地下鉄に乗っていたら、ある広告が目に入った。
「キリン一番搾り」の広告だ。
キリン:広告ギャラリー 一番搾り
広告では、「キリン一番搾り」が、どれほど美味しいビールなのか。そのこだわりについて、と言う内容。
確かに、一番麦汁だけの麦汁の色は濃く、美味しそうだ。
それに対して二番搾りになると、色は薄くなり、何となく、旨味のなさそうな・・・余り美味しそうな感じには見えない。
私もそのビジュアルには、「なるほど!一番搾りが美味しい理由はそこにあったのか!」と納得する。
その右上にあるコピーを読んで、「オヤ!」と思ったのだ。
「一番麦汁だけで作るから、二番麦汁の渋みが・・・」とある。
なるほど、ビールの渋みは二番麦汁が原因だったのだ。
でも、ビールの美味しさの中にはその「渋み」もあるのでは?と言う気がしたのだ。
私が初めてビールを飲んだときの感想は、「苦い!」だった。
とても美味しそうに飲む人の姿が、不思議に思える程「苦く、渋い」という印象だった。
とすると、ビールの美味しさの中には「苦い、渋い」も含まれているのでは?と言う気がしたのだ。
欧州では、ビールにオレンジジュースやアップルジュースを加えて飲む、と言うことも一般的だし、中には「ホットビール」という飲み方もあると聞く。
日本の様に「とりあえず、ビール」という飲み方ではないようなのだ。
そう考えると、日本のビールは「飲み方も種類も固定されている」のでは?
もう一つ考えたのは、日本のビールは味に大きな変化を求めず、発泡酒や第3のビールなどの開発をしてきた。
発泡酒や第3のビールという、「新しいビール」の開発には大変な努力と技術開発が必要だったと思う。
その熱意には、感服するばかりなのだが一方で「味」や「飲み方」という点では、どうなのだろう?
上述した通り、ビールの本場欧州では様々な飲み方がされている。
その様な提案がなかなかされていないのは、残念な気がする。
例えば、ワインに精通した「ソムリエ」が、お客さんの好みやその時に気分に合わせて、ワインのアドバイスをし選ぶように、ビールにも「ソムリエ」のような人が、その時の気分や好み、食事に合わせて提案をする、と言うことがあっても良いと思う。
もしかしたら「(ビールの)渋みや苦みが好み」という人がいるかも知れない。
そんな人にとってこの「一番搾り」の広告は、魅力的な商品として訴えることにはなってはいないだろう。
そんなことを、地下鉄のぶら下がり広告を見ながら考えたのだった。