日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

時代を創った人-山口小夜子さん-

2007-08-20 21:34:47 | アラカルト
今日の新聞各紙の「おくやみ」の欄に、山口小夜子さんの訃報が、掲載されている。
山口小夜子さんといっても、「誰?」と思われる方も少なくないのだが、70年代後半~80年代初めにかけて、一つの美の基準を創ったと言っても過言ではないほどのモデルさんだった。

彼女が世界にデビューしたのは、ニューヨークコレクションだったと思うのだが、この時の「おかっぱの黒髪に、切れ長の目」がセンセーショナルな話題となったのだ。
それまでの「ブロンドに大きな目」と言うバービー人形のようなモデルが、モデルのスタンダードだっただけに、市松人形のようなヘアスタイルに切れ長の目、プロポーションもバービー人形とはかけ離れた平板な体つきは、それまでのモデル像では理解できないような衝撃であり、それが「ジャパンビューティー」と呼ばれる一つの基準になったのではないだろうか?
その衝撃は、ファッションと言う枠には収まらずスティーリーダンの「彩(aija)」のジャケットを飾り、ロックと言う音楽の世界でも「日本の神秘美」として注目を浴びることとなったのだ。。
その意味で、ロックアルバムのジャケットを飾った初めての日本人女性でもあるのだ。

他にも、80年代初めのアメリカの服飾専門百貨店などのメインディスプレーには、山口小夜古風のマネキンが頻繁に使われていた。
もちろん、デビューはニューヨークコレクションだったが、直後にはパリコレクションに参加し始めていたKENZOのコレクションのメインモデル・ミューズとして登場し、ヨーロッパでも彼女の存在は一気に注目されるようになるのである。

ただ彼女の凄いトコロは、「日本人」と言うことを強調するのではなく「山口小夜子」と言う自分のキャラクター・存在感でそのトップの座を勝ち取ったことだろう。
現在パリコレなどで活躍する日本人モデルが、増えてきた。
しかし、彼女たちは山口小夜子風ではない。
それぞれが、自分のキャラクターを発揮し、厳しいオーディションで選ばれた人たちなのだ。
その道を切り開いたと言う意味で、山口小夜子さんの力は強く、大きいと感じるのだ。

ここ10年余り目立った活躍がなかった山口小夜子さんだが、その功績は「ジャパンビューティー」と言う美の枠だけではなく、「日本の美=神秘美」と言う衝撃を世界に与えた女性の死は、一つの時代の終わりのような気がする。

実家で考えたこと-地方のビジネス-

2007-08-20 06:56:33 | アラカルト
お盆休みも終わり、今日から仕事!と言う方も少なくないだろう。
私も、実家に帰りお盆行事などに明け暮れたのだが、いくつか気になるコトがあった。
それが、地方での(農業)ビジネスだ。

今の農業ビジネスと言うと、「会社型農業」などが注目されている。
農業従事者の高齢化とともに農業を辞めてしまう点に注目し、休耕田などを中心に会社型の大規模農業を経営すると言う形態だ。
このような「会社型農業」は、若手農業従事者が中心となっているのだが、そのような若手農業家が中心になって農業をしていける地域と言うのは、まだまだ少ない。
実際、私の実家がある鳥取県などは過疎地であり、農業従事者は高齢者が殆どだ。

そんな状況の中、「これもアリかな?」と言う姿を、実家近くの農作物の直売所で見た。
そのものズバリ「ファーマーズマーケット」だ。
これまでの農家の直売所というのは、田舎の道脇にトタンで囲まれた「一盛り100円・無人販売所」か、「道の駅」に併設されている直売所などが一般的だろう。
ところが今回私が(父と買い物に)行った「ファーマーズマーケット」は、農協直営の大型スーパー並の売り場の直売所だったのだ。
立地も大手スーパーと道を隔てた、「隣接地」と言っても良いほどの場所。
スーパーの集客を見込んでいるわけではないようだが、それでもある程度は「ファーマーズマーケット」にも人は流れているのではないだろうか?

この「ファーマーズマーケット」の特徴は、生産者が直接商品を店頭に並べると言うことだ。
自分の売り場があり、そこに自分で育てた農作物を自分で並べる、と言う方法をとることで、生産者自ら消費者と出会うようになっているのだ。
生産者と言っても、腰の曲がったお婆さんやお爺さんばかり。
そのお爺さん・お婆さんが、お客さんの姿を見ながら自分が育てた農作物の売れ行きを心配そうに見ているのだ。見ているだけではなく「こうやって食べると美味しいよ」とアドバイスをするお婆さんもいる。
お客さんの姿を見ることで、生活者が求めているモノを知る努力だけではなく、いかにアピールしようか?と一生懸命に考える姿がそこにあった。
ビジネスの基本と言ってしまえばそれまでだが、農業と言う分野では生産者が購入者と出会うことがこれまでになかったことを考えれば、大きな変化のような気がした。

今回経験したもう一つの「地方ビジネス」は、地元の観光資産と名物を組み合わせた「お土産複合施設」だ。
元々この地域は、遺跡が発掘された頃から遺跡を観光資源の中心として、町営施設を作ってきた。それを発展させたモノが、今回の複合施設なのだ。
キーとなるのは「温泉」と「美味しい地元の農作物で作った料理」、「体験施設」なのだが、小さな施設の割には楽しめる工夫がされていた。と言うよりも、町のスケールから見れば丁度良い大きさの施設だ。

田舎だからこそできるビジネスと言うものがあるとすれば、都市部にモノを出すのではなく、いかに田舎に人を呼ぶのか?と言うことなのではないだろうか?
都市部に農作物をいくら出荷しても、そこにかかるコストなどを考えれば「地元に落ちるお金」は、期待するほどではないかも知れない。
だからこそ、都市部から人を集客する必要があるのだ。

地方には、地方のビジネスがあるのではないか?
そんなことを、改めて考えたお盆休みでもあった。