Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング567. 小説:小樽の翆495. 知りすぎた少女

2022年01月07日 | Sensual novel

 

 小樽の冬、少し元気をだして郊外へ遠出する。もちろん雪の風景しかないが、冬のキリッとした寒さに身を引き締め、僅かの時間のスケッチに没頭する。といって長時間は無理なので、早々に街に戻り、小樽公園の地獄坂にさしかかる。そして小春が寄ってくる。

小春「だって叔父さんがスケッチしているのが中学校の窓から見えるじゃん」

そんなわけで、また小春につかまった。

小春「おじさん、他の女の人を抱きたくならないの?」

「オヨヨ!、いきなりそれですか!!!。とくに考えたこともない」

小春「ふぅーーん、そんなもんか」

「それじゃ、ご不満!?」

小春「私の友達が、飽きたから男を変えたいって相談があったの・・・」

「それで、どう答えたの?」

小春「私、だってユウ君に飽きたわけじゃないから、わかんないって答えた。女の人って飽きたら男の人を変えるんだぁー」

「そういう事でもないような・・・・」

小春「じゃあ、なんなの?」

「うーーーん」

小春「つまり小春は、小学6年の時にユウ君と初エッチしたじゃん。それでね、私はユウ君とズーーーと一緒でいいなと思っているし、それでユウ君は勉強に頑張っているから、これで、いいかなぁーって思っているの」

「ホウ!・・・」

小春「つまり小春は、沢山の男の人と経験したいわけじゃないのよーー」

「なるほど、一生に一人だけ彼氏がいれば十分よ!、というわけね

小春「そうよ!、だってセックスの時の快感だって、そんなに違うとは思えないしさ」

「つまり、セックスよりも一緒にすごして成長した時間が共有できれば、満足、というわけだ」

小春「それよ。いろんなことを一緒に考えて、という時間が一杯あることのホウがとっても大切だと、最近思った」

「今日もユウ君ち?」

小春「そうよ。今日は寒いからお鍋ね。でもユウ君が眠くなるからなぁーといってるけど。ガード下の八百屋さんで買い物しなきゃ・・・」

そういって小春と並んで坂道を下りていった。

小春のような知りすぎた少女から教えられる事があった。相性のよい男や女をとっかえひっかえ捜すなんていうのは、人間は宝探しじゃないのだから、面倒くさいしナンセンスだ。従ってお互いがフッと眼が合ってカップルになる、生涯の伴侶はそんな一人がいれば十分だ。それで結構幸せなんだ、と言うことを・・・。

・・・

日が暮れるたかどうかもわからないうちに街は暗くなってゆく。

今年は雪の降るのが早かった。

雪が降り続く小樽である。

コメント
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