始発停まで回送で行って、そこから人を乗せて走り出す… その始発停が営業所の近くであればいいのだが、ちょっと距離がある(例えばA停までは約20分)となると、「道中で何か(渋滞など)あったら発車時刻に遅れてしまう」と思って、早めに行きたくなるのが人情というものだろう。
その始発停(A停)の近くには転回場も休憩室もあるので、早めに行って転回場で待機していても良さそうに思うのだが… 本来は入るべきではないバスが入ることによって転回場を“満車”にしてはいけないし、転回場内での接触事故をなくすためにも、なるべく“余分なバス”は入らない方がいいだろう… ということで、先日、運行カードに書いてある“営業所を出る時間”よりも5分だけ早く出た。
すると、途中までスイスイで「これは早過ぎるかなぁ…」と思っていたら、ある交差点の信号待ちの列が長かったので「よしよし… これでちょうど良いかもしれない」と思っていたら、交差点の左から来たバスが左折した… つまり、私の行き先の前方に入ったのである。そこで運行カードを見たら、私のバスのA停の発車時刻“01分”の横に、小さく“53”と書いてあることに気が付いた。
そう… そのバスは、その交差点からA停まで私の回送バスと同じ道を行き、A停を53分に発車(または通過)して、さらにその先も走り続ける巡回バスだったのだ。私は「このまま追走して行けば順番通りだから問題な… ん? 既に51分!? ということは、この巡回バスは5分以上遅れているのかぁ…」と思った。
それからバス停を1つ進み2つ進み… 徐々に迫り来る私のバスの発車時刻… 私は少し焦り始めていた。前を行く巡回バスは既に実車で走っているので、この先どんなに遅れても言い訳ができるけれど、私のバスはA停が始発停なので、言い訳ができない… そう思ってしまったのである。
そこで私は「この先の交差点を左折すると片側二車線になるから、とりあえず前のバスを追い越して… A停の手前まで先に行って、そこで路上待機しよう」と思っていた。さて、その交差点にやってきて… 前のバスがを左折する前に一旦停止… 私はすぐ後ろにピッタリとくっついて… 歩行者用信号が青点滅を開始… 私は「ここで遅れるわけにはいかない!」と、巡回バスに続いて左折しようとしたのだが…
私の目の前にあったバスという大きな障害物が消えた瞬間、私の目に飛び込んできたのは… “向こうから来て右折しようとしている路線バス”だったのだ! 私は反射的にブレーキを踏んで譲ろうとして… しかし、そのバスがすぐに動かなかった(バスがすぐに動けないのは、オマエも分かっているだろうに!)ので、「先に行っていいのかな? こっちは時間もギリギリだし…」と思って行こうとしたのと同時に向こうのバスも動き… 私は再び慌ててブレーキを踏んで、「どうぞどうぞ、お先に!」とバタバタと手で合図した。
そこから私は前を行く2台のバスの動きと時計を見ながら走り… 2台のバスがバス停で止まるのと、その先の信号のタイミングを見て、邪魔にならないように追い越して… 予定通り、A停の手前で路上待機した。発車時刻まで3~4分… しばらくして後方から2台のバスがやって来て、私のバスの横を通り過ぎ… 私は再び2台の後ろを追走… A停では1台目の巡回バスが乗降扱いをし、2台目のバス(A停が終点)が降車扱いをし、3枚目の私… 否、3台目の私が発車時刻ピッタリに乗車扱いをして発車した… ふぅ~、めでたしめでたし…