◇LUCY ルーシー(2014年 フランス 89分)
原題 Lucy
staff 監督・脚本/リュック・ベッソン
製作/リュック・ベッソン、クリストファー・ランバート
撮影/ティエリー・アルボガスト 音楽/エリック・セラ
美術/ユーグ・ティサンディエ、ユーグ・ティサンディエ
cast スカーレット・ヨハンソン モーガン・フリーマン アムール・ワケド
◇I am everywhere
ひさしぶりに、いかにもリュック・ベッソンらしい感じの映画だった気がする。
まあ、そんなふうに感じたのはぼくだけなのかもしれないけど、
とにかく突っ走る印象のつよいベッソン作品の中でも、
ことに『サブウェイ』と『フィフス・エレメント』はそんな印象が濃くて、
スカーレット・ヨハンソン演じるルーシーと、
上記2作品の出演者たちがだぶって見えるような感じがした。
いや、実際『サブウェイ』の主演は、
この作品の製作をつとめたクリストファー・ランバートだし、
ベッソンとの間で「はじめに戻ろうじゃないか」てな会話が交わされたかもしれない。
ま、そんなことはさておき、
「いいこと教えてやる。ルーシーってのは人類最初の女なんだ」
ていう台詞は、
ルーシーの脳が100パーセント使用されてしまうに至った際、
スカーレット・ヨハンソンはもはや肉体を超越する新たな人間に進化する。
つまりは、新人類の最初の女になるわけで、
類人猿のルーシーとおなじ名前にした意味がここで納得できる。
もっとも、
I am everywhere(私はあらゆるところに存在する)とルーシーがいうように、
もはやルーシーはスカーレット・ヨハンソンの容姿をもった女性ではなく、
精神世界あるいは観念世界の住人になってしまうわけで、
肉体をもたずに魂魄だけで生きているなんてのはつまり幽霊となんら変わりなく、
脳を100パーセント使用するということは、
とどのつまり、自然もしくは宇宙に融け込んじゃうってことなわけよね。
まあそういう意味からすればコンピュータと一体化するっていうより、
電磁気と化してコンピュータをも自分の中に吸収しちゃうわけだけれども、
ここにいたるまでの、いいかえれば超人類化していく際の、
ルーシーの変化してゆくさまがこの作品の見どころってことになる。
それはそれで楽しめた。
説明役になってるのはモーガン・フリーマンで、
結局のところ、狂言回しのようなアムール・ワケドとなんら変わらない。
ひたすら、ヨハンソンが駈けてる。
そんな感じだったわ。