あああぁぁぁぁぁ とうとうやってしまった。
やってしまって「しまったぁぁ」。
●中日新聞連載、五木寛之『親鸞』から一部転載。
親鸞は目の前の恵信をなぐりつけたいと思った。その
憎たらしい口を、足で蹴り上げたいと感じた。その
気配を察したように、恵信が冷ややかに微笑した。
「なぜ笑う!」
「親鸞様こそ、ご自分をとびきりえらい人間だとお思い
になっておられるのではありませぬか」
「なんだと」
・・(中略)・・・・・
「私の念仏を信じられぬというのなら、二度とその顔は
見とうない。手をついて謝れ。そうしたら許してやる」
恵信はあわれなものを眺めるような目で親鸞を見た。
「二度と顔を見たくないとおっしゃるのなら、そう
いたします。子たちをつれて、越後へもどることに
いたしましょう」
「わたしをおどすのか」
「おどしておられるのはそちらです」
「なんだと」
親鸞は自分がなにをしているのかわからないままに
腰をうかし、平手で激しく恵信の頬を打った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あああ、やっちまった。五木寛之の描写は実にリアル。
その後、「親鸞は自分のしたことが信じられなかった。
自分の行為に愕然としている自分と、さらに恵信を
打ちのめしたい自分がそこにいた」と、親鸞の心の
葛藤も書いている。
わかる、わかる。私もこうして別れてしまった。
「あの人と、わかれたワケはなんでもないのよ」という
歌の歌詞が空しく、口をついて出る。
やってしまって「しまったぁぁ」。
●中日新聞連載、五木寛之『親鸞』から一部転載。
親鸞は目の前の恵信をなぐりつけたいと思った。その
憎たらしい口を、足で蹴り上げたいと感じた。その
気配を察したように、恵信が冷ややかに微笑した。
「なぜ笑う!」
「親鸞様こそ、ご自分をとびきりえらい人間だとお思い
になっておられるのではありませぬか」
「なんだと」
・・(中略)・・・・・
「私の念仏を信じられぬというのなら、二度とその顔は
見とうない。手をついて謝れ。そうしたら許してやる」
恵信はあわれなものを眺めるような目で親鸞を見た。
「二度と顔を見たくないとおっしゃるのなら、そう
いたします。子たちをつれて、越後へもどることに
いたしましょう」
「わたしをおどすのか」
「おどしておられるのはそちらです」
「なんだと」
親鸞は自分がなにをしているのかわからないままに
腰をうかし、平手で激しく恵信の頬を打った。
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あああ、やっちまった。五木寛之の描写は実にリアル。
その後、「親鸞は自分のしたことが信じられなかった。
自分の行為に愕然としている自分と、さらに恵信を
打ちのめしたい自分がそこにいた」と、親鸞の心の
葛藤も書いている。
わかる、わかる。私もこうして別れてしまった。
「あの人と、わかれたワケはなんでもないのよ」という
歌の歌詞が空しく、口をついて出る。