◇フランス、幸せのメソッド(2011年 フランス 109分)
原題 Ma part du gâteau
監督・脚本 セドリック・クラピッシュ
◇ダンケルクからパリへ
出稼ぎをしなければ生きていけないくらいに工場が不景気となっているダンケルクのシングルマザーと、ロンドン勤務を終えたばかりの独身金融トレーダーの物語と聴けば、なるほどそういう男女が出会うわけねと誰でも考える。しかも、その男ジル・ルルーシュのマンションで、出稼ぎ女カリン・ヴィアールが家政婦として働くんだと聞けばなおさら、つまりは格差社会の中で雇われる側と雇う側とが互いの意見を罵るようにいいながらも恋に落ちる話なのねと推察するんじゃないかしら?
ところが、そうじゃないんだよな。
いや、たしかにふたりはデキちゃうんだけど、ことはそんなに単純じゃない。なぜって、カリン・ヴィアールたちの務めていた工場を閉鎖して工員らを解雇させたのは、ほかならぬジル・ルルーシュで、くわえてこのジル・ルルーシュが「家政婦と寝た」とか吹聴しちゃうんだからどうしようもない支配者階級のくそったれってことが暴露されちゃう。つまり、カリン・ヴィアール、そんな工場労働者の敵と寝ちゃったじゃんかわたしってば的な立場になっちゃうわけで、このあたり、なんとも皮肉な顛末になっていくんだけど、いやありそうでなさそうな展開ながら、なんだかリアルな顛末で、ぼくとしては充分におもしろかったわけです。