午後、岡山大学大学院の房安功太郎くんという院生が、あやべ福祉フロンティアの活動のことを勉強させてほしいとわざわざ出向いてくれた。
時々、こういう研究者の方に目をつけてもらえるのだが、岡山大学では真庭市と包括協定を結んで、山村の研究フィールドとして連携しているとのことだった。
真庭市長は、太田昇前京都府副知事がこの春から務めておられることもあり、親近感があるのだが、たまたま昨日、別の真庭市出身の方と話していて、房安くんの研究フィールドがその方のまさに出身地の真庭市の富原地区だと聞いて、その偶然に驚いた。
過疎対策について、いろいろと意見交換をして、ぜひ、山村振興のために頑張ってほしいとお願いした。
たまたま今日、手元に「平成25年度高齢者生きがい活動促進事業に係る国庫補助協議書の提出について」という書類が届いた。
内容的には、まさにあやべ福祉フロンティアが進めている高齢者の移送サービス事業や清山荘での生きがいづくり、高齢者の見守り事業などをこれから立ち上げようとするNPO法人などへの支援のために、国が市町村に対して、1都道府県あたり100万円の補助金を出すというもので、パソコンやデスクの購入費、事務所借り上げの手数料、礼金などに使えるというもの。ただし、1年限りの事業だ。
都道府県ごとに100万円ということは、総額4700万円の事業費。国にしてみれば、4700万円くらいは少額で、たいしたことはないのかもしれないが、こういう意味のない無駄遣いで「取り組んでます」という顔をされると、やっている側からすると腹が立つ。
今から、移送サービスを立ち上げようと思うと、厚労省ではなく、国交省と話をしなくてはならない。道路運送法の改正によって、見た目はきれいになったかもしれないが、利益優先ではなくて、過疎地での助け合い事業として活動を立ち上げようとする団体にはハードルが高くなった。
厚労省はその部分を国交省に押し付けておいて、今ごろ、パソコンや事務所借り入れの初期費用だけ出したので、4700万円の投資に値する効果が望めるのか?
厚労省は7月5日にこの文書を出して、府の担当者に届いたのが7月12日、綾部市にはその日のうちに下りてきたが、フロンティアには7月22日にFAXされてきて、僕の手元には今日7月25日に届いた。市への提出〆切は7月25日必着。国への〆切は7月31日必着だった。
「だいたい、そんなスケジュールですよ」と言われるので、「何がそんなスケジュールや。今日受け取って、今日出せ、それが当たり前とは、俺ら地方の人間は国の奴隷やないんやぞ」と厚労省の担当者に怒った。
高齢者の生きがい活動促進事業の必要性は、府議会でも何度となく話題にしているし、フロンティアの活動を始めてからの15年、ずっと訴えている問題だ。
これからの超高齢化社会を幸せに乗り切るために大切な事業をなぜそんなに慌てて、付け焼刃のような案を出させて、都道府県にたった100万円の1年限りの補助金でやろうと国はしているのか?
今必要なのはバラマキではなく、補助金を集中して、成功事例を創り出すことだ、と国の役人は地方の人間には言うのに、自分ではそうしていない。
だから、そういう発言は地方民には“言い訳”としてしか理解されていない。
夕方、厚労省に電話を入れて、「一度、しっかりと現場を見に来てほしい」と要請した。「何なら、交通費をこっちで持ってもいいから来てほしい。良いことを考えようとしていることはよく分かるが、現場からするとズレている。国の中枢で施策を考える人には、ぜひそういうことを理解した上で施策を考えてほしい」と話をした。
これで何も見に来ずに、無駄遣いを進めるのならば、徹底してそういうものと闘っていかなければならないと感じている。
「官僚がいい加減なことをしているのに、結局はマスコミには『安倍総理が悪い。自民党が悪い』と言われるんや。こっちが末端でどれだけ苦労して選挙をしとると思とんや。何もやらんと足だけ引っ張るようなことするな」とも怒った。
今回の補助金の「筋が悪い」ことは厚労省内部でも話が出ていたそうだ。それならば余計に、そういう「机上の空論」による無駄遣いのために、消費税を増税すると言われても、すんなりとは認められない。
抗議の電話をしていたので少し遅れてしまって、フロンティア中上林支部の交流会に急いで駆けつけた。
中上林の皆さんにもお話したら、「ぜひ、上林にも来てもらって、現実を見てほしい。手ぐすね引いて待ってます」と憤っておられた。
若い研究者が遠方から現場に学びに来ているのに比べて、国の官僚は何をやっているのか。同じ日の出来事だったので、余計に腹が立った。