Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ビフォア・サンセット

2014年10月30日 02時36分05秒 | 洋画2004年

 ◎ビフォア・サンセット(2004年 アメリカ 81分)

 原題 Before Sunset

 staff 監督/リチャード・リンクレイター

     脚本/リチャード・リンクレイター、ジュリー・デルピー、イーサン・ホーク

     原案/リチャード・リンクレイター、キム・クリザン

     製作/リチャード・リンクレイター、アン・ウォーカー=マクベイ

     撮影/リー・ダニエル 衣装デザイン/ティエリー・デレトル

     音楽/ジュリー・デルピー『An Ocean Apart』『A Waltz For A Night』『Je T'aime Tant』

        ニーナ・シモン『Just In Time』

 cast イーサン・ホーク ジュリー・デルピー マリー・ピレ アルバート・デルピー

 

 ◎85分間の岐路

 こういう構成の作品はたまにある。

 映画内の時間がほぼ現実の時間と同時進行する構成だ。

 ぼくはこういう作り方は意外と好みで、自主製作映画っぽい感じも嫌いじゃない。

 ま、映画のつくりはさておき、

 異国での出会いという甘美な思い出は、

 誰でも記録に残しておきたいとおもうだろうし、

 文才があればなおさらのことで、

 恋愛小説の体裁をとりながらもそこに人生哲学をちりばめたものが書けるなら、

 やっぱり小説家になろうっておもったりもするだろう。

 また一方で、

 かつて特別な一夜を過ごした男が小説を書き、

 そこに自分の投影された姿が描かれているとすれば、

 これもまた顔を見てみたいとか声を聞いてみたいとおもうのは当然だろう。

 まあ、そんな感じで、上手に出会うことが設定できてるし、

 飛行機が飛び立つまで85分しかないっていうのが味噌だ。

 かぎられた時間は、

 かつてふたりがウィーン駅で味わった、

 列車に乗り込まなければならないっていう、

 切羽詰まった感情をおもいださせるには十分なものがある。

 それだけでも淡い恋のときめきをおもいだしちゃうわけで、

 ときめきをおもいだしたら、もう、とまらない。

 作家になって、結婚して、息子までできちゃってるんだけど、

 でも、

 半年後にウィーン駅で逢おうっていう約束だけを頼りに海を超え、

 でも逢えなくて悲しみに沈んだっていう無念さもあるし、

 相手は相手で、ずっとパリにいて、写真家と別れたばかりの、

 文化芸術系の男についつい惹かれちゃう性分らしき思い出まじりの美女となったら、

 これはもう、不倫だろうがなんだろうが仕方ないじゃん、

 っていう感情に追い込まれていくあたりが、 

 小憎らしいほど上手に組み込まれてる脚本なんだよね。

 なんだか身近な感じにさせる映画だったわ~。

コメント