伊勢神宮と鳥羽との間に朝熊山がある。「あさまやま」
と読む。海抜555m。山頂近くに金剛證寺がある。
私は13年前、鳥羽から定期便バスでここに登った。乗客は
私一人。山頂の展望台でバスを降りる時、バスの運転手
さんは、「少しの間なら待っていますよ」と親切に言って
くれた。次の便が来るまで2時間もあるからだ。その親切
を断って、それから丸一昼夜、この山中を徘徊した。
そして、導き招かれるように経ケ峰の納経跡に辿りついた。
平安時代に経典を筒や壺に入れて埋め、五輪の塔や無縫塔
を立てた所だ。そしてまた、白装束に太い蝋燭を持って、
一晩中山を駆け巡る修験者の姿にも遭遇した。幹が大きく
捻じ曲がり、円を描いている不思議な松の木も見た。
ここは平安時代の昔から山岳信仰の聖地だったのだ。
以来私は毎年ここを訪れ、山頂付近にある八大龍王の
社に詣でることとしている。明暗寺の開祖虚竹禅師が、
この朝熊山に参籠して、霧の中から妙音を聞き、「虚空」
と「霧海箎」の二曲を創ったという伝説の地だ。いかにも
虚竹の伝説にふさわしい場所なのだ。
と読む。海抜555m。山頂近くに金剛證寺がある。
私は13年前、鳥羽から定期便バスでここに登った。乗客は
私一人。山頂の展望台でバスを降りる時、バスの運転手
さんは、「少しの間なら待っていますよ」と親切に言って
くれた。次の便が来るまで2時間もあるからだ。その親切
を断って、それから丸一昼夜、この山中を徘徊した。
そして、導き招かれるように経ケ峰の納経跡に辿りついた。
平安時代に経典を筒や壺に入れて埋め、五輪の塔や無縫塔
を立てた所だ。そしてまた、白装束に太い蝋燭を持って、
一晩中山を駆け巡る修験者の姿にも遭遇した。幹が大きく
捻じ曲がり、円を描いている不思議な松の木も見た。
ここは平安時代の昔から山岳信仰の聖地だったのだ。
以来私は毎年ここを訪れ、山頂付近にある八大龍王の
社に詣でることとしている。明暗寺の開祖虚竹禅師が、
この朝熊山に参籠して、霧の中から妙音を聞き、「虚空」
と「霧海箎」の二曲を創ったという伝説の地だ。いかにも
虚竹の伝説にふさわしい場所なのだ。