◇ソロモンの偽証(2015年 日本 前篇121分、後篇146分)
監督 成島出
◇全編267分は半分でよろしい
いくらなんでも長すぎる。それなのに、死んだ子の死んだ原因がよくわからないっていうのは脚本の不出来としかいいようがない。邦画で脚本が不出来になってしまうのは、ひとえに監督の口出しとプロデューサーの仕切りの悪さでしかないんだけれど、この作品がなんでこんなに冗漫になってしまったのかについては、ぼくは製作現場にいたわけでもないからさっぱりわからんものの、とにかく長い。長すぎる。これではあかん。
というよりも、雨のふらしも脚本とおなじくらいあかんかったです。噴水がこんな夜にかかってくるのか?とおもったらいきなりの雨だった。演出のせいか、スタッフの技量のせいか、わからんけど、なににしても必要なのか、あれ?とおもわせる悲しさ。すべての人物がつながっているようでつながっていない辛さ。実をいえば、この作品の「中学生が友達の死について自分たちで裁判をする」という主題を聞いたとき「そいつはすげえ」とおもった。だから、けっこう期待してたんだよ、いやまじで。
ところが、これだ。
期待度が高かった分、呆然度も高いぞ。
結局のところ、大人も子供もみんな心の闇を抱えていて、それが連鎖して少年の自殺なのか過失なのかはわからないけどとにかく1990年の大雪のクリスマスの朝に死んじゃった、というだけの話になっちゃってる。そもそもは、いじめだ。けれど、このいじめを解決できないのは、大人の身勝手さと人間の心の弱さなのかもしれないっていうところに主題が在りそうな無さそうな感じなんだけど、それにしても、たったそれだけのいうためにこの長さがあったのだとしたら、邦画の観客たちよ、怒りたまえ。前後編合わせて1800円でええがや!と。