今村復興大臣が「(東日本大震災が起きたのが)東北でよかった」と、所属する政治グループのパーティーで発した言葉は、今村大臣を辞任へと追い込んだ。
確かに、このような発言は震災復興を担当する大臣として、あってはならない発言だろう。
今村氏は、この発言だけではなく以前にも「暴言・放言」の類が多く、会見での質問なども勝手に打ち切ってしまうなど、大臣としての資質も問題になっていた。
実は、Twitter上ではこの「#東北でよかった」という、ツイートが話題になっている。
Huffington Post:#東北でよかった 東北の魅力伝えるツイート相次ぐ
このツイートそのものが、今村氏の暴言を逆手に取った内容なのだが、震災発生から6年が経過し、被災地以外の地域の人たちにとって、感心が薄くなりつつある今だからこそ、効果的なSNSを使ったプロモーションになっているような気がする。
これまで被災地以外の地域に住む人たちにとって、被災地の現状を知る一番の手立てはテレビや新聞などのマスメディアを通しての情報だった。
被災地に住む人たちからの積極的な情報発信そのものに、余り触れられることなく時間が経過していったように感じる。
それが担当大臣の暴言を逆手に取り(=発想の転換をし)、「注目キーワード」として使うことで、改めて東北の魅力を発信する、ということをしている。
掲載される写真なども、今が見ごろとなっている東北の桜やこれから旬を迎えるサクランボなど、東北の魅力を伝える内容のモノが多い。
それだけではなく、東北の方々が「東北でよかった。自分の故郷に誇りを持っている」などのツイートが数多くある。
風評被害などで、心理的ダメージを受けたであろう、東北の人たちにとっても、故郷への自信回復の切っ掛けにもなっているように、見受けられる。
「ふるさとへの自信回復」ということは、とても重要なポイントで、年明けから「被災地から避難している方々へのいじめ」などが、次々と問題になっていたからだ。
いじめの対象となっている方々の多くは、東京電力福島第一原子力発電所事故により、故郷を追われるように避難している人たちが主なようだが、このようなニュースにより、自分の故郷に対してどこか後ろめたさのようなものを感じていた被災者も、多いのではないだろうか?
そのような人たちに対して「自分の故郷が東北でよかった」と、匿名性の強いSNSの中であっても言えるようになった、と意味は大きいと思う。
もう一つは、このツイートに数多くの企業が参加している、という点だ。
タカラトミーやヤマハ発動機のような企業から、地方紙のツイートは全国紙では伝えられない東北を伝えている。
もちろん、TwitterJapanが今週末から始まるGWに東北へ出かけてみては?という、ツイートも粋な計らいだろう。
確かに今村氏の発言は、暴言・放言の類ではあったが、発想を変えて東北の魅力発信へと変えることができる人たちの力こそ、復興には一番大切なコトなのかもしれない。