今日は、翠の実家のアトリエでパパが昔から続けているクロッキー教室の日だ。
それで、夕方駅前のマサヒロ君のスタジオに出向いて待ち合わせだ。
なにしろ、若いプログラマーの兄ちゃんと、ときおりやってくるフランクな大年増の経理の叔母半がいる3人だけのオフィスだ。
その大年増の叔母半の話が面白いのだ。
マサヒロ君のスタジオのことも、いつか語ろう。
そんなわけで、マサヒロ君を誘ってパパのアトリエへ向かう。
といつてもマサヒロ君は自分の家に帰るだけなのだが。
それで古い商店街を歩いて行くと、いいにおいが漂ってくる。
マサヒロ「やっぱ、この時間になるとお腹すいたですよぉー。軽く食べて行きませんか・・・」
「だよねぇー、寒くなってきたから暖かいものがいいなぁ」
マサヒロ「ならば、あそこのそば屋の立ち食いです!」
「あれっ!?、あのボロい建物かい?」
マサヒロ「昔からある店ですよ。ボロくても味はすごくいい。親父がツユの味にこだわって研究し尽くした味だもん」
「そうなんだぁー」
マサヒロ「だけどさぁー、そこまでこだわらなくてもいいのに、こだわっちゃったのよね。だからうどんは美味しくても、支店をだすなんてことはなく、あの店1軒きりなのです。親父がこけたらお終いですぅー」
「まだ、こけてないんだ!」
マサヒロ「多分、今日も元気だと思うよ」
暖かいうどんが心地よい季節になってきた。
・・・
天狗山をみると紅葉の真っ盛りだ。