◇夜に生きる(2016年 アメリカ 129分)
原題 Live by Night
監督・脚本・主演 ベン・アフレック
出演 ゾーイ・サルダナ、エル・ファニング、シエナ・ミラー、ブレンダン・グリーソン、クリス・クーパー
◇1920~1933年、マサチューセッツ州ボストン
禁酒法の時代というのは同時にギャングの時代っていってもいいのかもしれない。
この作品もそうで、第一次世界大戦に出征してフランスで戦ってきた警視正ブレンダン・グリーソンの息子ベン・アフレックはすべてのことにうんざりしてギャングになった。とはいえどの組織にも属さない一匹狼を気取って、気の合う仲間とつるんで銀行強盗をくりかえしていく。売春や麻薬といった犯罪は犯さず、おのれの引き金で人を殺すこともない。とまあいったかっこをつけて常に気取ったギャングでいようとするんだけど、なかなかそうはいかない。一方の組織のボスの女シエナ・ミラーを寝取ったらそうなる。で、シエナ・ミラーに売られてそのボスから金玉をつぶされるほど痛めつけられたことから復讐をたくらみ、それをばねにしてフロリダでのし上がってやがて復讐を果たして、貧困の母子のための養護施設をつくろうとするゾーイ・サルダナと結婚するんだけど、まあその町の顔役クリス・クーパーの娘エル・ファニングが麻薬でぼろぼろにされたことから歯車が狂い始め、やがて復讐したはずのボストンの顔役どもと決着をつけることになるっていう話なんだけど、こうして見てくるとそこらの大河マフィア物とさして変わることもなく新鮮味は感じられない。
これがベン・アフレックの最新作なのかって目を疑いたくなるような物語だ。
胸板をひたすら厚くすることに一所懸命だったんじゃないのかって揶揄したくもなるけど、まあ、かっちり撮ってる割には、なんていうのか『ゴッド・ファーザー』のような品格は感じられないし、かといって『スカー・フェイス』のような破滅的な破壊力と凄絶さも感じられない。小器用にまとめたって感じかな。