フランスの大統領選は、これまでの「既成政党」離れを象徴するような結果となっている。
The Huffinton Post:フランス大統領選 マクロン氏とルペン氏が決戦投票へ 主要政党ではない候補者の一騎打ちに
マクロン氏もルペン氏も、これまで政権を握っていた政党から出馬をしていないのは、ニュースなどで報じられている通りだ。
これまでなら、泡沫候補と揶揄されていたであろう両候補だが、ルペン氏の発言などは昨年暮れあたり(だったような気がする)から、注目を浴びるようになってきた。
それはまるで米国で誕生した、トランプ大統領と呼応するような印象だ。
そのような流れは、昨年の英国で起きた「EU脱退」を決める国民投票の頃から、始まっていたのかもしれない。
昨年の主要国における選挙で一番の驚きだったのは、ご存じの通り米国のトランプ大統領の誕生だったと思う。
泡沫候補として登場し、あれよあれよという間に共和党の主要候補を破り、最終的には共和党の候補者として大統領選を戦い、大統領になったからだ。
トランプ氏が選ばれた理由の一つに、「これまでの政治家とは違う」ということへの期待感があった、ということが言われている。
共和党の候補者の中でも最有力と言われていたのは、1989年~1993年まで大統領を務めたブッシュ大統領の三男で、2001年~2009年まで大統領を務めたブッシュJr大統領の弟で元フロリダ州知事のジェフ・ブッシュ氏だった。
日本的な言い方をすれば「政界のサラブレッド」なのだが、ジェフ・ブッシュ氏は共和党内の指名争いから早々に撤退をしてしまっている。
その後も「政治経験がある有望候補者」が、次々と脱落(と言っては失礼だが)し、結局、政治経験が全くないトランプ氏が選ばれたのだった。
現在、米国国民がトランプ氏を大統領に選んだことをどのように思い・感じているのかはわからないが、少なくとも大統領選までは「これまでの政治とは違う政治への期待感」だったのではないだろうか?
もちろん、荒唐無稽な公約の数々が、選挙民の期待へと結びついたということは考えられるが、違う見方をするなら、これまでの政治家への不満がトランプ氏を大統領にした、ということになる。
同様のことが、今度は欧州でも起き始めているのでは?という確信となっているのが、今回のフランス大統領選かもしれない。
このような流れは、日本でも起きるのだろうか?となると、残念ながら起きそうな気配をあまり感じられない。
安倍政権の支持率は高く、対する野党の支持が下がっているからだ。
特に、第一党の民進党内で起きているドタバタは、どうなのだろう?
「選挙に勝つため」の政党ではなく、国民の生活を安定させ(できれば発展させる)政党への期待は変わらずあるはずだと思うのだが、今の既成政党では期待できない、と感じている国民は多いと思う。
日本の選挙システムでは、いわゆる「ミニ政党」ほど選挙戦は厳しいと言われていることを考えれば、野党がその受け皿になるような考えが必要のような気がする。