『失楽園』より以前、私が、「渡辺淳一」の作品に
初めて触れたのは『阿寒に果つ』(1973)でした。
これは、渡辺淳一氏が若い時に 恋焦がれていた
一人の女性「純子」の話。「渡辺淳一記念館」には
「純子」の赤いコートが展示されているから、実在の
女性だった。
「純子」は 天才少女画家とさわがれながら、阿寒湖で
自殺して果てた。純子の死から20年経って、作家と
なった「私(渡辺淳一)」が、純子と関係のあった
五人の男性を訪ね、純子の死の直前の様子を聞きだす。
男たちはみな、“自分こそが、純子に愛されていた”と
思っていた。ところが、純子の不可解な行動からは、
純子は誰も愛してはいなかったのではないか。純子は
何を求めていたのか、なぜ自殺したのか。全く不可解。
あるいは「死ぬつもりはなく、雪の中で凍死した事故
だったのでは」と、解けぬ謎のまま終わる。
無感情で、心の内を見せず、男たちを翻弄させた純子。
実は、私も当時「純子」という女性に惚れていた。
彼女は 別の男性からもプロポーズされていた。
「女の私が、殿方のどちらかを選ぶようなことは
できませんわ。殿方の心を傷つけないためには、
死ぬしかございませんね」という言葉を残して
私から去っていった。私は彼女は、ほんとうに
死ぬ気だと思った。その後の彼女の消息は全く不明。
そんな私の体験と『阿寒に果つ』はダブって、衝撃を
受けたのでした。
初めて触れたのは『阿寒に果つ』(1973)でした。
これは、渡辺淳一氏が若い時に 恋焦がれていた
一人の女性「純子」の話。「渡辺淳一記念館」には
「純子」の赤いコートが展示されているから、実在の
女性だった。
「純子」は 天才少女画家とさわがれながら、阿寒湖で
自殺して果てた。純子の死から20年経って、作家と
なった「私(渡辺淳一)」が、純子と関係のあった
五人の男性を訪ね、純子の死の直前の様子を聞きだす。
男たちはみな、“自分こそが、純子に愛されていた”と
思っていた。ところが、純子の不可解な行動からは、
純子は誰も愛してはいなかったのではないか。純子は
何を求めていたのか、なぜ自殺したのか。全く不可解。
あるいは「死ぬつもりはなく、雪の中で凍死した事故
だったのでは」と、解けぬ謎のまま終わる。
無感情で、心の内を見せず、男たちを翻弄させた純子。
実は、私も当時「純子」という女性に惚れていた。
彼女は 別の男性からもプロポーズされていた。
「女の私が、殿方のどちらかを選ぶようなことは
できませんわ。殿方の心を傷つけないためには、
死ぬしかございませんね」という言葉を残して
私から去っていった。私は彼女は、ほんとうに
死ぬ気だと思った。その後の彼女の消息は全く不明。
そんな私の体験と『阿寒に果つ』はダブって、衝撃を
受けたのでした。