 観客の、いやぼくの、抱いていた物語をかなりの部分うらぎってくれて、

 いったい、なにがいいたかったんだろうっておもうんだよね。

 アンソニー・ホプキンスの神のような超能力はいったいなんなのかっておもうし、

 箱舟に襲い掛かってくる集団も王のひきいる軍勢っていうより野伏せりの集団だし、

 唯一おもしろいとおもったのは、石くれの化け物に堕としめられた元天使たちで、

 ぼくは「ああ、こいつらが、難民と箱舟を守って出航させるんだな」とおもったものの、

 それについてもやっぱり肩透かしを食らわされた。

 ちょっと、つらいな~。

 

コメント