Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編498. 続々失敗談というよりは図々しさ

2021年10月16日 | field work

 

 

 中国二番目の滞在先大理までくると少数民族の衣装に惹かれて、建築から人間へ関心が拡大してゆく。

大理の人間が面白いじゃん。

少数民族の意匠をきたオバハン、文物の知識人、街灯の物売りの少年・・・・

当時中国は、一人っ子政策を掲げていたが子供達はどうみたって兄弟ばかりだ。

なんだ!、公園に固まっているこのオバハン達の一群は。

よくわからないが撮っておけ!。

脇に大理の民族衣装をまとっているギャル達を撮るついでに・・・。

後でポジをみたら、大理の民族衣装の刺繍をしているところだったのだ。

ならばもっと子細に撮っておけば良かった。

・・・

旅先で、いつも意識が冷静であるとは限らない。

何しろ私達のまわりは被写体であふれていた。

撮っても撮っても撮りきれない。

撮影機材なんかに神経を注ぐ気分はとうに失せている。

この場に及んで露出補正だってぇー、そんなことをいうのは旅慣れない人間の台詞だ。

今ならデジタル機材のあり余る設定を、モニター画面をみながら変えたりするなんて事を旅先ですることは先ずないし、そんな時間もない。

それよりは、撮り続ける気力やスタミナが重要だ。

・・・

農道を歩いていたら、ブタの頭をお盆に載せ料理をかかげた一群がやってくる。

子供達の嬉しそうな顔だ。

晴れ毎でもやるんかいな。

遠くから民族衣装で着飾った一群がやってくる。

レンズは135mmにズーミングして一群をすばやく捉える。

一瞬の差で気づかれて顔を隠されてしまった・・・。

まあよい、撮っちまえ!。

気がつくと、それは葬式の列だった。

よし!、後についていって先ず見られない葬式を撮るチャンスだ!!。

だが、そう考えるだけに留めた。

突然、外国人が現地の生活に入り込むのもモラルがなさ過ぎる。

民族によっては余所者がくることを拒む場合だってある。

そっとしておこう。

静かに葬送の列を見送った。

 

中国雲南省大理(1999年8月〜9月)

EOS3,EF28-135mm/F3.5-5.6、コダクローム2

 

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番外編497. 続々失敗談 あれは幻影だったか!?

2021年10月15日 | field work

 

  当時、中国雲南省の省都昆明までは日本エアシステムが飛んでいた。

昆明、大理、麗江をへて中旬までやってくる途中の集落を発見しながら西域をタクシーで走り抜けてきた。

隣はチベットである。

中旬に桃源郷と呼ばれる平原がある。

そこにはチベット様式と呼びたくなる民家が点在していた。

そして中国最奥地の民家の屋根に乗っていた巨大な物体を、私は確かに見た。

それは民家の屋根を覆う大きさの巨大なパラボラアンテナだ。

支柱には、国際宇宙センターにでもいるかのような中国語のレタリングが描かれている。

日本がまだADSLというロートルなインターネット回線を敷設していた頃、中国・チベットの奥地は屋根のパラボラアンテナを立て衛星を介してインターネットをしているんだと判断した。そうであれば日本よりはるかに進んでいた事になる。

そんな異質の風景に驚嘆し、それにおののくようにカメラをしまい、つまりパラボラアンテナをたてた民家の写真を撮りそびれた。

ブログトップの画像の屋根にドーム型の巨大なアンテナが立てられていた。

そんな撮りそびれた風景を思い出す時、あれは幻影だったか!、と思うこともある。

だが、驚いたことは事実だ。

だから存在していたのだろう。

写真を撮っていなければ、話にならない。

もちろん昆明から中旬に至る道すがらに美しすぎる数多くの集落を発見しながらの旅であった。

風土に呼応した暮らしを続け、そのなかで建築群としての整然としたまとまりをもった集落は、既に日本で失われた風景である。

近代化の早い中国、今はもう見られない風景、よくて観光地化した風景といってよいだろうか・・・。

中国・雲南省(1999年8月〜9月)

EOS3,EF28-135mm/F3.5-5.6、コダクローム2

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番外編496. 続・失敗談 ロシアの歩道は機材が壊れるぐらいに堅かった!

2021年10月14日 | field work

 

  サンクトペテルブルクのプロコヴォ国際空港からウクライナに向かう朝、タクシーから降り立ちEOSシステムをつめたソフトなリュックをコンクリートの床においたら小さな鈍い音がした。

待合室で機材を確認したら、レンズのキャップがズレている。

直そうとしたら変だ。

キャップを外したらプロテクトレンズが見事に割れているではないか。

えっ、あの歩道にリュックを置いただけなのに、そんな事ってある!?。

幸いプロテクトレンズは捨てた。レンズに傷がなくてよかったぜ。

帰国後、キャノンのサービスセンターへ機材を点検に出した。

「光軸がズレています・・・・・」

えっ!、ズレる衝撃というと、プロテクターレンズが割れた時だ。

つまりそれ以後の画像は、すべて光軸がズレているのを気づかずに撮影した来たわけだ。

もちろんそんなのは、EOSのモニターでは確認できなかった。

ロシアの歩道はレンズが割れるぐらいに堅かった、というわけだ。そして光軸までズレていた。

ロシアって侮れないですねぇー。

光軸がずれる前の画像とズレた後の画像をトップで並べてみた。

2枚目の画像の左側四隅は解像度がでていないようにも見受けられるが、わからない。

長いレンズは、光軸がずれるという経験を初めてした。

たしかにレンズが長ければマウントに負荷がかかることは確かだが・・・。

 

ロシア・サンクトペテルブルグ、ウクライナ・リヴィウ

EOS1DsMark3+EF28-300mm/f3.5-5.6LOSS

1)ISO3200,焦点距離40mm,露出補正-0.33,f/6.3,1/100

2)ISO400,焦点距離28mm,露出補正0,f/5.6,1/80

3)ISO400,焦点距離300mm,露出補正0,f/7.1,1/400

 

 

 

 

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番外編495. 失敗談 アアッ!、あのレンズを・・・・

2021年10月13日 | field work

 

 誰しも、予想外の被写体の出現を前にして、アアッ!、あの長い焦点距離のレンズを持ってくればよかったと後悔することがあるだろう。

イクロム(文化財保護修復研究国際センター)の研修に持参したフィールドワーク機材は以下であった。

EOS1DsMark3、EF28-300mm/f3.5-5.6

OlympusEM1+ZUIKO ED7-14mm/F2.8pro

それにマクロも必要と思い乗り継ぎ時間にアタチュルク国際空港で調達したコンデジ、Nikon CoolpixAW130。

このシステムなら大概の被写体が撮れるし、実際撮れた。ただ一つの例外を除けば・・・。

研修最後の日、「今日はギジ島周辺の小さな教会を回ります」というので超高域ズームレンズをつけたEOS1Dsは宿泊施設へ置き去りとし、広角ズームレンズを付けたオリンパスEM1とコンデジだけを持参した。

そして最後に「私の家のテラスから見えるギジ島の教会を見ましょう」というサプライズがあった。

テラスからは真っ正面にギジ島の教会が見えており、これまで見ていなかった立面が見えているではないか。図面化するのには最適なアングルだ。

望遠レンズは置いてきた・・・。

そこでコンデジの電子ズームをもちいて撮るのが精一杯だ。

それがブログのトップの荒れた画像だ。

EOSシステムだったら300mmでも鮮明な画像を提供してくれたはずである。

300mmの焦点距離は、めったにつかうことはない。といってその滅多にない機会に意味ある1枚が撮れる時もある。

こんな失敗から、常に超高域ズームレンズは肌身離さず持参すべきというのが私の教訓になった。

それが私が超高域ズームレンズにこだわる理由。

重たかろうが、大きかろうが、必要な機材は妥協せずに持参する、それがフィールドワークのポリシーだという経験である。

 

ロシア ギジ島教会

Nikon CoolpixAW130

1)ISO125,焦点距離73.1(409mm),露出補正0,f/4.9,1/640

EOS1DsMark3+EF28-300mm/f3.5-5.6LOSS

2)ISO800,焦点距離40mm,露出補正-0.33,f/16,1/500

3)ISO800,焦点距離300mm,露出補正-0.33,f/11,1/1000

4)ISO800,焦点距離90mm,露出補正-0.33,f/18,1/800

5)ISO800,焦点距離70mm,露出補正-0.33,f/18,1/1000

OlympusEM1+ZUIKO+ED7-14mm/F2.8pro

6)ISO8000,焦点距離7mm,露出補正0,f/2.8,1/60

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番外編494. パパラッチ御用達のレンズ、そして・・・

2021年10月12日 | Photographic Equipment

 

 超広域ズームレンズがある。フルサイズ換算28mmから135mmの範囲をカバーし、それ以上の焦点距離を持ったレンズである。手元には超広域レンズが3システムある。特にCanonのEF28-300mmF3.5-5.6L/ISOSSレンズが優れものだ。

 それはフランスのパパラッチ御用達のレンズといってもよい。なにしろ映画祭の絨毯をひいた階段をあがる映画俳優達を間近に撮れば、またあるときは彼らの情事を300mmで盗撮したりするためにレンズの解像力は大変優れ、大変効果の高い手ぶれ補正機能がバッチリついている。

 企業は、そんなレンズを開発するのに惜しげなく開発費を投じてくれたから、とんでもない実用性能を秘めたレンズだし、パパラッチ必携レンズだ。

 そんな高性能レンズが一般的に使われるかというと、重たいのでフツーの人は先ず使わない。だが私が海外のフィールドで使った経験からすれば、これほど便利なレンズはないし、なんといっても画像の鮮明さにほれぼれする。

 そんな理由からEOS1Ds mark3に28-300mmLレンズの組み合わせが、製品開発時期が同じであるためカラーブログラムの相性が良いので私のベスト機材になっている。今このシステムにあう最新機材は発売予定のEOSR3だし、新しいカラープログラムなら綺麗かなと幻想は膨らむ。しかし11月発売で予約が必要だ。レンズがあるからボディだけ調達すればよいが、SONYならレンズ+ボディが調達でき、私のEOSシステムよりは1kg軽い。

 それにしても広告コピーの「無双」とはなんだ!。並ぶものが世の中にはないとか、どこか傲慢だ。それはいかにもオッサンくさいプロモーション!。こんなテイストならやめておこう。心は一気にSONYへ傾く。

 それがSONYα7S3+FE PZ 28-135mm F4 G OSSというシステムだが、カラープログラムが進化し、総画素数を低く抑えたことでダイナミックレンジを確保しているところに好感が持てるし、データが軽いからマックへの転送も楽だ。それに動画が主体というのも面白い。

 このSONYシステム(ボディは前モデル)は、国際宇宙ステーションに搭載され大変綺麗な画像を地球に送ってきたが、さて今でも使っているのか?。SONYタイマーと揶揄されてきたぐらいだから耐久性は不明である。さて、どうしたものか・・・。

 いや!、そんな機材を使うよりもiPhon13が最優先だ。静止画なんか動画の切り出しでいいじゃん。そう考えると、従来からの撮影機材にこだわる理由がなくなってくる。

 

出典:https://news.mapcamera.com/KASYAPA/sony-fe-pz-28-135mm-f4-g-oss-4k-review/

 

 

SONYα6000+Carl Zeiss Vario-Tessar ZA E OSS T*16-70mm/F4.0

1)ISO1600, 焦点距離50mm,露出補正+11.3,f/8,1/80

4)ISO1000, 焦点距離70mm,露出補正0,f/8,1/125

EOS1Ds mark3、EF28-300mmF3.5-5.6L/ISOSS、

2)マロロスの市場:ISO640, 焦点距離36mm,露出補正-1.3,f/11,1/60

3)ポルトの界隈:ISO800, 焦点距離90mm,露出補正0,f/14,1/500

 

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ドローイング518. 小説:小樽の翆446. 幕間25.絵具の話

2021年10月11日 | Sensual novel

 

 絵具の話を書こう。

絵具は、レモンイエロー、オレンジ、山吹色、水色、ブルー、紫の6色あれば、この組み合わせで15通りの色ができる。実際この色の絵具の使用頻度が一番高い。それ以上あると使い切れない。

そうなるとどこのメーカーの絵具にしようかという話になる。個人的にはホルベインの18色セットを試みたいと思いつつ、シュミンケ・ホラダムにつかまり、いまだにこれをもちいている。

私が揃えているシュミンケ・ホラダムの絵具は以下の通りである。

209 トランスルーセントイエロー/

218 クロニウムオレンジヒュー/

363 スカーレットレッド/

368 キナクリドンバイオレット/

475 ヘリオターコイズ/

482 デルフトブルー/

509 コバルトターコイズ/

525 オリーブグリーンイエローウィッシュ/

530 サップグリーン/

645 インディアンレッド/

894 シルバー/

910 ブリリアントブルーバイオレット

それにさくら絵具のホワイト(小学生の絵具箱に入っているあれです)

 

シュミンケ・ホラダムには24色の固形絵具のセットがある。それは以下の絵具で構成されている。

クロームイエローディープ・クロームオレンジ・★レモンイエロー・カドミウムイエローライト・ネーブルスイエロー・カドミウムレッドライト・マゼェンタ・パーマネントカーマイン・ディープレッド・マンガニーズバイオレット・★ヘリオターコイズ・セルリアンブルートーン・インディコ・プルシャンブルー・ウルトラマリンファイネスト・フタログリーン・メイグリーン・コバルトグリーンダーク・パーマネントグリーンオリーブ・イングリッシュベネシャンレッド・イエローオーカー・バーントシェンナ・セピアブラウン・アイボリーブラック

★印は、私の持っている絵具であり、ここには2色しか入っていない。Amazonの24色セットで16,340円。ちなみにホルベイン24色セット・チューブだと3,420円である。

 この二つが店頭に並んでいたら、私はホルベインのチューブを選ぶだろう。固形絵具は使いにくいから、バレットに絵具を出しておきっぱなしにするチューブ派である。そんなわけで私は、シュミンケホラダムのチューブをバラで揃えている。

 面白いのは、水彩画を引き立てる絵具と壊す絵具がある。引き立てるのは白である。最後に控えめに使えばオブジェクトを立体的にみせてくれるなど、さくら絵具の利用頻度が高い。

 そして黒は描いた絵を壊してくれる。というのも色がきつすぎるのだ。だから私はsap greenとBrillianblue violetを混ぜて黒い色の表現に用いている。だから黒絵の具は使わないし持っていない。できることなら白絵具も使わず紙の色で表現したいのだが、てっとりばやく絵にしてくれるから悪魔的な魅力をひめた色である。

 そんなふうに透明水彩絵具は、マックで描くのとは異なった世界が面白い。それは偶然と発見の連続だからだろう。

 

SONYα6600、Carl Zeiss Vario-Tessar ZA E OSS T*16-70mm/F4.0

ISO160, 焦点距離33mm,露出補正+0.5,f/4,1/50

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ドローイング517. 小説:小樽の翆445. 作曲家のその後

2021年10月10日 | Sensual novel

 

 房ちゃん「いらっしゃいませーー。感染症で大変だったからお久しぶりー!」

翠「だってアチキが空腹でフラフラですぅーっていうから、ここまで連れてくるのが大変だったの」

房ちゃん「亭主はフラフラ、顔はつっかえものがとれたようにすがすがしい!。やったね(^0^)、これ!!」

翠「うん、北ホテルのデイユースってのがあってさ。結構快適な部屋だったもん」

房ちゃん「まあ元気でよかったねぇー」

「あら!、オールドパーの下の楽譜がなくなっている!!」

房ちゃん「それがねぇー、あの後しばらくしてから作曲さんがうちに来たの!!。なんでも東京であまり旨くゆかなかったみたい。それで札幌の実家に帰ってきてスタジオのミキサーをしているんだって」

「ふぅーーん、それで楽譜は作曲家さんに戻ったんだ」

房ちゃん「もういらない楽譜だけどいって引きとっていったわ。それでぇー・・・、これ続きがあるのよ」

翠「楽譜の続きじゃなくて、小樽の雑貨屋さんの娘か・・・」

房ちゃん「(^0^)でっ、作曲家さんがうちでしみじみと飲んでいて、いかにも今も独りもんだっていう空気が漂っていたね」

翠「都落ちしてきたからねぇー」

房ちゃん「そう、それで私があの娘を思い出してんでしょうってからかったの?」

翠「でっ・・・」

「それで、作曲家さんは会えればいいよねといったのよ。それから私、あの娘の連絡先をしらべたもん。そしたら、雑貨屋さんは知ってたからすぐに見つかったの!」

翠「ラッキーだった」

房ちゃん「そうなのよ。それで彼女にアタシが電話したの。『あんたまだ一人?』って尋ねたら、『そうよ!』、という返事だったの」

翠「それで、それでぇーー」

房ちゃん「これでやったあ!、だよ。でね今日今お店に来ない?、タダになるかもよっていったの。でっ、その娘が暗い顔してやってきて、めでたく再開だよ!!!」

翠「房ちゃんが二人の仲を取り持ったんだ。すごーーい」

房ちゃん「何かの縁があってさあ、一緒に寝た男と女がくっついて一緒に暮らさなきゃ人間なんてつまんないよ」

翠「そうだねぇー」

房ちゃん「私ら庶民は、別にお高い恋愛なんか望んでいないよ。そんなの小説の世界だからさ。それよか一緒に暮らせる相手が見つかれば、それでお互いに幸せじゃない。長く暮らしてゆけば、お互いに恋心も沸いてくるんじゃないかなぁー」

翠「その先は?」

房ちゃん「雑貨屋の娘は、今札幌の彼氏のところで一緒に住んでいて幸せだよ。ときどきうちの店にも来るんだ」

翠「だって、房ちゃんが消えかけていた火をつなげたんだもん」

「オリンピックの聖火みたいですねぇー。だって火と火がつながらなかったら燃え尽きてお終いでしょう」

翠「そっかぁー、男と女の心は、いつも簡単につながるとは限らないからなぁー」

・・・

久しぶりに、房ちゃんお店のハンバーグにウォッカ!

軽く飲んだらしたたかに酔っ払ってしまった。

小樽の秋の冷たい風を感じながら、千鳥足で帰った。

今日は、もうできないな、翠を抱えながら程なく寝てしまった。

・・・

小樽も秋!。

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ドローイング516. 小説:小樽の翆444. デイユース

2021年10月09日 | Sensual novel

 

 海へ向かって歩いてゆくと北ホテルがある。

翠「デイユースあるよ!」

「ハイハイ、デイユース・・・」

・・・

窓から紺碧の空と海に白い街が挟まっているみたいだ。

部屋にはいるなりお互いの体にしがみつくように抱擁し、唇をかさねた。はずむと息をすいながら唇をすいあった。

「ぅううんーーんううん」

翠「アワビの生物的な形にうずうずして・・・」

濃厚な色香がただよっている。

「昨日の続きだねぇー」

翠の服を脱がせながら、ベッドにたどり着く頃には、お互いが全裸だった。

翠を抱きかかえて舌先で首を舐めあげると、翠のからだがビクンとっそる。

翠「ぅうううん、っうううん、気持ちいいよ・・・・」

翠が股間をピタッとすり寄せてくる。

一緒に腰が微動している。

ペニスを翠の股間にこすりけていると翠の股間が熱く潤っている。

翠「くぅーーっ、アチキ!、早く入れてぇー」

抱き合ったまま、腰を少し動かすと切っ先は翠の膣を捉えている。

そのまま腰をさげるとヌルッと翠の体の中に沈んでゆく。

二つの体がピタッとひとつになってゆるく揺らいでいる。

翠の体にいれたままジッとしていると、膣が潤って柔らかくペニスをつつんでくる。

アチキの胸に押しつけている乳首をなでると、ビクンと立ち上がってきた。

翠の呼吸が胸を伝わって感じられる。

遠くで波の音が聞こえるようだ。

翠の膣の肉ひだがざわめきながら吸い付いてくるようだ。

そんなざわめきはオーケストラの舞台に演奏者がまばらに登場する時のようだ。

そして腰を少し左右にグラインドさせると一斉にオーケストラが演奏を始める。

翠「ああっ、いいっ」

翠の体が波打ちはじめた。

そんな波に一緒に乗っていると翠の膣がゆるく締め付けてくる。

翠「ああああっ、いいいいーーーーーーー」

一緒に骨盤が上下しながら、翠の爪が首に食い込んでくる。

ヴァイオリンの音色が、スローピッチから高音域になると、翠の体に汗がにじんでいる。

翠「はははぁっ、いくいくいく!、アチキいってぇーーーー」

一緒に一つの体が脈打ってシンバルが鳴ったかのように翠の膣に精子を放った。

そのまま一つの体はベッドに沈み込んだ。

しばらく翠のさめやらぬ生暖かい膣を感じながら入れっぱなしにして余韻を感じていよう。

翠のハアハアとした息づかいが胸に伝わる。

そのまま、翠を抱き抱えながら眠ってしまったようだ。

・・・

翠「アチキーーー、重いよ」

それで気がついた。

夕飯は、房ちゃんの店へゆこうよ。

多分準備している頃だからお店へ電話しておく。

力の抜けた腰を引きずりながら、シャワールームのお湯が心地よい。

「翠ー、一緒にお風呂にはいろうよ!」

翠がバスタブに入ってきた。

ぬるい湯が体にこびりついた残渣を洗い流してゆく。

次第に脱力してゆく。

しばらく翠を抱きかかえながら風呂につかっている・・・。

・・・

秋の陽はつるべ落とし、薄暮の頃だ。

白い街がパープル色に染まってくる。

 

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ドローイング515. 小説:小樽の翆443. 余韻を思い出しながらアワビ! 

2021年10月08日 | Sensual novel

 

 街のなかを歩いているカップルの会話って、まわりには聞こえない。

街ってノイジーな空間だから、意外に密室状態だ。だもん外国人が濃密なキスをしていたって誰も関心はない。街ゆく人は、カップルのオキシトシンが分泌していることなど知るよしもない。

多忙な勤務が続いていて翠も久しぶりにお休みだし、少し秋の装いで散歩にでかける。

翠の乳首がアチキの二の腕をスリスリしている。

そのうちアチキの二の腕にピタッと翠の乳房が食い込んでくる。

翠「アチキってエアロビの効果もあって体が締まってきたねぇー」

「外出自粛の時期に出かけるなっていうから、スポーツ教室に通うしかないじゃん。10kgはやせた。贅肉が落ちたかなぁー」

翠「でも、あそこは小さくならないんだね!」

「うん、あそこ!、夕べはどうだった」

翠「いつもとおんなじ大きさのが、ズルッとはいてきたよ」

「翠の身体にズルッとはいって生暖かく、濡れた膣壁が柔らかく締め付けてくれたのは覚えている」

翠「快感だったぁー?」

「うん、ヌルヌルと締め付けるというよりは、柔らかく包まれている感じかな」

翠「マサヒロを産んでいるから、若い子みたいには締まらないよん」

「アワビ!、アワビみたいな感触だった」

翠「フフフ!」

そういって翠が腰をピタッと寄せてきて、ウィンドパーカーの下から腰に回した手がグルッと回ってアチキのGパンの裏側からパンツをさげようととている。女の手の感触って気持ちいいよなとと思いつつ、前から誰もあるいて来ないことを確認しながら・・・。

翠「立つかなぁーー(^0^)」

「出そうになるかもよ!」

翠「いいよー、一杯出して(*^▽^*)」

寿司や通りまで来たら・・・

翠「アワビ、食べようかぁー」

「なんだぁー、そういう誘惑だったかぁー」

翠「いいじゃん、久しぶりにお寿司。今年は感染症でかき回されて忙しくているあいだにウニがおわっちゃっもン」

夕べの翠とのセックスの余韻を思い出しながらアワビ!、それいいかも・・・。

・・・

秋の午後の遅い時間が流れてゆく。

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ドローイング514. 小説:小樽の翆442. やれたなっていう感じ! 

2021年10月07日 | Sensual novel

 

 猫カフェで熱い珈琲をすすりつつ、上さんの出産待ちをしている一太郎君と暇人のアチキが、レンダリングを前に歓談している。

「もろベンツじゃん」

一太郎「ドイツデザインに学ぶというやつ。セダンのスタイルとしては、プリミティブなコンセプトを発見されちゃったという感じ。例えば少しくさび形のシェイプを感じさせながら、フロントからキャビンそしてラゲージスペースに至るつながりがセダンのデザインとしてはすごく旨い!、真横から見るとそれがよくわかる。ヒップアップな後ろなんかクーペになりそうで、しかりスリーボックススタイルにしている。やられたなっ!、ていう感じ」

「ドイツデザインの衝撃!」

一太郎「うーーん、セダンはこれしかないというフォルムだもん。このフォルムを使うと、どんなにデイテールで頑張ったってみんなベンツになっちゃうよ」

「セダンのフォルムとしては、最適解を発見しちゃったんだ」

一太郎「こうしたフォルムをつくられちゃうと、俺たち負けたなって感じ。まあ俺はメカニックだから、スタイリングは本社のデザイナー達に任せてさ・・・」

「これを電気で動かそうというわけだ」

一太郎「電気はパーツが少ないから簡単。バッテリーをキャビンの下に敷き詰めるんだろう。ドイツデザインの衝撃で、しばらく自粛かなあ!」

「あらつまんない、子育てに専念するかなぁー」

一太郎「おっそうだ!、上さんのところにゆかなきゃ」

「まだ、うまれておらへんでぇー・・・」

そう言われても、事が事だけにといっても、男はさしたる役割もないのだから律儀に出かけざるを得ないのが宿命か。いや女達に、やれたなっていう感じかもな。

・・・

翠の話によれば、一太郎君のジュニアが誕生したのは、翌朝だった。男の子だって。

多分将来カーデザイナーにするんだろうと想像していた。

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ドローイング513. 小説:小樽の翆441. 手持ち無沙汰

2021年10月06日 | Sensual novel

 

 海のスケッチ帰りに、ナンタルの奥まったところにある小さなカフェスタンドの前を通ったら、大きなカルトンを抱えたツカモッチャン家の一太郎兄ちゃんがお茶している。

「おっ、こんな時間に珍しいね。あっ、上さんの出産なんだ」

一太郎「うん、そこの病院の産婦人科へ駆け込んだけど、まだまだよと看護師さんに言われて」

「ああッそれねぇー、そこの病院というと狸爺のところか?」

一太郎「あっ、あの年配の先生のこと!」

「まあ、それ。多分熱心に看護してくれると思うなぁー・・・」

狸爺は、女の股間の陰相学にこっているから、綺麗な優子さんの陰相を眺めながら人生の喜びを感じているだろう。

そもそも顔立ちと陰とは全く関係性がないところが、興味津々らしいということはわかるが・・・・。どこか生物的な世界だよな。

といって出産は病気じゃないから、まあ医者はそばにいるだけなんだけど。それでも狸爺は、産むまでは帰らないというのが、みあげた医者根性と世間は評価してくれるが、美人の陰相だからねぇー、関心の持ち方がちがうよなぁー。まあ、その話はおいといて・・・・。

一太郎「ママが夕方やってきて、みているから、時間をもてあましてさ」

「今日は翠も夜勤だからいるよ。ベテラン揃いか、つまりこんな時に男は何もすることないよ。こいうい時間ってすごく暇でしょう?」

一太郎「それをいったら人生の一大事に、暇とはなんですか・・、とママに言われたけどやっぱ暇」

「そのカルトンはデザインスケッチが入っているな?。披露してちょうよ!」

一太郎「目下次のクルマのデザインを考えているところ。デザイン部署じゃないからCADはないけど、スケッチなら簡単に描けるので・・・」

・・・

ほどよい気候で、屋外のカフェスタントで出産を控えた奥さんの亭主とアチキがクルマのデザインスケッチを眺めている。狸爺は陰相にこだわり、うちらはクルマのデザインにこだわっている。どちらもオブジェクトだけど、女と機械の違いぐらいはあるか・・・。

こんなとき、男ってほんまに手持ち無沙汰というやつだろう。

ほどよい気候の夜になってきた。生まれるのは朝だろうか・・・・。

・・・

小樽の薄暮の街の灯りが眩しい。

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ドローイング512. 小説:小樽の翆440. パパリンセット

2021年10月05日 | Sensual novel

 

 花園の画材屋を物色していると、明菜姉ちゃんがやってきた。

いつも定例の時刻に現れるな。

明菜「今日はパフェじゃないの。これ届けるの!」

「なんだね、その紙包みは?」

明菜「これ届けるの!、パパリンセット!」

「パパがどうかしたって!」

明菜「今日は、パパの誕生日なの。それでぇー、スカーフのプレゼントなの。これからパパの小学校の準備室においてくるの。アチキもこない」

「うん、いいよ」

明菜「パパは今日は研修で夕方にならないと学校に戻らないの。その間に机においておこうというわけ」

「ふぅーーん、」

そういって明菜姉ちゃんは、パパに届け物ですぅーといって警備室を通過し校舎にはいっていった。

・・・

「ここがぁ、君たちやマサヒロ君が育った小学校かぁー」

校舎はいかにも使い切ってきたという空気が漂い、パパの美術準備室も主の色に部屋が染まっているようで、どこか居心地のよさそうな空間だ。

明菜「さあプレゼントはデスクにおいた。早くずらかろう」

「うちで渡せるのにー、不思議な行動ですねぇー」

明菜「だって今日は夜まで公募展の搬入があるから、家に帰るのは夜遅くなの。それじゃ後出しじゃんけんみたいで盛り上がりに欠けるじゃん」

「ということは、みんなプレゼントを用意しているんだ?」

明菜「そうよ、玲香姉ちゃんはジャケスラでしょう。一太郎兄ちゃんはスニーカー。美希姉ちゃんがシャツ、東京にいる小太郎兄ちゃんはユニクロのベルトを送ってきたの。翼はダイビングの小さなポーチでしょう、でっ、心春はハンカチだって」

「一応お出かけセットじゃん」

明菜「パパの洋服からこっそり寸法をとったの。一番要領がいい美希姉ちゃんが全部寸法を調べたの。それで美希姉ちゃんと札幌のユニクロにいって、みんなで相談してコーデしたの。だからパパが全部身につけるとバッチリ決まるはずぅー。パパリンセットの完成ですぅー」

「まあ7人のおこたちの素晴らしいプレゼントじゃん・・、パパは感激して泣きそう(*^▽^*)」

明菜「なかないわ。苦笑いよ。毎年こんなことをしているの」

そういって明菜姉ちゃんは、公募展の搬入の準備のために高校へ戻っていった。

すがすがしい一時だった。

・・・

小樽も秋の真っ赤な夕焼けが広がってきた。

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ドローイング511. 小説:小樽の翆439. 今日はチーピンの娘さんがモデルなんだ

2021年10月04日 | Sensual novel

 

 翠の実家のパパのアトリエでは、今日はクロッキー教室の日だ。

まあ、つきあいだし、昔勉強したデッサンを忘れないためにも、ユ・キ・マ・ス・カ・・・。

でっ、今日はチーピンの娘さんがモデルなんだ。

綺麗なボディじゃん・・・。

・・・

「マサヒロ君、口説きましたねぇー!」

マサヒロ「うん、娘さんが調理場にいるときに出かけ、ラーメンすすりながらバイトしませんか?。

でっ、2時間で指1本立てて・・・」

そしたら「キャバクラですかぁー」というから、絵のモデルさんですぅーといったら興味を示して。

「まさか裸婦じゃないよね」というからそのまさかですぅー、といったらしばらく考えて・・・、

みんな絵の描ける人たちばかりですぅー・・といったら、OKもらって、パパには内緒だって!」

「やったね。女って一番綺麗な時に自分のボディをみせたいとか、記録させたいという願望があるんじゃないかなぁー。ここにいる人たちはみんな技量をもっているから、しっかり記録されるだろうな」

マサヒロ「やっぱ、そんな願望があるんじゃないかなと思ったので、そこをついたわけ。だってモデルさんが登場したら、みんなオオッ!、と小さなどよめきが上がったもん。それでモデルさんは自身をもって、やってたよん」

クロッキー教室も別に技量で参加者を仕分けているわけではない。

だからまれにデッサンの経験がない人たちが来たりもする。

そしていくら描いても周りの人たちのように、描けないことに気がつく。

自分は、なにか勘違いしているのではないか。

そう貴方は勘違いしているのです!、と誰も指摘しない。

だから、しばらくすると消えてゆく。

美の世界って結構厳しいんだ(*^▽^*)。

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ドローイング510. 小説:小樽の翆438. 簡単な話なのだ

2021年10月03日 | Sensual novel

 

 さて森の次は海か。

小樽は山が海岸に近いのでどちらもモチーフにすることができる。

そんなわけでチクコウのカフェに陣取り、眼前に広がる港の風景。

いろんなヨットが出入りしているので、よりどりみどりで描けるという便利な場所だ。

描き上がる頃には夕方だ。

身元で「どこの風景を描いてるんだぁー?」

常連の美希姉ちゃんの声が聞こえる。

やはりやってきたか。

美希「最近ここから描くなんて珍しいじゃん」

「そうだったかぁー。慌てて夏の終わりを描き止めている。ところで、どうおよ、撮影のバイトは?」

美希「前にうちの高校生達の妊娠が盛んだっていったでしょう。

つまりアタシと一発やってくださいというわけよ。

だから私も、私もで妊娠して、それで思い出に撮ってぇーというのが多いワケ。

同級生達だからお金取れないじゃん、毎日ボランティアだよーーーん。

でね、なかには同時にやっちゃったから、どっちの種だかわかんないという女子がいるのよ。

それも優秀な男子とスポーツ系のアホな男子よ」

「生まれてくればわかるんじゃないかなぁー!」

美希「生まれてから、アホだったら、最悪ーーじゃん」

「ハハハッ、その時はあきらめるんだなぁー、いいじゃんスポーツ選手にしたら名前があがるかもよ」

美希「まあ20年後だからいいかぁーー、そういう女子もいるんだ・・・。

あたしに相談されても疲れるぅー(*^▽^*)」

直人君がやってきた。

「ビッグマックかなぁー?」

直人「はい、ごちになりますぅー・・・、ああ!、その話ですか・・・。

妊娠した女の子同士で仲が良いみたいですよ。

それで情報交換しながら、結構一緒にいることが多いんですよ」

「そりゃ子供が生まれたら、お母さん同士じゃん。

そのまま続くんだよ。仲の良いお友達同士が、多分一生ね」

直人「こんなのもいるんですよ。

『○○君、大学に行ったらちゃんと小樽に帰ってくるんだヨーーん。その間、ママ達と育てておくからねぇー』という縛りつけタイプとか、

子供産んだら大学へゆこうという進学タイプとか、

そうだ、美希姉ちゃんとこの玲香姉ちゃんみたいに看護師を目指すナースタイプ、

種をもらった男子は捨てて次を捜そうという割り切りタイプとか・・・。

だって今の男子は人がいいから子供がいても、惚れさせたらなんでもいうことを聞くからだって。

それで高校の進路指導の先生なんか、『どうすりゃいいのさ。そんな進路相談はしたことがない!!』といって、大学案内を転がしながら悩んでいるよ」

「つまり健全な高校生活ですねぇー、案外高校生のうちに子供をつくっちゃうと、将来仕事と家庭のどっちを選ぶかで悩む必要がないもんね。

それに孫の顔を見たがっている親たちへの最大の親孝行だ」

(*^▽^*)

美希「そうよ、それが男女共同参加型社会じゃないのぉー」

「そりゃ、そうだ。高校に母乳をあげる育児室でもつくるんですかねぇー」

美希「保健室を育児室にすればいいんだ。簡単じゃん」

たしかに男と女の関係は、社会の上位概念である生物のカテゴリーにおいては簡単な話なのだ。

空が茜色に染まってきた。

・・・

3人でナンタルの坂道を登りながら、背後に薄暮の街が広がっている。

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ドローイング509. 小説:小樽の翆437. 鼻血!

2021年10月02日 | Sensual novel

 

 まだ日差しが強いので近場の公園で樹木でも描いて・・、なんだ昨日と一緒か。

これから秋だというのに晩秋の光景を探したり、あるいは夏の空気の表現にしたりと、絵を描く立場も意識は複雑なんだ。というか今の姿に物足らず、今を描かない天邪鬼さがある。いやそうではなく、今の風景のなかに晩秋の気配も漂っていて、自然はいち早く冬を意識しているんだと言い張りたい。

帰り道に地獄坂に腰掛けて一服していると、小春が手をふってやってくる。

「今日もユウ君ちかな?」

小春「そうよ、だってユウ君は精子を抜かないと授業中に、突然ウウッ!、とうめいて鼻血を出すのよ。それで今日もゆう君は鼻血をだして、みんなが、あっ、まただ!、といって保健室へ連れていったの。だから小春がセックスして抜いてあげないとねぇー、ユウ君は鼻血ブーーーだもんね。お勉強はトップなんだけど、精力は頭だけじぉなくて体全体を駆け回っているみたいなの。成績優秀でも、どこか欠点があるわけね」

「まあ、それが幸せ印みたいなものでしょう。せっせと抜いてあげるしかないですね」

小春「でしよう!。それでなますをつくったの。これからユウ君ちにいってヴァインミーをつくってあげるんだ。ほらこれよ!」

そういってタッパウェアにはいっているなますをみせてくれた。

小春「パクチーもあるし、生ハムもある、これがバゲットね・・・」

「そうかぁー、レバーペーストだけがなかったな。バターで代用かな?」

小春「これだけあれば、十分だよ。それに赤唐辛子もあるから・・・」

「赤唐辛子!、なんか鼻血ブーを促進するかなぁー」

小春「じゃあ刻んで種をとって混ぜようかな」

パクチーの香りがほのかにただよい、心春の鞄の中にハノイの空気がひろがる。

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