バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

目を合わせたら負けると思って…

2013年07月28日 23時36分41秒 | バス運転士

某駅を出発して、最初のバス停を通過して… 突き当たりのようで突き当たりでない交差点の信号が赤に変わったので、私は先頭で止まることになった。しばらくして、交差点の左角の建物の陰から母子が現れて、歩道上で立ち止まった。

私は「そのままバスの前を横断するならば青信号なんだけど… 道路の向こう側へ渡りたいのかな?」と思ったのだが、お母さんが道に迷っているような… 愛を求めているような…(なんじゃそりゃ!?) そんな表情に見えたので、私は「ここで“乗せて!”なんて言われたら困る… けど、目を合わせたら負けそうな気がする」と思って、バスの前方やや右寄りの方向をジィ~ッと見ていた。

そろそろ信号が青に変わりそう… と、その時! バスの左側のすぐ近くから「バイバーイ!」という元気な声が聞こえたのである。反射的に視線を移すと、歩道に立っている男の子が手を降っていた… 私はすぐに左手を振りながら、バスを発進させた。

そして、左折をする時にお母さんを見たら、私に向かって頭を下げていた… さらに“助手席のお婆さん”も、男の子に向かって手を振っていた… う~む… お母さんの最初の表情は何だったのだろうか? 「この運転士は、いい歳こいて独身だし…(なんでそんなこと分かるんだよ!) そんなオッサンが子供に向かって手を降ってくれるなんて有り得ないだろうなぁ…」という表情だったに違いない。

それにしても、私が男の子に気が付くまで… 「バイバーイ!」と言われるまで… 男の子はずっと手を振ってくれていたのだろうか? もしも、そうだとしたら申し訳ないことをしたなぁ~ オッサンのつまらん想像で無視する形になってしまって… まぁ、でも… 最後はお互いに笑顔でバイバイできたから良しとしよう。なぜか、お婆さんも手を振っていたし… ん? まさか… お婆さんのお孫さんだったりして!? そうすると… 私が部外者だったのか!? ハハハ… 恥ずかしい…