日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

残しておくべき、バブルの遺産(私考)

2009-02-04 20:30:00 | アラカルト
朝日新聞のWEBサイトに、カザルスホール、来年3月に幕 室内楽の殿堂と言う記事が掲載されていた。
クラシックファンとは言いがたい私だが、名チェリスト・カザルスの名前知っていた。
と言っても、演奏は残念ながら聴いたことがないのだが(大汗)。
そして、そのカザルスの名前を冠した音楽ホールが、来年閉館すると言う。

このカザルスホールそのものが、バブルの頃に建設されたのは知っていたのだが、建築主が主婦の友社だと言うことは知らなかった。
建設当時は、猫も杓子も「企業ならメセナ」と言う時代。
もちろん、大バブル期でもあった。
そんな時だから、主婦の友社も「メセナ」の一環として、このホール建設をしたのだろうか?
その後主婦の友社は、経営不振や時代の変化などにより看板雑誌である「主婦の友」そのものを廃刊にし、新しいタイプの主婦向け雑誌を中心に雑誌などを発刊している。
それを買い取ったのが、日大だったと言うコトも知らず、この記事を読んで正直驚いている。

「日大キャンパスの再開発」が目的のようだが、おそらく日大としても、このような音楽ホールの維持には膨大な費用がかかるのだろう。
加えて、大学が資産運用していたファンドなどが、この金融危機で大損失をしている。
果たして、今後このホールが残っていくのか、大いに疑問なところがある。

しかし、お金の問題ではなく「文化として残しておくべきモノ」があると思うのだ。
「バブルの遺産」ではあるが、今現在このような室内楽専用ホールを建設するほど、余裕のある企業がどれだけあるのか?
単に「お金がある」と言うだけでは意味がない。
その文化に対して、どれだけ理解を持ち、そのような施設があるコトを誇りに思う企業が、どれほどあるのか?と言うコトなのだ。

あの熱狂的なバブル期。
決して、(私個人は)心地良いモノではなかった。
しかし、あの時代が私達生活者に「海外有名ブランド」を一般化させ、企業が「メセナ」に積極的になる事で、なかなか触れる事が出来なかった芸術・文化に触れるチャンスが出来たという事実もある。
もちろん、多くの企業はバブル崩壊後「メセナ」などというコトバを忘れ、人をモノのように扱い、「お金儲けが上手い・下手=勝組み・負け組み」という、価値観を生み出した。
そして今のような社会状況だ。
とてもではないが、「文化」などというコトを言っている場合ではない。

だが、一度このような建物を取り壊せば、同じような建物を造ることは出来ないのだ。
まして、大学が保有しているホールだと言うことを考えれば、「残しておくべき、バブルの遺産」だと思うのだ。



百貨店はどうなっていくのか?

2009-02-04 11:24:36 | ビジネス
先週末から、百貨店の話題が尽きない。
浜松の倒産した老舗百貨店・松菱の跡を大丸が引き継ぎ出店する予定だったのだが、2年ほど前から雲行きが怪しくなり、最終的には諦めと言う結果になった。
その翌日には、「北海道の老舗百貨店丸井今井が破綻」と言うニュースがあった。
そして、昨日大阪・心斎橋にある「そごう本店」をセブン&アイが、大丸に売却を検討と言うニュースがあったばかりだ。

昨年の小売り業態別の売上で、百貨店はコンビニにその座を譲った。
だが、それ以前から「百貨店の危機」は、再三指摘されてきた。
おそらくそれに拍車をかけたのは、海外有名ファッションブランドの路面展開だったのではないだろうか?
以前なら「百貨店に行かないと、あのブランドが買えない(もしくは、見られない)」というトコロがあった。
しかし今では、ある程度の都市部であれば路面店が、百貨店に隣接するように並んでいる。
何も百貨店で買わなくても、路面店に行けばよいだけの話なのだ。
と言うよりも、路面店に行くと、エントランスにはドアボーイのような警備員が立ち、ドアを開けてくれる。
何となくチョッとした、「セレブ気分が味わえる」のだ。
もちろん、「最新モデル」も直営路面店のほうが充実している。
言い換えれば、ブランドファンからすれば、百貨店で購入する必要はないのである。

一方、ブランドに興味のない人にとっての百貨店は、どうなのだろう?
日常的に使うモノであれば、近所のスーパーやホームセンターなどで十分間に合うし、何よりも値段が安い。
趣味性の高い商品であれば、百貨店では満足できるほどの商品が充実していないし、専門店で購入した方が、便利だし「趣味の話題で盛り上がれる相手」が常にいる。
お中元やお歳暮などは、今だに「包み」にこだわる人たちもいるので、需要は見込めるとは思うのだが、ネットなどで「珍しい産直品」を贈ったりするほうが、喜ばれるコトも多い。
確かに、「貰って嬉しいギフト」の上位には「商品券」が入ってはいるのだが、それは「お金に代わるモノをもらえる」という意味で、嬉しいというコトなのではないだろうか?
それも「百貨店の商品券=全国共通百貨店商品券」という、どの百貨店でも使える商品券なのだ。

とすれば・・・と思ったとき、友人達の多くが「百貨店で買い物をする時『友の会』で貯めているから」と言う理由で、買い物をしている事に気が付いた。
ご存知の方も多いと思うのだが、月々決まった金額を積み立て、1割程度プラスされた金額の買い物ができると言うシステムだ。
しかし、積み立てている理由が、「お歳暮やお中元で使うため」なのだ。
その残金で、自分の欲しいモノを買うと言うのが、定番的使い方のようだ。

専門店ほど商品が充実しているわけでもなく、かといってスーパーやディスカウントストアーのように安い分けではない。
とすれば、「百貨=何でもあります」という、時代は既に終わり、業態=商売のあり方を見直す必要があるのかも知れない。