◇ベニシアさんの四季の庭(2013年 日本 98分)
監督 菅原和彦
出演 ベニシア・スタンリー・スミス
◇京都大原2009~2013
このドキュメンタリは好きで、テレビでふと見かけるたびに観てた。
いつ放送されてるのか知らないんだけど、ほんとにふとしたときテレビがついててさらりと視界に入ってきたとき、そのままなにげなく観てた。なにかの参考にするわけでもなく、ああいいな~とおもうわけでもなく、それでいてなんとなく愉しみな番組だった。
そういうことからいうと、彼女が丹念に栽培している庭のハーブに似ているのかもしれないね。イギリス庭園はぼくみたいなど素人には想像もつかないほど手入れが大変で、雑草が生い茂ってるんじゃないかって勘違いしちゃう人間はまあおいといて、でも常に自然体で驕らず気取らず風光に身をゆだねるようにして時を刻んでるように作っていく。なかなかできることじゃない。それを彼女はほんとに緩やかにテレビの向こうの誰かに語り掛けるような独白を続けて手入れしている。演出がそうさせるのかもしれないけど、彼女の優しくも厳しくかつ誇り高い人柄が漂ってくるような番組だった。
ただ、テレビの場合、あまり深くは入り込んでおらず、たとえば、イギリスの壮麗な実家っていうか城だとか、娘たちのこととか、さらにはご主人との出会いと暮らしと別れにいたるまでのこととか、まるで語られてこなかった。いつのまにか、どこからか大原にやってきて、その風物と一体化したような透明感のあるふしぎな英国女性という印象は、にわかに現実味のあるベニシア・スタンリー・スミスという英国婦人になった。観てよかったのかどうか、よくわからない。