◇ツリー・オブ・ライフ(2011年 アメリカ 138分)
原題 The Tree of Life
監督・脚本 テレンス・マリック
◇息子の心象風景
テレンス・マリックの映画は常に詩的であるのはいうまでもないことで、いまさら難しいんだよな~とかいって首をかしげたところでどうにもならない。その小難しさをどうやって受け止めるのかという立ち位置しかないんだから。で、この映画もそうで、しかも詩的な表現はさらに磨きが掛かって地球の歴史にまで内的世界がおよんでいくと、もはやその詩歌はテレンス・マリックのごく個人的な口笛みたいなものになっちゃう。
そう、つまり、ショーン・ペンはテレンス・マリックそのもので、ブラッド・ピットとジェシカ・チャステインとの間に生まれ、育てられ、反発し、しかしながらどうしようもなく父親から受け継いでしまった血(遺伝子)の存在を認めざるを得ないような日々に苛まれているっていう展開なんだよね。
ただ、これって、なにもテレンス・マリックにかぎったことじゃなくて、どこの国のどんな父親と息子にも訪れる懊悩で、親子であるかぎりどれだけ反発していようが畏怖していようがその信条や人生はなんとなく似てきちゃう。とはいえ、そういうものなんだなと軽く受け止められる場合はいいんだけど、テレンス・マリックのようにちょっと桁違いに映像詩にこだわる人間にとっては、そういう無意識下の意識というか、人類を含めて生きとし生きるものすべてに伝えられる遺伝子の意識にまで飛躍させて思考しないと気が済まなくなっちゃうのかもしれないね。
けど、見せられる方としてはなかなか根性いるわな~。