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奇跡のリンゴ

2017年10月13日 11時16分16秒 | 邦画2013年

 ◎奇跡のリンゴ(2013年 日本 129分)

 監督 中村義洋

 出演 阿部サダヲ、菅野美穂、池内博之、笹野高史、伊武雅刀、原田美枝子、本田博太郎

 

 ◎1971年、青森県中津軽郡岩木町

 無農薬・無施肥でのりんごの栽培はとっても難しいそうで、この映画の原作者の木村秋則さんはその方法を世界で初めて確立したんだそうだ。すごいな~と率直におもう。少しずつ栽培方法が向上していったにしても10年間も無収入でりんごを育て続けるっていう意志はなみたいていのものではないし、家族の理解と協力がなければ絶対にできない。つまりは、木村さんの大成功は木村家のひとびとがちからをあわせて文字どおりもぎとったものなんだろね。

 で、この作品はその木村家のひとびとを描いているんだけれども、うん、上手に撮ってる。いつもおもうのは、もうなにをやってもだめだと阿部サダヲが絶望して首をくくろうと森の中へ入っていく場面で、このとき、草木の向こうに自然のりんごの樹が見えてくる。で、そこで阿部サダヲは自分のめざしてる栽培方法が正しいことを確信するんだけど、そりゃそうだよね、りんごだってもともと自然の中で育ってきたんだから、根の周りの雑草を除去したり農薬をまいたりしなければ実が獲れないなんてことはないんだよね。でなければ、もうとっくのとうにりんごなんて地球上から無くなってる。

 ただ、自分の信じる道を行くっていうのは難しくて、誰も認めない道ならなおさらで、世間の白い目をがまんしながら生きていかなくちゃいけない。でも、ただ生きていくんじゃなくて、自分の為そうとしることをこつこつとし続けてなくちゃいけない。それが我が道を行くってことで、たいへんな苦労だ。たいがいは途中で挫折する。だって、生きていけなくなるんだもん。自分だけじゃなくて家族も。だから、木村さんのように家族の理解と協力が要るんだね。でも、それは、家族が木村さんのちからを心から信じているかどうかってことで、家族としては途中で木村さんがなんの成果もあげられずに倒れてしまったとしてもそれで満足できたのかもしれない。ひとつのことを信じていくことの尊さをたぶんご存じだったんだろう。なかなかこういう素敵な家族はいない。

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