昨日、名古屋大学が開いた「市民公開講座(名古屋大学では「オープンレクチャー」と呼んでいる)」に出掛けた。
高校生の頃、偏差値ではかすりもしなかった大学へ、年に数回「市民公開講座」に参加するために出掛けると言うのは、なんだか楽しい。
その中でも、名古屋大学の強みである医学・理工学の「市民公開講座」というのは、知的好奇心が駆り立てられる内容が多く、高校生の頃苦手だった科目にも関わらず、楽しく出掛けている。
昨日の「市民公開講座」は、「プラズマ」の話だった。
「プラズマとは何か?」という話から、私達の生活と深く結びついている技術としての「プラズマ」。そして、その「プラズマの新しい使い方」という講座内容だった。
特に興味を引いたのは「新しいプラズマの使い方」として、医療分野での期待が高いと言うこと。
その中でも「がん治療」への期待が高い、と言うことだった。
「がん治療」と言うことになると、「プラズマ」を研究している先生(講義をして下さった大学教授)も、医療分野との連携が必要になるだけではなく、ご自身も医療(この場合は「腫瘍学」)の知識が必要になってくる。
少し前まで「全く関係が無い」と思っていた、分野の知識が必要になっている、と言う訳だ。
流石に「プラズマ研究」の第一線の研究者である大学教授。新たに学んでいる医療分野が、とても面白い、と言うお話だった。
そして「『経済のグローバル化』ということが、盛んに言われているが、本当は『知のグローバル化』が大切なのでは?」と言うことも話されていた。
確かに、京都大学で長い間教鞭を執られていた、数学者の故森毅先生の書かれたエッセイなどは、とても軽妙洒脱で、数学者という(世間的イメージ)では無かった。
解剖学者の養老孟司先生も、同じだ。
おそらく森先生も養老先生も、専門分野の知識とは別に、様々な分野の知の習得を積極的にされてきたのだと思う。
この時期、華やかな袴姿の女子大生の姿が目立つ。
大学の卒業式シーズンだ。
大学では、専門知識を沢山学んできたことだろう。
と同時に、この時期は新大学生が誕生する時期でもある。
彼らは、新しい知の習得へと心躍らせているだろう(と言うよりも、そうであって欲しい・・・と言う願望だが)。
学ぶチャンスはいくらでもある。そしてできれば「知のグローバル化」を目指して欲しい、そう感じた「市民公開講座」だった。
ただ一つ残念なのは、「新たな医療へのプラズマ研究」の中に、「実業」という分野の参加が無いと言うこと。
マーケティングという仕事をしている私としては、講座を聴きながら「この技術が広がることで起きる、社会的イノベーションは何かあるのか?」ということを考えていたからだ。