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ヒマラヤ 運命の山

2015年10月23日 00時40分02秒 | 洋画2009年

 ◇ヒマラヤ 運命の山(2009年 ドイツ 104分)

 原題 Nanga Parbat

 監督 ヨゼフ・フィルスマイヤー

 

 ◇1970年、標高8,125mナンガ・パルバート初登攀

 山を見るのも山を歩くのも好きだけど、困難な登攀をしてまで山を征服しようとはまるでおもわない。

 もちろん興味がないわけでもないんだけど、自分でやるとなるとどうしても尻込みしちゃう。そんな情けないぼくだから、当然、この映画のもとになった実話の存在は知らなかった。それも、ラインホルトとギュンターというメスナーなる家の兄弟がふたりして山に志を抱き、共にナンガ・パルバートにあるルパール壁に挑み、初登攀を達成しながらも、帰路、弟を失い、さらにそれが兄のせいであったと報道されるという、なんともいいがたい話だったなんてことはまるで知らなかった。ほんと、ぼくはものを知らない。こういうとき、つくづくおもうんだけど、どうにも仕方がない。

 で、この作品なんだけど、ヨゼフ・フィルスマイヤーという監督はフィクスのかっちりした絵を撮る人だな~って気がする。ずいぶん前の『秋のミルク』や『スターリングラード』なんかもそうだったけど、絵はとても綺麗だ。やっぱりこの作品もそうで、ヒマラヤの絵はたいしたもんだ。でもその分、淡々としてるんだよね。帰路、兄弟がはぐれ、離れ離れになっていくとんでもない運命のいたずらについてもやっぱり淡々としてる。冒頭、ドイツの故郷でのひとときも文藝調のきわめて美しい絵になってるしね。墓の下にある壁をふたりで競うように攀じ登っていくのはこれから先の象徴になってるんだけど、いい感じだった。こういうのをおそらく客観的な姿勢っていうんだろうけど、たぶん、とっても大人なんだとおもうわ、ヨゼフ・フィルスマイヤー。

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