現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

東福寺さんですか

2007-08-29 15:22:45 | 虚無僧日記
さすが京都だ、3人の人から「東福寺さんですか」と聞かれた。
地方を廻っていると、名古屋でも「どちらからですか」と聞かれる
が、京都の人は、東福寺が虚無僧と関係あることを知っているのだ。

最初の人は、清水寺の門前で観光客の記念写真を撮っている写真屋
さん。「東福寺さんですか。お寺さんなら許可いただけるでしょう
から、きちんと許可いただいてきた方がいいですよ」と、親切に忠告
してくれた。一般には「東福寺は虚無僧の本山」という認識がある
ようだが、東福寺は臨済宗のレッキとした禅寺であって虚無僧寺では
ない。清水寺の寺務所では案の定「不許可」だった。

二度目は、ご婦人の方。「本物ですか?。東福寺で、趣味の会の人が
集まって、尺八吹いてるの見たことある」と。ドキッ、正解である。
たぶん一昨年の第100回記念大会のニュースでもご覧になったのだろう。

三度目は、産寧坂の下で休んでいるとき。品のいい紳士が「おや珍しい、
虚無僧?、東福寺ですよね。昔はよく見たけれどね」と。虚無僧が
一番横行したのは戦後昭和20年代から30年にかけてかと思われる。
丁度、普化正宗が法人登記された頃だ。戦前は刑法で禁止されていた
のだから。

明暗寺は江戸時代妙法院の敷地内にあったが、明治になって
虚無僧の普化宗は廃止とされたため、最後の看主明暗昨非は、
本尊の「虚竹禅師の像」他の什物を、親交のあった東福寺の
善慧院に預けて出奔してしまった。明治の中ごろ、東福寺が
焼けたため、その再建費用を集める名目で、虚無僧尺八愛好
家らによって「明暗教会」が、善慧院内に設立された。
戦後になって、「普化正宗」として宗教法人登録され、善慧院で
「明暗教会会員証」と「行化証」を発行していただいている。

といういきさつで、東福寺内の善慧院に間借りして明暗寺が
あるが、善慧院に虚無僧が常駐しているわけではない。
虚無僧尺八愛好家が心のよりどころとして、年一回善慧院に
集い、朝から虚竹禅師像の前で、献奏を行っている。一昨年は
第100回なので、特別東福寺内で「全国献奏大会」が行われた。

抹茶アイスと飴玉

2007-08-29 14:13:24 | 虚無僧日記
産寧坂の下で、休息している時、抹茶アイスとやら
400円もするものを買い求めた。抹茶を冷やしてペット
ボトルに入れたもの。「甘味料を使ってません」の表示に
「まずい、しまった」である。ただ苦くて粉っぽいだけ。

先ほど清水坂で、若い父親が、偈箱に飴玉を入れたのを
思い出した。普通なら「ふざけてか?」とムッとする
ところでるが、冷静に状況を見ると、この飴玉は、
連れていた小さい子供の志だったのだ。

そして、この苦い抹茶を飲み干すには、飴玉があって本当に
よかった。飴を口に含みながら、やっと飲み干すことができた
のだ。何事も受け容れることの大切さを学んだ。そして苦い
抹茶と飴玉のおかげで元気も出た。






再度清水寺へ

2007-08-29 11:01:44 | 虚無僧日記
また阪急で五条に行き、清水寺へ。暑いが日一日、少しずつ
秋の気配、昨日よりは涼しい。

京都に限らず、ホームレス対策か、最近は、腰を下ろす休息
場所(ベンチ)が公園にも駅にも無い。幸い阪急のホームには
あった。そこが唯一休める場所だ。

昼過ぎやっと清水寺の門前に辿りついた。托鉢の尼さんがいた。
迷惑にならないように、5、60メートルほど離れて、静かに
尺八を吹いたつもりだが、すぐやってきて
「私たちは許可を取ってやっているんです、音を出すことは
禁止です、やめてください!」とすごい剣幕。

それでは、話のタネにと、寺務所に行って尋ねてみた。
「虚無僧はいけませんか?」と。言下に「ダメです」。
「以前、虚無僧研究会の会員が、本堂で許可をいただいて献笛して
いる写真を見ましたが・・・」「ダメです」

やっぱしね。禅寺は歌舞音曲とは本来無縁なのだ。一休は好んで
十字の街頭で尺八を吹いた。それは反骨、破戒の所業なのだ。

ダメだろうと覚悟はしていたので、素直に坂を下りて、土産物店
を一軒一軒門付けした。昨日の今日である。「また来た」と
渋い顔をする人もいれば、「しょうがないか」と布施を出される方、
丁寧に100玉3個を紙に包んで、差し出される店。5、6軒は入れて
くれた。また、昨日の場所、産寧坂に折れる辻で尺八を吹く。
産寧坂の途中には偽物臭い托鉢僧が、こそっと立っている。堂々と
していないところが怪しい。

やはり姿かたちは大事だ、と思いつつ、自分も自信はない。
外国人観光客のカメラの放列を浴びる。見世物に成り下がったか。
これも銭のためじゃ。

いつまでもピーピー吹いていては、周囲のお店に迷惑だろうからと、
また、産寧坂から高台寺の方に足を向けた。
坂の下で路地に入って道端で休息、

  虚無僧も天蓋とる蝉の声 (一路の迷作)

蝉の声は暑さで弱々しい鳴き声を想像してもらいたい。


路地で舞妓さんの姿をした二人がカメラマンを連れて、写真撮影
していた。目ざとく見つけた観光客が「あっ舞妓さんだ、あれあれ
見て」「偽物だよ、あぁやって格好して歩いているんだ」と口々に。
この暑いのに、よくまぁである。
そういえば、昨日、本物の舞妓さんを四条で見た。お使いに行くのか
これからご出勤か、普通の着物だったが、髪型と化粧で本物の舞妓と
わかる。貸衣装のにわか舞妓とはやはり品格がちがう。このかもし出す
雰囲気はなんなのだろう。