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愛のコリーダ

2017年10月27日 00時00分19秒 | 邦画1971~1980年

 ☆愛のコリーダ(1976年 日本、フランス 104分)

 仏題 L'Empire des sens

 英題 In the Realm of the Senses

 監督・脚本 大島渚

 出演 小山明子、殿山泰司、芹明香、白石奈緒美、岡田京子、中島葵、松井康子、東祐里子

 

 ☆昭和11年、帝都中野、吉田屋

 くだらないのはこの映画に関連した裁判で、映画本編のことではなくてその脚本と宣材スチルを綴じた書籍が猥褻物頒布罪にあたるかどうかってことだった。ばかばかしい話で、結局無罪になるんだけど、そんなくだらない裁判をしている閑があったらもっとほかにしなくちゃいけない裁判がごまんとあるだろっておもったのは、いったいいつだったんだろう?

 実をいうと、てほどの話でもないんだけど、この『愛のコリーダ』と『愛の嵐』はほとんどおなじ時代に作られてて、後者の方が2年早い。で、ぼくはこの2本はかなり好きなんだけど、それはともかく、2本に共通しているのは男と女が密室に籠もりっきりになって愛欲に浸り続けるってことだ。それは死をも超越した愛欲で、人として生まれたからには徹底した愛欲の日々は経験しないとあかんのじゃないか、人生に後悔してしまうんじゃないかっておもえるほどの痴情の極致なんだけど、まあ吉田屋の主人吉蔵こと藤竜也のように他の芸者も揚げて乱交に及ぶのはちょいと無理として、阿部定こと松田暎子とふたりきりで密室で数日を過ごすくらいは誰でもできる。たまには、若芽か栗の花のような匂いのする饐えた空気の中でこれでもかってくらい痴態の時を過ごしてみるのもいいもんだろう。

 実際、この作品は興味本位で観られることが多いけど、大島渚の作品の中では『戦場のメリークリスマス』と双璧を成すくらいの傑作だとおもうんだよね、実は。まあ、陸軍の歩兵隊の行進とすれちがうくだりで、さまようように歩いていく藤竜也の心と体がもはや世間から遊離しちゃったどころか逆行してるってだけじゃなく、戦争するくらいなら性戯に溺れるだけの生活の方が遙かにましだっていう反戦もちょっと見せてたりするものの、そんなものは刺身のつまにしかならず、ひたすら男と女の性の真実を追求してるわけで、まさしくそれが好くて、しかも花柳界の下卑た遊びがぎゅうぎゅうに詰まってるところがさらに好いっておもっちゃうんだよね。

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