作家、山岡荘八の小説『徳川家康』は
昭和25年より北海道新聞で連載を開始して
昭和42年まで続き、使用した原稿は17,400枚以上。
ギネスブックには世界最長の小説として記録されました。
この作品は、徳川家康の生母の於代の方(松平宏忠の正室)の縁談から
家康の逝去までの70余年を描いたもので、
家康の悪いイメージの改善に貢献したとのことです。
作品の細かな内容は知りませんが、あくまでも小説とのことなので
小説の中の徳川家康は、小説を面白くするために
山岡荘八氏が作り出したフィクションの徳川家康でしかありません。
よく真実の中に嘘を偲び込ませると
相手に嘘の部分も真実として受け取らせやすくなるとは言いますが、
史実にフィクションを混ぜると、小説の中の徳川家康の人物像が
実際の人物像として刷り込まれてしまうことが起きていたようです。
教科書から消えようとしている幕末の坂本龍馬の人物像も
司馬遼太郎作『龍馬がゆく』で描かれた坂本龍馬像の影響を
多くの人が受けているのと同じかと思われます。
1つの小説を17年かけて書いたのは凄いですよね。
連載の間に集めた資料や調べた資料なんかも
相当な量になるんでしょうね。
まあ連載開始の頃から「完結は17年後になるなこりゃ。」
と考えて書き始めたとは思えないので、連載小説の人気もあるしと
書き続けた結果、気が付いたら17年となったのでしょう。
イタリアの男性が、コモから歩き始めて気が付けば
450㎞のファーノまで歩いてたと同じ感じでしょうか。
山岡荘八氏の17年連載の『徳川家康』は凄いとは思いますが、
漫画の世界をみれば
40年間連載の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』をはじめ
52年間連載中の『ゴルゴ13』、44年間連載の『浮浪雲』、
41年間連載の『あぶさん』、41年間連載中の『釣りバカ日誌』等々、
その他にも長期連載がズラッ並び、連載終了となった作品は、
ネタが尽きたり、作品の人気に陰りというものではなく
作家の高齢化によるところが多かったりします。
枯れることが無い湧水のようにアイデアを生み出すんですから
あの人達の頭の中はどうなっているんでしょうかね。
同じ相手と山あり谷ありで何十年の結婚生活。
山あり谷ありで同じ仕事をして何十年。
これもまた作家の人達に負けず劣らずの
凄いことでもあり素晴らしいことかも知れませんし、
実は、自分にとって素晴らしい人や仕事と
巡り合っているのかも知れませんね。