私のことをいろいろ気遣って、忠告してくれるSさん。
いつも会うたびに「虚無僧なんてやめなさい」と。
「虚無僧なんかで立っていても、収入にならないから
無駄。イメージが悪い。本曲なんか誰も聞いてくれない。
それより牧原さんは、現代曲も吹けるのだから、
そういうライブをやったほうがいい」と。
しかし、そのライブがなかなか大変なのです。
会場費、チラシの作成、配布。箏やピアノなどの伴奏を
頼むと、そのギャラで、まず赤字になってしまいます。
虚無僧で立っていた方が、まだ赤字にならないだけ良い。
ライブで100人集めるのは大変ですが、虚無僧なら
2時間で1万人が通り、内100人くらいは、目を
向けてくれます。
とにかく、まず一人でも多くの人に尺八と虚無僧を
知ってもらうこと。
現代曲なら私より上手な尺八家は何人もいます。
でも その名前を知っている人は何人ぐらいいるでしょう。
尺八演奏家としてより、「虚無僧」の方が、よりインパクトが
あります。練習にもなって知名度も上がる。一石二鳥なのです。