夜8時過ぎ、乗客10名くらいで走っていた。すると「ピィー!」と降車ブザーが鳴ったので、私は「はい、次とまります」と言った。そして、バス停が近くなってきて、いつものように「ご乗車ありがとう~」と案内を…
しようと思ったけれど、言葉に詰まってしまった。なぜならば“降車ランプが点いていなかった”からである。私は「アララ… なんでなんでなんで? さっきの音は何だったんだ!? どぉするどぉするどぉする? 誰も降車ボタンを押していないのか!?」とプチパニック…
これまでにも“降車ブザーも鳴らず、私も何も答えず… それなのに、バス停で止まって扉を開けたこと”は何度かあったけれど、今回は降車ブザーが鳴っていないのに「とまります」と言ってしまったので… 降車ボタンを押そうと思っていた人が、私の言葉を信じて“バスが止まって降車扉が開くのを待っている”かもしれないと思った。
だから、私は私を納得させるため“降車ランプを見なかった”ことにして、「ご乗車~ ○○停~ お忘れ物~」と言いながらバス停で止まって扉を開けた。しかし、やはり誰も降りることはなく… 「この運転士、大丈夫? 幻聴でも聞こえているんじゃないのか!?」なんて思われていたりして…
それにしても、あれは… 何かの警告音だったのか? いや、その後は警告音のような異音も聞こえることなく、バスは最後まで異常なく走っていたし… えっ!? 私の頭の中で警告音が鳴ったんじゃないかって??? そうか、私のボケ脳が何かのウイルスに感染したのかも… ナニナニ!? 妙な薬でも飲んでいて、頭が変になってるんじゃないかって??? いやいや、薬がなくても変だから…
昨日も書いたように、ボケな私はバスを動かしているだけで一杯一杯である。だから「今は“前方の障害物を察知して自動的に止まる車”が出てくる時代なんだから… その機能をバスにも付けてくれないかなぁ~!」なんて思ったりする。しかし、バスが「キュッ」と止まった瞬間に、座席から立ち上がったお年寄りが「バタッ」と倒れちゃうんだろうなぁ…(そりゃダメじゃん!)
それならば、お年寄りが倒れても安全な内装にすればいいのだ! 子供の遊具にあるフワフワ何とかみたいにして「車内で跳ねても転んでも大丈夫!」なんて… でも、中には“ついついハシャギ過ぎて、自分で自分の手を踏んで骨折!”なんてお年寄りもいるんだろうなぁ… あ、私自身がそんなお年寄りになったりして…(あるある!)
やはり、車内で倒れないようにするしかないのか… ならば、乗車時に“手にN極、足にS極”の超強力磁石を装着してもらい、車内の“天井をS極、床をN極”の超強力磁石にしておけば… 足は床にしっかりと固定され、手は天井に引っ張られ、倒れたくても倒れられない… そして吊り革のようなムチで…(こらこら! 特別な“大人の遊戯”じゃないんだから…)
う~む… そうだ! お年寄りが「座席から立ち上がりたくない」と思うような工夫をすればいいのだ! 例えば“全座席をマッサージチェアにする”とか… そうすれば、お年寄りはバスが止まるまで(扉が開くまで)席を立たずに安心である。あ、まさか… みんな終点まで乗り過ごしちゃったりして!? それどころか“フリーパス”で朝から晩までバスを乗り継いでいたりして??? ハハハ…
ある運転士に「久しぶりだね」と声を掛けたら、「松井さんにシカトされてるかと思った。(バスで何度も)すれ違ってるのに、まったくこっちを見ないもんで…」と言われてしまった。
もちろん“シカト”なんてするつもりのない私は「ごめん、まったく気付いてないわ。というか、今はそんな余裕がなくて… (縁石などに擦らないように)バス停に着ける時でも、バス停しか見てないもん。まぁ、私が信号待ちで止まっとる時だったら、顔を見せられるけどね(挙手禁止なので…)」と答えた。
会社が決めるルールには、つい首を傾げたくなるものが多々あるけれど…(おいおい!) 個人的には“挙手禁止”は有り難かった。なぜならば、前述のように“すれ違うみんなに挙手をする余裕がほとんどない”からである。
正確には“余裕がなくなった”と言うべきか… 3年くらい前まで勤務していた“完全弊社”の営業所では、不器用な私が挙手できるくらいの路線(道路)ばかりだったのに、“半弊社”の営業所では… 一部の道路を除いて「もぉ~無理!」となってしまったのである。
しかしまぁ、みんな凄いよねぇ… 車内をウロウロフラフラする人に目を光らせながら、障害物にぶつからないように大きなバスを動かし続け、すれ違うバスの運転士が誰なのか見ているなんて… 不器用でボケな私には無理… そんな私に見えるのは、バスの前を走る“自転車レディー”のお尻くらいか…(このスケベ運転士!)
朝、営業所からあちらこちらの始発地点へ回送で出て行ったり… 夜、あちらこちらの終着地点から営業所へ回送で帰って来たり… それらの回送ルートは様々で、ウチの営業路線ではない道路を走る場合もあれば、最初から最後までウチの営業路線と同じ道路を走る場合もある。
そこで、ボケな私にとって問題なのは… 昼夜を問わず、営業路線としても回送ルートとしても走る機会が多い道路で… 一瞬、自分が“営業中”なのか回送中なのか忘れてしまうことがあるのだ。回送中に「営業中だったっけ!?」と思うのはいいけれど…
逆に、営業中なのに「回送だぁ~! 一曲、歌っちゃおうかなぁ~」なんて思うのはマズイのである。人の乗り降りが頻繁にあれば、そんなことはないのだが… 人の乗り降りがほとんどない路線もあるので、その場合はバス停通過、バス停通過、バス停zzz…(おいこら、起きろ!)
さすがに熟睡することはないけれど(当たり前じゃ!)、バス停通過の瞬間に「ウゲッ!」と“目覚める”ことがある。バス停の位置を体が覚えているのか、視界の左端にバス停が飛び込んでくるからなのか… ホント、“通過の瞬間”に我に返るのだ。
その時は、反射的に乗客の有無を確認すると同時に、ブレーキをちょっとだけ踏んで減速しながら周囲も確認する。まぁ、幸いなことに、それで「乗客がいた!」ということはないけれど… えっ!? オマエが確認したのはバス停じゃなくて“消火栓の標識”じゃないかって? ハハ… そんなアホな… でも、ありそう…(こらこら!)
あるバス停で乗った若い女性が「一日券ください」と言いながら千円札を出した。私は「はい、ありがとうございます」と答えながら一日券と釣り銭を取り出し、彼女に手渡した。
すると彼女は「お手数お掛けして申し訳ございません」と言ったのである。バスは定時だったし、私が慌てたように応対したわけでもないのに… そんなご丁寧に… 惚れてまうやろ~! なんちゃって…
あるバス停に定時で接近中… 歩道を歩いているお婆さんがいた。私は、その雰囲気から「多分、乗客ではないだろう… が、万が一ってこともあるから…」と思って「○○停、止まります」と言いながらバスを止めて前扉を開けた。
ほぼ同時に、お婆さんはバス停の横を素通り… 私が「予想通り…」と思った次の瞬間、お婆さんが私の方を見て「乗らなくてすいません、止まってくれてありがとう」と言うように頭を下げたのである。
いや、これは予想外… 私の方こそ、お婆さんに余計な気を使わせてしまって… ご丁寧に頭まで下げてもらって… 惚れてまうやろ~! もしも30~40年前に出会っていたら… あ、私が子供か…