先日エントリをした「軽減税率」をめぐる、自民党と公明党の攻防。
どうやら分が悪いのは公明党のようだ。
中日新聞:軽減税率、生鮮食品を軸に 首相「税減収4000億円以内に」
先日エントリをした通り、「生鮮食品」だけを軽減税率の対象とした場合、その恩恵を受けるのは低所得者層ではない可能性のほうが高い。
スーパーのお肉と百貨店で販売されているようなお肉とでは、場合によっては一ケタ違う。
そのような「高級なお肉」を購入できる家庭は、軽減税率などを必要としない家庭だろう。
軽減される金額もまた、高級食材のほうが大きい。
率ではなく、税収(額)として影響のあるのは、高級食材を頻繁に購入する家庭のほうということになる。
それが、以前から指摘されてきている「軽減税率の問題」でもある。
何より、記事にある通りに読めば「自民党案に反対するなら、公明党のセールスポイントである福祉を削減する」と、(脅し文句を)言っている。
実は同じ中日新聞に、経済大国として情けない?記事も掲載されていた。
それがOECDの中で公的教育費の支出が一番少ない国の一つが、前回と変わらず日本は最下位であった、という記事だ。
中日新聞:日本の公的教育支出、また最下位 12年のOECD調査
この問題は、「子供の貧困」という問題とも結びついて、経済的豊かな家庭の子供は大学進学だけではなく留学など、様々な教育機会を与えられるコトになるのに対して、低所得の家庭の子供は、本人の意思と学力とは関係なく、大学進学をあきらめざる得ない、という状況になっている。
実際、最低賃金の低い地域ほど大学への進学率は低く、学力的な問題よりも経済的問題で進学をあきらめている子供たちがいる、ということだろう。
また昨今問題になっているのが「奨学金」という「借金」だ。
大学を卒業した時点で、数百万という額の「借金」を抱えてしまうと、その返済のために大変な思いをしなくてはならない。
まして、大卒とはいえ新卒者の給与から、返済をするというのはとても大変なコト。
「貸与型奨学金」とは別に、返済の必要のない「給付型奨学金」の充実が求められているのは、ご存じの方も多いと思う。
安倍さんは「アベノミクス」で経済が上向きになった!と、胸を張っていらっしゃるかもしれない。
ただ現実は、このような「公的社会投資」などへの充実が図られている、とは言えない状況なのだ。
「軽減税率」の対象を広げないのであれば、やはり「累進課税」のような方法で「税の不公平感をなくす」ということが、大切なのではないだろうか?
子供への公的教育支出というのは、「未来への投資」だと言われている。
それだけではなく「福祉への支出」も、「予防医療」の拡充によって、随分支出内容が変わってくる、と言われている。
「教育や福祉への支出を減らす」というのは、社会的投資を国がしない、ということにもつながる問題だと思う。
いくら一部企業の収益が上がったとしても、国全体としてマイナスとなるような政策では、意味がないような気がするのだ。