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誰よりも狙われた男

2017年10月20日 13時26分19秒 | 洋画2014年

 ◇誰よりも狙われた男(2014年 イギリス、アメリカ、ドイツ 122分)

 原題 A Most Wanted Man

 監督 アントン・コービン

 出演 ウィレム・デフォー、ダニエル・ブリュール、ニーナ・ホス、ロビン・ライト

 

 ◇フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作

 原作者のジョン・ル・カレが製作総指揮のトップとして参加しているところを見ると、かなり入れ込んだのだろうし、映画そのものも完成を迎えているわけだからそれなりに満足したとおもわれるんだけれども、さて、どうなのかしら?

 なんていうのか、派手さはないというよりも地味で淡々としてリアリズムに徹しているといえばいいんだろうか。でも単調ならば単調なりの緊迫感があって然るべきだとおもうんだけど、そういう抜き差しならない感覚があまり味わえないのは辛いところだね。

 いやまあ、アメリカの旅客機墜落テロのあった2001年9月11日を境にして世界中のスパイ活動が大きく様変わりしたっていうのはなんとなくわかるし、スパイ活動がいかに目立たない中で行われて、深く静かに起きて止んでいるかってこともそれなりに想像はつくんだけど、うん、難しいな。実際、フィリップ・シーモア・ホフマンがベイルートで失敗し、ていうか諜報戦で嵌められ、自分の情報網をずたぼろにされたっていうのはわかった。その後、ハンブルクへ流れてきてドイツ側のスパイとして活動して新たな情報網をようやく作り上げてるっていうのもわかった。でも、その資金をどうやってドイツからひきだしたのかがわからない。だって、ドイツは物語の中ですらそういう諜報部員を抱えていないことになってるっていうことわりをいれるくらい神経質になってるわけでしょ?

 それと、レイチェル・マクアダムスがなんでチェチェンから逃れてきた闇の大資金を受け継ぐ青年に頼られることになったのかもいまひとつ理解しがたいし、さらにいうとこうした人間どもが複雑に絡んでいるものの、いちばんの闇の中で蠢いている連中はあまり描かれていないんだよね。結局、狙われているっていうか最後の最後に嵌められてしまうフィリップ・シーモア・ホフマンの無念さが、かれの人生の無念さと多重露光してしまって、なんだかな~って感じだ。

 ただ『東ベルリンから来た女』のニーナ・ホスをまた観られたのは嬉しかったわ。

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