△ラスト・リベンジ(2014年 アメリカ 94分)
原題 Dying of the Light
監督・脚本 ポール・シュレイダー
△ちょっと宣伝が恥知らずな印象
「ニコラス・ケイジ引退」とあれば観るだろ、ふつう。
でも引退ってのは、演じているCIA工作員が末期の認知症を患ってしまったために解雇されるって話で、ニコラス・ケイジが引退するとかそんなことはまるきりない。にもかかわらずそんな惹句を置かなければならないのは、この作品の出来がいかに悪いかってことを露呈しているわけだよね。実際、目を蔽いたくはなったけど、それにしてももう少し知恵をめぐらせた惹句はできなかったのかと。
にしても、22年前に拷問されたテロリストへの私怨を晴らすべく行動するっていうだけのあらすじに、テロリスト役kのアレクサンダー・カリムが病気でもはや立つこともできず余命いくばくもないところへもって、主人公ケイジもやっぱり認知症で出向いていったホテルの名前も忘れてしまうほどで、手も震えが止まらず、敵を暗殺する方法も練ることができないとかって、まじ、ありか?
カーチェイスもテロリストの配下が凍った川に飛び込んで死んじゃうっていうおそまつな展開で、しかもニコラス・ケイジはいっさい関係ないし、過去に因縁のあった女性イレーヌ・ジャコブとの濡れ場もただのキスと最後に部下アントン・イェルチンから手渡されるキーホルダーの伏線だけだし、なによりアレクサンダー・カリムと最初に対面したときに過去の拷問の恐怖が甦る中に認知症の症状が出てどうにもならずに帰っちゃうっていう展開はまあ我慢したとしても、そのあとプールサイドで強襲された後にナイフで殺しに行くところなんざ、なんだか単なる殺しでしかないのはちょいとかっこ悪いんじゃないかしらね。